No.30 1stリーグ・決勝
個人的に好きな2人の試合です。
外見は違いますけど、中身は似てるような気がするんですよね。
天然というか鈍感というか、ツンツンしてるというかアホっぽい2人ですがそう言う2人に限って実は強かったりするんですよね。
〜実況・解説〜
「さて、いよいよ決勝だな。ショットガンとブラックジャック。これまでの戦い方を見てトワコ先生はどう言うイメージを持っているか聞いてもいいか?」
「そうね。ショットガンはまず、50m以内で有れば相手の攻撃範囲に入る事が出来る。これは試合場の半分。一方でブラックジャックは近接武器。相性は悪いと思うわ。でも、ブラックジャックは袋の中身を変える事が出来るの。ルーシーちゃんはこれまでも、鉄板、砂、石、そしてリーグ戦用の弾を袋に入れてきた。鉄板はガード用、他の3つは攻撃用。そうやって中身を使い分けながらここまで這い上がってきたわ。技術と工夫でカバーするタイプよね。それでは2人が準備出来たようなので決勝戦を始めます。生徒は試合場へ」
そのトワコ先生の声と共に、2人がそれぞれ反対側から出てくる。
ルーシーさんが赤、シュン君が青の防具を身に着けている。
「始まったね、決勝戦。凄いワクワクする。初めて見たけど、グレープちゃんってリスなんだね。何だかルーシーさんと雰囲気が似ててとても可愛いね」
と試合も終わり、観客席で一緒に見ていたタマミちゃんに声をかける。
「確かに見た目は可愛いんだけどねー。戦うと凄い怖いよー。武器を破壊すると弾が入ってて煙が舞ったりしてたしー。シュン君はこれをどう攻略するかなー。私、ルーシーちゃんに負けちゃったから敵討ちしてほしいなー」
審判「これでは両者白線の前へ。武器を用意する者は顕現を」
「隼、顕現」 「グレープちゃん、実物顕現するの!!」
「あっ、ルーシーさんは実物顕現からスタートなんですね」
「何か考えがあるのかもしれないね。凄い楽しみ」
審判「それでは、始め!!」
と合図と同時にシュン君は「カシャン」と再装填し、ルーシーさんはシュン君の方へと走り出す。
ルーシー 00ー00 シュン
試合時間 3:00
「えっ、ルーシーさんどうするんだろう?」
とルーシーさんも見ていたがシュン君の様子もおかしい。
再装填するものの、そのリーグ戦用の弾をルーシーさんではなく壁へと撃ち続け煙が舞っている。
まるで試合場の半分が霧というか、煙幕のようになっている。
「ルーシーさんもだけど、シュン君も何してるの!?」
と驚いていると、イオアンさんがじっとシュン君を見つめている。
「懐かしいな、ジェーン・メイもこんな戦い方してたな。初手に煙幕を作って、周りから自分の動きを見えなくなるようにすんだよ」
「確かに今でも銃器系を使ってる人がやってるよね。兄さんが知ってる人が広めたの?」
「あいつは色々都市伝説があってな。息つく間もなく五月雨のように弾が飛んでくるから二丁拳銃じゃないかって言われてたな。俺もチャンピオンリーグの決勝で一方的にボコボコにされた。双剣じゃ近づけねぇつうのホント勘弁だぜ」
と舌を出しながら言っている。
イオアンさんは舌を出すのが癖なのかもしれない。
そのあと、試合を見るとお互いの位置が最初とは反対になっている。
「グレープちゃん、あいつらの位置を探ってくるの!!ついでに最初の点は頂きなの!!」
『開始、20秒で2点。そのあと、相手が2点。ふふ、こちらは計算済みですぞ!!』
シュン君は煙の中で隠れているようだ、これからどうするのだろうか?
