第一話.クソジジイィイイイ!!!
初めてなので宜しくお願いしまーす
俺の名前は高岡 伊月。年は15才のピチピチの高校一年だ。
世間一般でいう青春時代ど真ん中にいる訳だが、俺はその青春というモノを味わった事がない。
俺には、友達という存在がいないんだよ。俗にいうボッチだ。
…はいそこー「なんだただの根暗かよ」と思った奴、根暗なんかよじゃ無いんだよ。色々とはっちゃけてる方だよ心は。
俺だってさ、友達作る為に努力して来たさ。会話が弾む本読破したり、笑顔の練習したり、話題作りに好きじゃないサッカーや野球の番組を欠かさず見てたよ。
でもさ、出来なかったんだよ。この15年間。
理由?そんなモノは分かっているさ、とてつもなく、明確に、ハッキリと。
俺の顔が超絶ブサイクだからという最悪な理由で、だ。
見てるだけで吐き気がくるような容姿なんだよ、いやマジで。
細すぎな短い手足に平均より下な身長、低い鼻に厚ぼったい一重瞼の下にある小さい目。気味の悪そうな色白の肌に無駄に主張するタラコのような唇、適当に自分でカットした艶の無い黒髪。
あげたらキリが無いくらいブサイク要素がてんこ盛りなパーツ達の結合体が俺なんだよ。
親は平凡顔なのに何で俺だけ…。
お陰で実の親も俺を避けまくり、子供が出来にくいという身体だからやっと生まれたのが俺な訳なので、諦めた親は養子をとったんだよ、うん。
名前は和樹。
俺と同い年で、それはもうイケメン男子に育った。人生勝ち組美男子とはあんな奴の事を言うんだなぁと、キラキラオーラ全開のマイブラザーを遠目から見る俺。
ああ、俺ね、和樹にむっちゃくちゃ嫌われてんの。初対面の時から見下されてたっけ。鼻で笑われ、視線があった瞬間に汚物を見るような目で見られた記憶しか無いのは確かだ。
そんな和樹を溺愛する両親は、俺の存在をあたかも居ないように扱った。まあ当然の流れだよね。
だから家にいる時はゲームや漫画だけが俺の癒しだった。友達なんて居ないから学校無い日はずっと自分の部屋でヒッキー生活。そんな生活が小学校から始まり、中学終わりまで続けた。
高校は行ってない。一応近くの公立のが受かっていたけれど、行く気がし無いんだ。
今までイジメが無かったと言えば嘘になる。さんざん顔の事で言われたさ。教科書や体操着隠されたり、転ばされたり、水掛けられたり、机の上に花飾られたり、正面から死ねと言われれば陰でコソコソと言われてる。
何で生きてんだろって、数えきれない程思ってた。自殺さえ考えた事だってあった。でも結局今を無駄に生きてる。
「……ほんと…やだ、なあ…俺」
ベッドの天井を見ながら、あまり喋った事の無い俺は見事に出る声もか細い。
いつの間にか出ていた涙を拭き、またベッドへ横になる。ボーッと何もせずジッとしていたら急に睡魔が襲ってので、静かに俺は目を閉じた。
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「……ハッ!」
ヌメリとした汗が頬へと伝う感触を感じながらバッと目が覚める。
「な…に、あの夢…」
いかにもな神様ですよー的な格好をした老人がいきなり白い世界からあらわれ、俺の境遇に同情したと言い「ふぉっふぉっふぉ、お主を幸せにしてやろう」と、ブラックホールにこれまたいきなり落とされたというスッゴイ変な夢。
何だよアレ、良くある死んだ人間を異世界に転生させるっていう小説パターンに似てるんだけど。つーか俺死んでないし。つーかなんだよあの老人。同情したとかいうんじゃねーよジジイ。勝手にほざいてろクソジジイ。
「…所詮、夢…だ」
頭を掻きながら自分に言い聞かせ、ベッドからノロノロと起き上がり洗面所へと向かう。
時計を見ればまだ5時で、誰も起きて無いから物置を立てずにコソコソと一階へ下りた。
サッパリして喉が渇いたとリビングへと行き、水を一杯飲む。そこである事に気が付いた。
「…胸がムズムズ、する…」
特に乳首当たりがスウェットに擦れて違和感を感じてならない。なんだ、虫でも刺されたかな。
それにまだある。
「…肌、ピチピチ…してる…」
ガサガサしてるはずなのに何故かきめ細やかで、それに腕に生えている筈の体毛な薄くなってる。もともとそんなに無かったけれど、これじゃあ産毛と変わりないほどツルツルしてる。
あれれ?と首を傾げて居ると後ろから気配を感じてバッと後ろを向けば、暫く見てなかった弟の和樹が驚いた表情で俺を見ていた。
「……兄ちゃん…?」
「…ぇ…?」
今なんて言った?兄ちゃん?名前すら滅多に呼ばず、兄という単語すら口にしなかったあの和樹が俺を兄ちゃんと呼んだのか?
……今日は空から槍でも降るのだろうか。
いや、夢だ。これも夢の一部なんだ。
よし、また寝よう。
顔を下に向けたまま和樹の横を通り過ぎようとしたら、「っまってくれよ…!」と肩を掴まれ逃げられなくなかってしまった。なんだ和樹、殴るのか、そうなのか。それにしては悲痛の声を出すな、どうした。
「あ…ご、ごめん…」
「ーーーっ!?」
あの和樹が謝ったぁああああ!!?
