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工事の見積もりお願いします!

「ふむ、これは中々に面白そうなことになって来おったわい」

 俺のわがままを全部控えてくれたエーベルバッハさんは、何故かものすごく楽しそうににんまりと笑ってうんうんと頷いてる。

「して、予算は如何程まで出してくれるんだ? 職人の手配も必要だからな」

 と言われても、この世界の相場が俺にはさっぱり分からない。

 ここはやっぱり一番詳しそうな人に聞くべきだよな。

『なあ、ちょっと質問なんだけど、さっき言ってた外壁や外回りの修繕と、今お願いした俺の部屋の改装工事、それから三人の部屋の改装工事まで入れたら、全部でどれくらい予算を取れば良いと思う?』

 こっそり念話で相談したのは、当然オンハルトの爺さんだ。

 もちろんトークルームは全開だから、ハスフェル達にも聞こえてるはず。

 俺をチラッと見て、部屋をもう一度見回したオンハルトの爺さんは、にんまりと笑ってうんうんと頷いた。

『まあ、今の段階ではこっちから具体的な金額は言わなくていい。予算はあるのだろう?』

『俺の口座で塩漬けになってるくらいあります』

『なら、予算は充分用意するから良いものを作ってくれ。と言ってやればいい。あとは彼らが考えてくれるさ』

『成る程、知識の無いこっちが訳も分からず適当な予算を言うんじゃなくて、専門家にしっかり見積もりを取ってもらった上で、それを見て相談しろと。そういう事だな?』

『分かってるじゃないか。ああ、それで良いと思うぞ』

『おおい、俺達も自分の部屋の改装工事費は出すからな』

『それから外回りの修繕費も協賛するぞ〜〜!』

『もちろん俺も協賛するぞ』

 ハスフェルの言葉に続き、ギイとオンハルトの爺さんも揃って嬉しい提案をしてくれる。

 別に、全部を俺一人で払っても大丈夫なくらいに口座にはまだまだ余裕があるんだけど、確かにせっかくだから自分の部屋くらいは面倒見てもらうべきか。

『おう、ありがとうな。じゃあ自分の部屋に関しては各自負担って事で頼むよ。外壁と外回りに関しては予算を見て要相談だな』

『おう、お前がそれで良いなら構わないぞ』

 ハスフェル達の笑った気配がして、トークルームから気配が消える。

「ええと、予算は充分に用意しますから、良いものをお願いします。働いてくれる職人さんにもしっかり払ってあげてください」

 エーベルバッハさんは、俺の言葉にこれ以上ない笑顔になる。

「ああ、そう言ってくれるとこっちも張り切りたくなるよ。もちろん、最高の職人を揃えて、最高の部屋にしてやるから楽しみにしててくれ!」

 胸を張ってそう言われ、俺も笑顔でサムズアップを返した。




「じゃあ俺達の部屋も頼むか。言っとくが、俺達はあんな無茶は言わないからな」

 ハスフェルが笑ってそう言い、これまた何故か全員一緒に順番に客間を見て周り、それぞれ好きな部屋を決めて行った。

 彼らは、言葉通りに基本的な補修工事以外は特に指定は無く、あとは備え付けの古いベッドを新しいのに交換するようにお願いしたくらいだ。

 要するに、骨董品のベッドだと彼らの体重を支えきれない可能性があったみたいだ。

 まあ貴重な品らしいから、これは保存用って事で倉庫にでも保管しててもらいましょう。

 ううん、俺の和室の床も、従魔達が大きくなっても大丈夫なようにもうちょい強化してもらったほうがいいかもしれないな。



 って事で、まず最初の工事は居住区を中心に必要最低限にして、春以降にまた俺達が留守の間に大々的な工事をしてもらう事になった。

 外装に修繕も、例えば雨漏りしそうな箇所や隙間風が入って来そうな窓の箇所なんかを優先的にやってもらい、急がないものは春以降にする事になった。

 まあ、もう言ってる間に雪が降り出すみたいだから、外壁工事は出来る期間が限られていそうだしね。

 細かい打ち合わせがひとまず終わったところで本日は終了。早急に、まずは見積もりを出してくれるようにお願いした。

 まあ値切るつもりはないから、そのまま通すつもりだけどね。



「さて、じゃあひとまず宿泊所へ戻るか。そろそろ腹が減ってきたよ」

 ハスフェルとギイが、顔を見合わせてそんな事を言ってる。

「はいはい、じゃあ戻って飯にしよう。俺も何だか疲れたよ」

 改めて考えると、本気で気が遠くなりそうなくらいの金額だけど、まあ買っちゃったんだからあとは楽しんだ者勝ちだよな。

 小さく笑って頷きあい、俺達はひとまずお城を後にしたのだった。

 うん、ハンプールの家が別荘って呼んでたからこっちを本宅って呼ぶつもりだったけど、前言撤回。これはもうお城以外の何者でもないよな! って事で、バイゼンの家は勝手にお城って呼ぶ事に決定したよ。




「いやあ、改めて見るとやっぱりこれが家っておかしいよな」

 戸締りをして、表に出たところで振り返った俺の、開口一番出た言葉がこれだ。

「まあ確かに、個人がポンと思いつきで買う家じゃないな」

 俺のしみじみとした呟きに、聞こえていたらしいギイが苦笑いしながらそう言って笑っている。

「だよな。やっぱりそう思うよな。でも買った以上は楽しまないと損だよな」

「その通りだ。じゃあ、改装工事が早く終わるように、ドワーフ達に頑張ってもらおう」

「そうだな。ああそう言えば、俺の装備の方はどうなってるんだろう? そろそろ、最初の錬成ってのが終わる頃なんじゃね?」

「ああ、確かにそうだな。じゃあ明日にでもエーベルバッハかヴァイトンあたりに聞いてみればいい。喜んで教えてくれると思うぞ」

 製作依頼を出してからそれなりに日が経ってるので、どんな感じなのかちょっと気になる。

 これは明日にでも一度確認してみよう。ううん楽しみが一杯だ。

 のんびりとそんな話をしながら巨大な玄関の扉を施錠して、今日のところはここまでにして揃って宿泊所へ帰って行ったのだった。



 さて、夕食はお城の購入祝いにガッツリ分厚い肉でも焼くとするか!

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