校内トーナメント戦③
『席巻の猛者』
メイは、初めて俺に会ったときに言った。
「神に生まれたからといって、自惚れぬな。神でも、自殺することはできないんだよ」
それを聞いた俺は、?が頭を埋め尽くした。
メイには俺がどのように見えたんだ?
神に生まれる?
どういうことだ?
様々な疑問が浮かんだが、俺は気にしないことにした。
「ルデア、か・・・・」
1回戦目から10分のインターバルを置いて、俺は2回戦目に向かった。
相手は、かなりの強敵。
どのように戦おうか。
先生との約束もあるしな。
「まあ、楽しんでいくか」
俺は、少し笑みを浮かべながら会場に歩いた。
「それではただ今より、校内トーナメント戦2回戦。1-B古谷楓守対2-A虎居佐樹の試合を始めます!双方、向かい合ってください」
今にも飛びかかってきそうな、威圧を先輩から感じる。
これは、フライングになるかもしれないけど、負けられないからやるしかないな。
眼と足、そして両腕に活性化をかける。
眼が追いつかなかったら、話にならないので眼を中心に活性化する。
さて、どうなるか。
「始めます。3・2・1始め!!」
虹彩を調節して、眼に入る光の量を調節する。
これで見やすくなった。
「何、ボーっとしてるんだ!」
先輩は、俺が虹彩を調節しているわずか0.2秒の間に、10メートルを詰めていた。
!?
腕を交差させて、ダメージを受ける。
確かに早い。
でも、見切れないほどの速さではない。
早くて攻撃も重い。
ということは、できる隙も大きい。
俺は、そこを叩く!!
「攻撃が完全に見切られてる!?」
先輩は、今まで見切られたことのない攻撃を、余裕の顔で防いでいる後輩を目の前にして、驚愕の表情を浮かべる。
動揺?
まあ、いい。
「ハァァ!!」
心窩に渾身の突きを放つ。
「ぁ、ぁ・・・・」
呼吸ができなくて、苦しいのか、先輩は苦悶の顔で地面に伏して動かなくなってしまう。
ドサッ。
「試合終了!!勝者1-B古谷楓守!」
俺の方に手が挙がる。
いまので気絶?
それはさすがに弱くないか?
速さで相手の攻撃をすべて躱すつもりで、体は鍛えていなかったようだ。
「楓守!!楓守!!楓守!!楓守!!」
もう驚かないぞ。
礼儀として、俺はオーディエンスに一礼して控室にダッシュする。
「どんな動体視力してるんですか、兄貴」
いつも嬉しい評価ありがとう、酒木君。
「そんなに大したことないよ」
「謙遜したらだめですよ。2年生に勝ったんですよ」
でも、本当はまだ本気だしてないんだ。
言えるはずないけど。
「ありがとう」
「いよいよ次は、生徒会長ですね」
一番の危険人物、生徒会長。
本当に、実力が計り知れない。
「恥をかかないように頑張るよ」
「兄貴、頑張ってください!!」
もし、俺が勝ったらどうなるんだ?
DP対DPの白熱勝負になりそうだ。
生徒会長、手加減してくださいよ。