なんだなんだこの夢は、意味が分からん。俺様何様和樹様なあの和樹が、今まで見下していた俺に謝っただと?有り得なさ過ぎる…。
色々とショックで一歩後退してしまった俺に辛そうな顔を向ける和樹。いや、どんな顔をしてもイケメンだなお前は。
「あ、の…偶然目が覚めて下に下りたら兄ちゃんがいたから、その……はっ話が、したくて…」
「…は、なし…?」
「!うっうん」
何故そんな顔をする和樹よ。まるで俺が喋った事が嬉しいとでも言うような感じではないか。何時もなら不快感を味わったような顔をするのに。
「あのさっ、あの、少しでも良いから部屋から出て来なよ。僕も母さんや父さんも、みんな心配してるんだからさっ」
………は?
まるで鈍器で殴られたような感覚に陥った。
和樹や、お母さんやお父さんがこの俺を心配してるだって…?
何時も空気のように扱ってるあの人達が?
息子なんて思っちゃいないあの人達が?
無意識に手を限界まで握りしめていた。
「だから、顔を見せるだけでもさ、きっと二人共喜ぶと思うんだ」
有り得ない。
有り得ない。有り得ない。有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない!!!!
「……嘘、だ」
「っ嘘なんかじゃ…」
「嘘、だっ!」
久々に出した大声に喉が痛くなったがどうしても否定したかった。
じゃなきゃこれまで過ごして来た15年はなんだったって言うんだよ。
睨むように和樹を見れば、呆然としたように俺を見ていた。
何時もなら無視するか見下したような目で見てくる和樹がそんな顔するなんて、ほんとに何なんだよ一体…。
「そう、言って、俺にまた、絶望させる気、だな…」
「ちっ違う!俺はただ兄ちゃんに戻ってもらいたくて…」
「っ聞きたく、ない!」
耳を塞ぎ渦組まれば、不意に頭にあのクソジジイの声が響いた。
ー説明が必要そうじゃのぉ、ちょいと眠れ。
その言葉に俺の意識が途切れた。
一瞬だが和樹が泣きそうな顔をしながら俺に駆け寄って来たように見えたが気のせいだ、気のせい…。
そして気付けば白い世界にいた。
『ふぉっふぉっふぉっ、お主随分戸惑っているようじゃなぁ』
長い髭を弄りながら笑うクソジジイにイラっとする。
『クソジジイ…!なんだこりゃ、夢じゃねぇのかよ!!………あれ?』
何で普通に大声で喋られるんだよ俺。
『お主内と外のギャップが激しいのぉ。理由を言うならこの世界が異空間だからとしか言えないのぉ』
『ああ、だからか…って、答えやがれ!』
『せっかちじゃのぉ。なあに、神の力でお主の世界をお主に都合が良い世界に変えただけじゃ』
『はあ?意味わかんねーよ』
『簡単に言うなら美醜の価値観を反転にしたのじゃよ。元の世界で美人だった者はブスに、逆にブスだった者は美人に。まあ、あべこべにしたのじゃよ』
……………。
いやいやいや!!!?
『なにそれ!?じゃあなんで和樹があんな態度をとるんだよ、可笑しいじゃねーか!』
『ああ、世界を変えた事によって過去も変わったんじゃよ。この世界では超絶美形なお主に和樹は凄いブラコンでの、けれど小さい頃から引きこもりで話も余りしないお主をずっと心配しったんじゃ』
うぇえ……何その設定。
つーか俺が超絶美形とか、マジあべこべじゃねーか。
『…ていう事は、両親もか?』
『そうじゃ。塞ぎ込み気質じゃったお主を溺愛していた両親が、兄弟が出来れば治るのではと和樹を養子にしたのじゃ』
『えー………なんかも、全く違うな』
やばい、キャパ越えるよこれ。
オーバーヒートしちゃう。
『どうじゃ?いいじゃろこの世界。これならお主が悩むこともなくなるぞ』
『別の意味で悩むわクソジジイ』
『相変わらず口が悪いのぉ。まあ、他もあべこべになった影響で過去が改ざんされとるから、それは自分の目でハッキリ見なされ』
マジか。これ以上色々変わってんのか。
『それじゃあ帰すぞ、色々と大変だろうが以前とはもう違うからの。これからは幸せに生きなさいな』
最初と同じく長い髭を弄りながら笑うクソジジイに、俺はイラつきはしなかった。
『……その、なんだ、…ありがとな』
『ふぉっふぉっふぉっ、ツンデレとはこう言う事をいうんじゃなぁ。出来ればもう少しデレを出して欲しいんじゃが』
『誰がツンデレだごらぁあああ!!』
断じて俺はツンデレではない!
『まぁ良いではないか。それぃ☆』
クソジジイが指を振ればあのブラックホールが俺の足下に突如出現し、俺を呑み込んで行く。
『それではあべこべライフを楽しむが良いぞ伊月』
『まてぇえええええ!!!訂正しやがれクソジジイィイイイ!!!!』
『ふぉっふぉっふぉっ』
『ふぉっふぉっふぉっ、じゃねぇえええええええええ!!!』
こうしてまた俺の意識は失われた。
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