「隼、戻れ。あちらの位置を上空から探してくれ。5秒したら武器にする」
『了解しやした』
「偵察合戦だね。さて、どっちが早く見つけられるかな。ワクワクするね」
とアーリフ君の発言で私も気づいた。
隼さんが煙よりも上で飛んでいる。偵察をしているのだろう。
「成る程、あれで煙の中にいても相手の位置がわかるんだね。鳥類の特徴を上手く利用してるね」
私も八咫烏と戦う時は動きを真似してみようと思う。
「隼、顕現。どちらにいた?」
『丁度、真正面におった。坊っちゃん足元、敵がおる!!』
ルーシー 2ー00 シュン
試合時間 2:40
「えっ、いつの間に!!」
「初手はルーシーちゃんだねー。グレープちゃんにやられちゃたのかなー。シュン君、鈍感だからねー」
「これは一杯やられたな。こちらも反撃しよう。弾はいくらでもある」
その次の瞬間、五月雨が如くルーシーちゃんに向かって弾丸が飛んでくる。
「グレープちゃん、顕現するの!!中身は鉄板なの!!胴体は絶対取られちゃいけないの!!」
『了解ですぞ!!』
ルーシーさんはブラックジャック手元と胴体を隠すように持ちガードの姿勢だ。
ルーシー 2ー6 シュン
試合時間 2:10
「3発だけか、足元が赤く変色していたな。胴体を守ったか。3点を狙うのは難しそうだな」
「グレープちゃん、一気にあいつらに近くの!!中身を弾丸に変えるの!!更に目眩しをするの!!」
そのあと、ルーシーさん煙の中へ走り出している。
「これじゃあ、2人の様子が全然見えないね。ルーシーちゃんはこの後、どうするのかな?相手が4点リードだから逆転するなら2点を3回か、3点を2回かな?」
「確かにそうですね。ヨハンナさんの言う通り、このままルーシーさんが引き下がる分けないですよね。何か策でもあるのかな?」
すると青い煙が上がっているのが見える。
ルーシーさんがシュン君から点をもぎ取ったようだ。
「ふん、銃は再装弾するのに時間がかかるの!!近くに行けば重りを担いているのと一緒なの!!」
「隼、戻れ反対側に下がるぞ。再装填をする時間もくれないのか。手元を見ていて足元を疎かにしていた」
ルーシー 4ー6 シュン
試合時間 1:55
〜実況・解説〜
「これまでの試合内容をみると結構ハイペースだな」
「3位決定戦に比べればそうでしょうね。力もある程度拮抗だし、ルーシーちゃんとシュン君は胴体の3点より、両腕、両足の2点の方が比較的狙いやすい。攻撃回数も多くなるでしょうね」
「さて、お互いがグルグルと煙幕か普通のフィールドを交互に使っているな。今はルーシーが煙幕の中にいるのか。シュンは煙幕のない状態で、どう動くのか見ものだな」
「あっ、シュン君がこっちに来てるね。立場が反対になったんだ」
「フィールドが2つあると試合もおもしれぇな。メイは一方的だったけど、同じ1年でこうも違うか。あいつは強すぎてつまらないって周りから言われてたからな。このくらい抜けてる方が丁度いいのかもしれねぇな」
と舌を出しながらイオアンさんは言っている。
「えっと、メイさんってもしかして拳銃使いで保安官みたいな格好をした人ですか?盾のバッチを付けてる人なんですけど」
その発言にイオアンさんは驚いている。
そして両手で両肩を掴まれ前後に揺らされる。
「お前、メイの事知ってんのか!?いつ会った、あいつ行方不明だろ俺達も探してんだよ!!」
「いいえ、私は友人にメイさんが映っている映像を見せてもらっただけなので、実物を見た訳じゃないんです」
「…そうか。何か手がかりがあるかと思ったんだけどな。仕方ないか…」
「ごめんなさい。何というか期待に応えてられなくて」
「カンナちゃん気にしないで。ほら、兄さんも元気出して。試合はまだ終わってないから」
とヨハンナさんに励まされるお兄さんの姿がまるで大型犬が「シュン…」と落ち込んでいるように見えたので思わず可愛いなと思ってしまった。
そのあと、お兄さんも元気になったので試合観戦に戻る。
「隼、足元を狙いたいんだ。上手く足元の煙だけを低空飛行で吹き飛ばしたい。出来るか?」
『了解しやした。相手も霊体だったらノーマークじゃろう。やるだけなら無駄な動きにゃあならん。やってみましょうか』
「ありがとう、頼もしい相方だな。上手く吹き飛ばせたら、すぐ武器にする。行ってきてくれ」
そのあと、隼さんがシュン君の元を飛び立ち、試合場の枠に沿って円を描くように敵に向かって突っ込んでくる。
一瞬にして下の煙だけがなくなり、ルーシーさんの足元が露わになる。
「これはやられたの!!グレープちゃん、顕現なの!!鉄板でガードするの!!」
