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チョコレートケーキと本日の予定

「ふああ、チョコレートケーキ最高〜!」

 大口を開けて満面の笑みで嬉々としてチョコレートケーキを食べているアーケル君。もう彼がこの台詞を叫ぶのは四回目だ。

 俺は込み上げてくる笑いを必死で堪えながら、ちょっとだけ確保した自分のチョコレートケーキを更に半分にして口に入れた。

 残りは全部、俺の目の前でシャムエル様が丸かじりしている。

 顔も手もチョコでベッタベタだけど、めっちゃ嬉しそうなので気にしない。

 もちろん俺の左手は、いつもの三倍サイズに膨れ上がったシャムエル様のもふもふな尻尾を絶賛堪能中だ。

「ふおおお〜〜! チョコレートケーキ最高〜〜〜!」

 そして、シャムエル様のこの台詞を聞くのは六回目だ。



 そう、おわかりいただけるだろうか。

 チョコレートケーキを食べ始めて間も無く、シャムエル様が叫んだ直後にアーケル君が全く同じセリフを叫び、その後にまたシャムエル様が叫び、その後に……と言った具合で、俺達は交互に叫ぶ二人の歓喜の叫びを聞かされているわけだ。

 アーケル君は、シャムエル様の声が聞こえていない筈なのに、もしかして聞こえてるんじゃね? って思うくらいにタイミングバッチリなんだよ。

 これが笑わずにいられるかって。

 でもまあ、ここまで喜んでくれたら、あのお店の人も喜んでくれるだろう。

 よし、街を出る前にもう一回追加を買いに行こう。このチョコレートケーキなら、俺でももう少しくらい食えそうだもんな。



「ふああ。チョコレートケーキ最高〜!」

 はい、またしてもアーケル君の歓喜の叫び頂きました。

 ここでとうとう我慢出来なくなったらしいハスフェルが吹き出し、続いてギイとオンハルトの爺さんも吹き出した。続いて俺も陥落。

 アルデアさんは、自分のケーキを半分近く彼のお皿に移動させた後は、のんびりとコーヒーを楽しんでいる。

 リナさんはあっという間に完食してしまい、こちらも今はのんびりコーヒータイムだ。

 だけど俺達が次々に吹き出すのを見て、どうやら我慢していたみたいでこちらも揃って吹き出し、結局全員揃って大爆笑になったよ。

 ケーキ一つでここまで笑えるってちょっと感心するよ。

 ううん、チョコレートケーキ最高〜〜!




 大好評だったデザートも食べ終え、もう今夜は早々に解散して休む事にした。

 俺のテントを中心に、出来る限りくっつけて建てたテントに、お互いに挨拶をしてから入って行く。

 ちなみに、肉食チームは全員テントの外に出て俺達を守るように円陣を組んでくれている。

 巨大化したセーブルが俺のテントのすぐ側に陣取り、左右にマックスとニニとカッツェが並ぶ。

「それじゃあ悪いけど、見張りをよろしくな」

 順番に従魔達を撫でてやり、俺もテントに戻った。今夜の俺は、草食チームと一緒にスライムベッドで寝るよ。



「ご主人、綺麗にするね〜!」

 サクラの声と同時に触手が伸びてきて一瞬で俺の体を包む。

 解放された時にはもうサラッサラだよ。いやあ、相変わらず凄い。

「ではどうぞ〜〜!」

 目の前に出来上がったスライムウォーターベッドに飛び上がると、巨大化したラパンとコニーが続いて飛び込んで来た。

 いつものマックスやニニとは違う、柔らかな毛に埋もれた俺は歓喜の叫びを上げた。

「ああ、このもふもふも最高だよ。ああ癒される〜〜!」

 ラパンとコニーに順番に抱きつき、そのまま隙間に収まる。

「それじゃあ、おやすみ」

 俺の声を合図に、つけたままだったランタンを伸びた触手が次々に消してくれた。

「ありがとうな。おやすみ……」

 せっかくだから、いつもと違う手触りを堪能するつもりだったんだけど、目を閉じた瞬間、俺は気持ち良く眠りの国へ墜落していったよ。我ながら感心するレベルの寝付きの良さだね。あはは。





 ぺしぺしぺし……。

 チクチクチク……。

 こしょこしょこしょ……。

 こしょこしょこしょ……。

 こしょこしょこしょ……。



 いつもよりもかなり寂しいモーニングコールに、俺は眠い目を擦りつつ大きな欠伸をしてなんとか体を起こした。

「ふああ、おはよう。そっか、肉食チームが誰もいないから、モーニングコールも寂しいんだな」

 苦笑いする俺に、今日のモーニングコールを担当したシャムエル様を先頭にハリネズミのエリーとお空部隊のインコ達が揃ってドヤ顔になる。

「はいはい、起こしてくれてありがとうな。さてとじゃあ起きるか」

 スライムベッドから降りて、大きく伸びをしてから身支度を整える。

「ええと、もしかして水場は作ってくれたのかな?」

 などと呟きながらテントの垂れ幕を上げた俺は、見えた光景にその場で吹き出して膝から崩れ落ちた。

 だって、いつの間にかテントのすぐ横に大きく草を刈った広い場所が出来ていて。直径3メートルクラスの大きな池が出現していたのだ。

 しかもその池の中央部分からは、2メートルくらいまで噴き上がった見事な噴水が、朝日に照らされて綺麗な虹を描いていた。そしてその池の端には、ちゃんと顔を洗えるように大きめの水桶まで用意してくれてある。

「おはようございます。いかがですか。これならスライム達だけじゃなくて、他の従魔達も一緒に遊べるでしょう?」

 満面の笑みのアーケル君に、俺は両手でサムズアップをして振り返った。

「おう、最高だよ」



 って事で、さっさと顔を洗ってサクラに綺麗にしてもらった後は、次々に集まってくるスライム達を池に放り込んでやり、噴水に噴き上げられては空中に飛び出して池に落ちるスライム達を、アーケル君と二人で飽きもせずに笑って眺めていた。

 ハスフェル達もすぐに起きて来て彼らのスライム達まで乱入したおかげで、池の中はまたしても大騒ぎになってたよ。

 嬉々として遊ぶスライム達と犬族軍団とお空部隊とセーブル。

 いやあ、平和で何よりだね。




 いつものサンドイッチやパンを出してやり、コーヒーと各種ドリンクも並べておく。

 皆が俺のテントに集まり、好きなのを取ってそれぞれ席についた。

「それで今日の予定は?」

 タマゴサンドを丸ごとシャムエル様に一つ渡し、俺は鶏ハムサンドを食べながらハスフェル達を振り返る。

「一旦ここは撤収してもう少し奥へ進もう。まあ、何が出るかは行ってみてのお楽しみだな」

 ここのジェムモンスターや魔獣はどれも強いのでテリトリーが広いんだよな。だからどこへ行けば良いのかよく考えて行動しなければいけない。

 しかし、彼らには当てがあるみたいなので、ここはお任せする事にする。

「了解だ。じゃあ食ったら少し休憩して、テントを撤収して出発だな」

 残りのコーヒーを飲み干した俺の言葉に、リナさん達やランドルさんも返事をして残りのコーヒーやジュースを飲み干したのだった。



 さて、今日は何がいるのかね?

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