五通目 可能性と望まぬ願い
孤高の長剣の起源を求めるものへ
ここ、生石の洞穴の祭壇にあるものは、水の碑石というものだ。
水の碑石は、祭壇に置くと、力のない生物を遠ざける力がある。
その反動で、近寄ったものは、心を閉ざす影響を受ける。
この洞穴に程なく近い大岩、“御神体”は自然に漂う微細なエネルギーを集める。
それが5年間集める事により、蓄積量が限界を超え、暴走する。
私は、その力を遠ざける効果に可能性を感じ、
御神体にこの石を傍に置いて、
エネルギーを集められないようにできないかと考えたが、
御神体の前では、効果が表れなかった。
もし、御神体を止める力を持つ可能性があるとすれば、
茨城県の鹿島の祭壇に祭られてる“理の要石”だけだ。
理の要石は、あらゆる理を歪める力がある。
それゆえ、代償も理に関する何かを失う、
最も危険な石でもある。
だが、この祭られている石にも、別の可能性がある。
北海道の摩周湖から、私が持ち出した孤高の長剣に
この石を使用する事だ。
この石――水の碑石は、とある剣と共鳴することで、
白虎の剣を生み出す。
白虎は“心を貫く剣”。
だが同時に、心を壊す危険な剣でもある。
玄武と白虎はいずれも剣だ。
文献に記された二本の剣と、まったく無関係とは言い切れない。
だから、ここに書き残す。
私は、誰かが誤った選択をしないよう、剣を持ち出した。
これを読んで、もし私が持ち出した剣を手にしているのなら――
世界を元に戻すためだけに使ってほしい。
力を使えば、人を捨てることになる……
もし、白虎の長剣が使われる事があれば、それは――
恐らく私の子供たちでは無いだろう。
だからこそ、この石は使われない事を切に願う。




