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ご先祖さまは困ったちゃん?
「なかでも公爵がお金と情熱をつぎこんだのが衣服でした。
それも常識を超えた、驚くべき服好きでした。
外国を旅行して気にいった服を見つければ、その服の生地を作る職人の村ごと買い取って国に連れ帰ったという話が残っているほどです」
む、村の住人ぜんぶを連れて帰ったの?
「しかし、その面白おかしい生活にも終わりを告げる日がやってまいりました。
だらしない生活と派手なお金の使いっぷりが、国王であるアレクサンド四世の怒りを買うこととなったのです。
公爵はそれまで暮らしていた屋敷も財産も取りあげられ、当時はカンパネア村と呼ばれていたこの地に追いやられてしまいました」
市場を通りぬけた自動車が、スピードをあげた。
道の両側の建物が、大きく、高くなっていく。
「そのころのカンパネア村は、漁業の他にはブドウとトマトぐらいしか名産品のない、たいそう貧しい村だったそうです」
「へえ、そんな風には見えないなあ」
窓の外の町なみを眺めながら、ハルミは思った。
町はただ、にぎやかなだけではなかった。
建物のかたちや高さや|色彩《しきさい。
店の看板の大きさや文字の種類。
歩道に敷かれている石の素材やガードレールの色合い。
町を形作る何もかもから、この土地がもつ歴史や伝統に対する敬意がにじみ出ているようだった。




