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俺とガルロさんは急いで俺の家に避難した。


「ジーニス?それにガルロさん。どうしたんだ?」


父さんが慌てて家に帰った俺を見て、疑問に思う。


「スーマさんの里を隠匿するバリアが割れてしまったんだ。すぐにスーマさんはバリアを修復しに行くから、ガルロさんはその間俺たちの家で待機してろって」


「バリアが?あの大きい割れる音はバリアが崩れた音だったのか」


「俺たちに近い裏山の方で割れたから、父さん達が知らないのも無理ないよ。幸い表の街道に近い方は無事みたいだから、里は大丈夫だと思うけど…」


「…」


ガルロさんが深刻そうな顔で何か考えているみたいだ。


「ガルロさん、どうしました?」


「あぁ、いや…」


スーマさんが俺に何かを言おうとした事を考えているのだろう。俺も続きが気になっている。


「ガルロさん、さっきの修行ですが…」


バリアが割れた騒動で本当はどんな修行だったのかが有耶無耶になってしまった。


「ジーニス、君の気持ちもわかる。だがやはり俺の意見は変わらない。大事なものを守るためにも、心を強くしてスキルを使いこなすのが君が目的を果たす最短の道だ」


犠牲…ガルロさんは何かを得るためには何かを失わなければならないと言っていた。そんな辛い事を受け止めて心を強くする前に、折れてしまいそうだ。


「俺は…間違っていましたか?」


「…」


ガルロさんはずっと何かを考えていて、何も答えてはくれない。






――――――――――――――――――――――――






バリィィイイイイイイン!!!!!!


「何だ!?何が起こった!?」


「あの山の方向から何かが割れる音が!!」


消えたガルロを探すため、山の周囲を探索していた兵士たちの耳に大きな破裂音が鳴り響く。


「おっ?こりゃあチャンスなんじゃねえか?」


ギーラ。素行は粗暴だが、確かな実力を持ったイマジーネの副隊長を務めている。


「なあ隊長、俺のスキルで探った方がいいよな?」


「…ああ。頼む」


消えたガルロに対してなのか、ギーラが指示を仰ぐ相手、イスィーは不機嫌そうな顔で二つ返事を返す。


「へへっ、了解。今まで手掛かり一つすら無かったのに、ようやく俺たちに運が回ってきたぜ」


そう呟くギーラの目には、灰色の何かが写り込んでいた。






――――――――――――――――――――――――






「お…起き………ニス」


「んん…???」


ふと気が付くと、いつの間にか里ではない白い空間に俺は一人で浮かんでいた。


「あれ…?ノイタークは…?」


「…お前に」


それに何だろう、この声。どこか聞き覚えのあるような…?


「魔の手が迫っている」






――――――――――――――――――――――――






「ハッ…!!」


さっきのは夢…?スキルが目覚めてからすっかり忘れていた疲れを感じたからか、寝ちゃってたみたいだ。


「俺の部屋か…父さんが二階まで運んでくれたのかな」


すっかり日は落ち、山の中から梟の鳴き声がしていた。


「かなり疲れてたみたいだな。もうこんな時間か」


ふいに思い出す昼間の出来事。


「それにしても…何だったんだろう、あの光」


ガルロさんと話していくうちにヒートアップして、胸が熱くなった。その瞬間にあの白い光が出て…


「んー…今考えてもわかんないか。いずれわかっていくだろうしな」


一階に降りると、和気藹々とした声が聞こえてくる。


「はははっ、中々やりますな」


「うぅむ…この里の酒は美味くてつい…」


父さん達はガルロさんとリビングでお酒を飲んでいるみたいだ。邪魔をするのも悪いな…


「バリアも気になるし、外の様子を見てみるか」


ガチャッ…


「あっ…」


外に出ようとドアを開けると、スーマさんが俺の前に立っていた。


「ジーニス」


「スーマさん、バリアはどうでした?」


「その件は大丈夫。裏山で割れたから里の周囲を嗅ぎ回るイマジーネ兵には、この里は見つかるまい。現に同じ場所で待機し続けているみたいだしな」


スーマさんは目に黒の魔法陣を浮かべながら、そう話す。


「よかった…ねえ、スーマさん」


「どうした?」


「昼間の俺の体から出た白い光のこと、何か知ってるんでしょ?」


コクリと頭を縦に振る彼女の目は、真剣そのものだった。


「その説明をするために来たんだよ。私の家で話すから、ついてきなさい」


「はい」






――――――――――――――――――――――――






「どうだギーラ?手掛かりは見つかったか?」


簡易的な拠点の中で、イスィーとギーラ、兵達は卓を囲んでいた。


「んぁー」


ギーラはボリボリと髪を掻きながら、怠そうにしていた。


「手掛かりと言っちゃカスみてえなもんだが、どうやらこの並ぶ山々には結界が張られてるみてえだ」


「ほう…」


「そりゃあ見つかる訳ねえわな。この結界を作った奴は、そんじょそこらの平凡なスキルを持った奴じゃねえ。隊長、あんたの【天斬】をぶち当てたとしても、ものともしねえだろうよ」


ピクッと眉を動かし、イスィーはその話に興味を示す。


「何故だ?」


ギーラは鼻でふーっと空気を吐きつつ説明をする。


「この結界を張った奴は、多分だが自分の力の大半を結界に回してやがる。この結界を作った奴の心が折れねえ限り、頑丈な結界が俺たちを阻む。まあ非凡な奴さんがほとんどの力を使ってる以上、そりゃ仕方のねえことだ」


「では…任務は諦めるしかないのか…」


今度は鼻で笑いながら一蹴するギーラ。


「おいおいおいおい、忘れたのか?餌をよ」


「しかしあれは!!」


音を立てて椅子を倒しながらイスィーは反論しようとするが、他に手がないことも知っていた。


「そうそう、こっちから入れないんじゃ…」


ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべつつ、ギーラは餌に目をやる。


「向こうから出てきてもらえばいい」






――――――――――――――――――――――――






俺とスーマさんはスキルを占ったスーマさんの部屋で向かい合って座っていた。


「ジーニス、結論から言おう。イマジーネに行くことについてだが…」


「イマジーネ?」


白い光について話すんじゃなかったのか?と思ったが、スーマさんは珍しく動揺している様子だった。


「諦めろ」


「えっ!?」

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