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ようこそ、異世界のファッション・ショーへ!JK漫才師が恋に落ちたヤンキー君の正体は高級ブランド店の御曹司?ただし……  作者: ときじく こみち
第2章:異世界カンパネアのファッション・ショーにご招待
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青狼賞は誰の手に?

(本当に、この人たちってみんな十七才なの?)


 発表がはじまった瞬間(しゅんかん)から、ハルミは圧倒(あっとう)されっぱなしだった。


「わたくしのテーマは『温暖化(おんだんか)防止(ぼうし)』です」


 最初にステージにあがった少年は、ニュージーランドにある大学の畜産科(ちくさんか)に留学したらしい。


「この研究室が取りくんでいるのは、羊毛を取る羊のエサとなっている植物の品種改良です」


 ステージのうえに設置された大型のスクリーン。

 そこに映しだされた数値により、羊のゲップやフンから放出されるメタンガスの温室効果が、二酸化炭素の二十倍以上であることを説明する少年。


「この大学では、羊が牧草を消化するときに発生するメタンを削減(さくげん)するために、体内で酵素(こうそ)を発生させる牧草の開発に成功しました。

 その牧草地で育った羊から取れたウールで仕立てたのがこのスーツです」

 

 少年の解説が終わると同時に、スーツすがたの男性がランウェイの上に現れた。   

 二メートル近い長身と小さな顔。

 見事なモデル体型で着こなしたネイビー・ブルーのスーツの生地は、おなじ色の宝石から(けず)り出したのではと思うほどに(つや)やかな光を放っていた。


「わたくしは『環境保護(かんきょうほご)』の立場から考えた、綿(めん)(あさ)の生産方法の見直しをテーマにしました」

 インドにある企業の研究室に留学した少女が、やはりスクリーンの映像をもとに説明をはじめた。

 

 畑で栽培(さいばい)するときに大量の水を必要とするコットンの材料となる綿花と、加工する時にやはり大量の水を使用する麻。

 

 その水を確保するためにむりやり川の流れを変えたせいで、干ばつにおそわれた村。


 あるいは地下水を汲みあげ過ぎたために、工場のある地域ぜんたいが地面に陥没(かんぼつ)した町。


「一方では、着られなくなった古い服が、毎年大量に捨てられています」


 ファッション業界からゴミとして廃棄(はいき)される繊維(せんい)の量は、年間で約九千二百万トン。

 ちなみに1トンで人間の15人ぶんの重さだから……十五億人ぶん以上の重さ?


「そこでわたしは循環(リサイクル)型イノベーションと呼ばれる、生産と廃棄のあり方を見直す方法に注目しました」


 まずは、服の原材料となる繊維(せんい)を、捨てられた服から取り出す。

 そのことによって原材料の浪費を防ぐと同時に、捨てられる服の量を少なくする。

 原材料→服→ゴミ→それがまた原材料にもどる。

 これを繰り返す「循環(リサイクル)」による服づくり。


「着る人にはもちろん、それいがいの生き物や環境にも優しくあろうとする考えかた。

 このドレスは、その思想をかたちにしたものです」


 少女の合図とともに、緑色のドレスを着た女性がランウェイに現れた。

 こちらも百八十センチちかい身長の、みごとなモデル体型である。


「人間界におけるファッションのテーマは、もはや素材やシルエットを追い求めることではなく、生産から廃棄(はいき)までをどのようにコントロールするかという段階にきています」


 ほかにも、


「わたくしは『動物愛護(どうぶつあいご)』の観点から、新しい衣服の可能性をさぐってみました」

 という、イギリスにあるアパレルメーカーの開発部に留学した少年。

 羊毛を取る(さい)に、羊にストレスを与えない方法で取られたウール素材でできたジャケットやパンツを開発したという。


「洗濯をしなくてもいい服とはどんなものかを考えてみました」

 という、ロシアの繊維(せんい)会社に留学した少女の発表。

 ある酵素(こうそ)を振りかけてやることにより、悪臭や汚れを分解する微生物(びせいぶつ)繁殖(はんしょく)させる生地でできた下着(したぎ)を開発しているという。


 どれもこれも、超一流の企業や大学で研究したものばかりだった。


 こんなにすごい人たちの前でウォルフィは何を発表するのだろうか、ハルミは思った。


 なにしろウォルフィがえびす橋商店街でしていたことと言えば、服のお直しながら古着屋をあさってヘンテコな服を集める合間に、ハルミのうちでお好み焼きを食べていたぐらいだ。


(大丈夫かな、あいつ……)


 そしてとうとう、ウォルフィの順番がまわってきた。


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