四通目 石の力と託し
私、御堂真影が、今知りうる事実をここに書き残す。
ここにある千引の霊石は、玄武の双剣を共鳴させる事により、
その代償を緩和する事が出来る。
それに加え、割って使用すれば、
人知を超える力を一度だけ引き起こす事が出来る。
相応の代償と引き換えに。
玄武の双剣の代償とは、
使用によって失われた体力が、二度と回復しないという事だ。
私は、ある事を成す為に、玄武の双剣の力を使った。
だがそれは叶わず、この身に大きな代償を受けた。
起源の石と対をなす四神の武器において、
割るという行為は、決して行ってはならない。
場合によっては、命を失う事よりも重い代償を受ける。
伝承の祭壇や、縁のある場所には、
その力を蓄積する役割がある。
集めた起源の石は、可能な限り元に戻していこうと思う。
万一、私が娘の運命を変えられなかった場合に、
可能性を残す為だ。
私はこの場所で、とある声が聞こえた気がした。
黄泉の霊堂には、
死者の想いを繋ぐという伝承がある。
そこで私は、親友である岳と真緒の声を、
聞いた気がした。
『ここに残す手紙は、息子の信二が読むことになる。
だから、息子を頼む……』と。
何故、それが聞こえたのかは分からない。
岳と真緒は、無事に生きているはずなのに……。
岳との沖縄での約束が果たされず、
代わりに信二君と出会う未来があったなら……、
私は、君に二人を託す以外、
可能性が無くなったという事になる。
もし、この手紙を信二君が読んでいるのなら、
君に剣を渡しているはずだ。
孤高の長剣を……。
その剣で、千昌と隼人の力になりたいと
思ってくれるのなら、
兵庫県の、生石の洞穴へ向かいなさい。
そこの祭壇の箱に収められている石は……
その剣に、
守る為の力を与えてくれる――




