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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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イーグレットのテイムと内緒の話

「それじゃあ出発するか」



 食事の後、少し休憩してから即席噴水付きの池と各自のテントを撤収した俺達は、従魔達に念の為周囲を取り囲んで守ってもらいながら、まずは昨日の長老の木へ戻った。

 集団の先頭には巨大化したオーロラグリーンタイガーのティグとオーロラブラックグリズリーのセーブルが並び、そこから左右に広がって両横を守ってくれているのはニニを中心とした猫族軍団。そして左右後方からしんがり部分を狼達が守ってくれている。上空にはこれも巨大化したお空部隊が編隊を組んで旋回しつつ守ってくれている。

 前回来た時よりもさらに戦力の増した最強の従魔達に全力で守られているこの安心感。素晴らしいね。



「じゃあ、まずはここでリナさん達がイーグレットのテイムだね」

 到着した長老の木は、何度見てもあまりにも大きくて立派すぎて現実感がないレベルだよ。

 一応、昨夜よく考えた結果、俺はここではテイムしない事にしたよ。お空部隊のメンバーは充実してるし、あの細い足は迂闊に触ると折れそうで怖い。

 真剣な顔で頷いたリナさん達が前に進み出るのを見て、俺達は少し下がって見守る事にした。



 今回も、巨大化したお空部隊が活躍してくれて、順番にリナさん達が大きな白鷺、もといイーグレットを無事にテイムしていった。

 名前は、リナさんがテイムした子が、ベルス。古い言葉で、素晴らしいとか美しいって意味らしい。

 アーケル君がテイムした子は、サンクトゥス。サンクって呼ぶ事にしたらしいけど、意味はこれも古い言葉で、神聖、なんだって。

 アルデアさんの分は、またアーケル君がテイムして渡した。名前はオラクル。これはまんま、神託、って意味なんだって。

 まあ、何と言うか、彼らの気持ちが全部現れたネーミングだったね。



 彼らが真剣にテイムしているのを見学しながら、ある事を思い出した俺は、マックスの頭の上に座っているシャムエル様を見て片手を上げてもふもふな尻尾を突っついた。

「なあ、ちょっと質問いいか」

「うん、どうしたの?」

 振り返ったシャムエル様は、尻尾を俺から取り返して嫌そうに撫でながら頷く。うう、ちょっとくらいもふらせてくれてもいいのに。

「いやあ、昨夜はご希望のカレーにしたんだからさ。言ってた、ここにしかいないスライムってのを詳しく教えてくれるか?」

「あはは、覚えてた?」

「もちろん!」

 にっこり笑って頷くと、苦笑いしたシャムエル様はハスフェル達を見た。

「場所はハスフェルに教えておいたから、この後に行く予定の場所だよ。そこは、今となっては一箇所だけになってしまった。メタルスライムが出る地脈の吹き出し口があるんだ」

 目を瞬かせる俺に、シャムエル様は笑って頷く。

「ケンには約束だから詳しく教えておくね。ここの地脈の吹き出し口はかなり強力で、メタルスライムは全種類出現するよ。全部で十種類いるからね。さあ、何種類見つけられるかな?」

 何故かドヤ顔のシャムエル様の言葉を、俺は目を見開いたまま呆然と聞いていた。

「メタルスライムの種類が全部で十種類? それってもしかして、どれもめちゃめちゃレアなんじゃね?」

「まあそうだね。メタルスライムの中では一番出現率の高いのがアイアンスライム。これはごく稀にだけど外の世界でも出現する事があるよ。大昔は、ここだけじゃなくて、他にもメタルスライムが出現する場所が幾つもあってね。それこそスライム専門の魔獣使いなんかもいて、メタルスライムを全種類テイムしてメタルマスターなんて呼び名がついたりしてたんだ。だけどもうそんな事、この世界の人達は誰も覚えていないけどね」

「メタルマスター……」

 そう呟いてシャムエル様を見る。

「うわあ、いい事聞いた。もし今回で全部集まらなくても、また絶対来よう。俺は絶対に全種類テイムするぞ!」

 思わず拳を握ってそう呟く。もうちょっとで大声で叫びそうになったんだけど一応自重したよ。



「あれ、だけどランドルさんやリナさん達も一緒でも構わないのか?」

「まあ、ここまで来てるんだし、魔獣使いなんだからさ。別に神様の仲間内以外はテイムしちゃ駄目って訳じゃないよ」

「了解。だけどそうなると、どこでこのメタルスライムの事を知ったのかって話になるよな」

 少し考えて俺はハスフェル達に念話で話しかけた。

『なあちょっと相談なんだけどさ』

『おう、どうした?』

 トークルーム全開状態で話しかけると、ハスフェルが答えてくれた。

『この後、珍しいスライムの出現場所へ行くんだろう?』

『ああ、その予定だよ。ここにしかいないなんて聞いたら、行かないわけなかろう?』

 嬉しそうなハスフェルの声に、笑いそうになって必死で我慢する。

『もちろん俺もテイムする気満々だよ。じゃなくて、それを俺達は誰から聞いたんだって話にならないか?』

『ああ、確かに。ランドルさんやリナさん達には聞かれそうだなあ』

 のんびりとハスフェルがそう言い、ギイとオンハルトの爺さんも頷いて考えている。

『それなら、俺達の故郷の樹海に言い伝えとして残ってたってことにすれば良い。カルーシュ山脈の何処かに、今でもメタルスライムの出現場所が残っているって聞いた事があるってな』

 手を打ったギイの提案に、思わず拍手しそうになったよ。

『確かにそれはいい考えだ。じゃあ、捜索中に偶然見つけた事にして、まずは普通のスライムをテイムしてみればいい。それで一匹でもメタルスライム系が出れば、俺達がその話をしてやるよ』

 って事で、ハスフェルの提案に乗ることになり、ようやく落ち着いてこっちを振り返ったリナさん達に手を振り返した。



「おめでとうございます。無事にテイム出来たみたいですね」

 笑ってそう言うと、苦笑いしたリナさん達は顔を見合わせてから揃って大きく頷いた。

「そうですね。テイムするまでは本当にテイムしても良いのか悩みましたが、実際にテイムしてみると、全くいつも通りで逆に拍子抜けしたくらいですよ」

「それじゃあまだ時間もあるし、もう少し奥へ行きましょう」

 マックスの背中に飛び乗ってそう言うと、頷いたリナさん達も急いでグリーンフォックスに飛び乗った。

 また従魔達に守られた俺達は、ティグとセーブルを先頭にして、奥地へと向かって従魔を走らせたのだった。

 うう、メタルスライム。楽しみだな〜〜!

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