「よくやった隼、顕現。別にガードしてくれても構わない。知りたいのは相手の位置だからな。ここで一気に点数を稼ぐ。弾はいくらでもあるからな」
ルーシー 4ー12 シュン
試合時間 1:15
「…す、凄い。流石坊っちゃん。決勝でこの点数って」
「うわー、凄い怖いねー。私なんかがやってたらボロボロになってたかもしれないよー」
「というかあいつ、いつ再装弾してんだ?煙の中でやってんのか?というかストック持ってきてないのか?身軽だよな」
(あっ、そうか。皆さんは裏技は知らないんだっけ?でも言わない方がいいよね。シュン君は武器と霊体を交互に使って上手く裏技を使っていないように隠しているのかな?あとで本人に聞いてみよっと)
流石にこのリードだとルーシーさんも追いつくのが難しく、リードが縮まる事なく試合が終了してしまった。
ルーシー 8ー16 シュン
試合時間 00:00
「負けたの!!悔しいの!!絶対リベンジしてやるの!!」
「俺はズルしているのと一緒だからな。ルーシーさんの方が、正々堂々と戦っていると思うぞ」
「ふん、当たり前なの!!」
と言いながらお互い握手を交わしている。案外仲がいいのかもしれない。
そのあと表彰式があり、観客席で試合を見ていたペルケレ先生が試合場に降りてきてそれぞれに賞状やメダルを、そして優勝者のシュン君にはバッチが入ったケースを贈っている。
「1stリーグの優勝者には番人の称号とその名の通りウォッチャーバッチが贈られます。是非、勝ち残った証として制服につけて下さいね。皆さんの更なる活躍を期待しています」
「ありがとうございます」
とシュン君はバッチを受け取り3人で入退場口の方へと向かっている。
私もみんなに声をかけようと、入退場口の近くまで行き拍手を送った。
「3人とも入賞おめでとう。シュン君はそのバッチどうするの?」
「そうだな、制服の襟元にでも付けておこうと思う。そうだ、カンナさんにお願いがあるんだ。この後、エキシビションマッチがあるんだ。よかったら、その相手をしてくれないか?」
「…えっ、私が!?というかエキシビションマッチって!?他に試合があるの!?」
「知らないの!!エキシビションマッチは優勝者が1人を指名して2分間試合を行うの!!これは大会の参加の有無も関係ないの!!好きな相手を選んでいいの!!」
「そうなんだ。でもそれなら尚更、シュン君の好きな相手を選べばいいんじゃないかな?いい機会なんだから勿体ないよ。強い相手とかさ、他のリーグの優勝候補でもいいし」
「そうか?俺はカンナさんがチャンピオンリーグで活躍してくれると思っているぞ?気軽にやってくれていいんだ。カンナさんにとっても良い練習試合になると思うし。…本音を言うと、連日の試合で疲れているんだ。だから余り負担にならない相手の方がいい。上級生相手に手抜きをすると失礼だからな。カンナさんだったら理解してくれそうだと思って選んだんだ」
「シュン君は正直だねー。私も短期間で沢山試合したから疲れちゃったよー」
「わかったよ、シュン君。じゃあ私もそうだし、シュン君も気軽にやろうね」
そのあと、コロシアム内でアナウンスが鳴る。
「「これより、優勝者によるエキシビションマッチが開催されます。優勝者は会場内にいる生徒1人を指名し、試合場に連れてきて下さい」」
「じゃあカンナさんはルーシーさんからセンサーを借りて試合場に来てくれ。俺は先に行って待ってる」
「はい、あげるの!!付け方がわからなかったら教えてやってもいいの!!」
「あっ、じゃあお願いします」
とシュン君は先に行き、私はルーシーさんに付け方を教わり準備ができたので試合場へと足を進める。
「初めてで緊張するね。八咫烏さん」
『俺様達なら大丈夫だろ。カンナ、この試合絶対勝つぞ。無駄な黒星とか付けたくないからな』
「勝てたらね。じゃあ行こうか八咫烏さん」
そして私達は試合場へと向かった。
No.30を読んでいただきありがとうございました。
シュンは今回は裏技余り使って無かったですね。バレたらそれはそれで出禁になりますので少しずつ隠しながら戦う事にしています。
ジェーン・メイの苗字はアメリカでビリー・ザ・キッドと元に有名な女性ガンマンであるカラミティ・ジェーンから名付けています。
イオアンが舌を出したり大型犬のように落ち込んでいましたが、オルトロスが犬をモデルとして動物ですのでその主にも犬っぽい仕草をさせています。
次はNo.31 「1stリーグ・エキシビションマッチ」をお送りします。




