16話 「大書庫③」
────
神殺しの大戦とは、120年前に勃発した、破壊神カタスティオステオスと人類との戦争である。
長きにわたる激戦の末、シグヴァルト・エルデンハルトはカタスティオステオスを討ち取り、史上初となる「神殺し」を成し遂げた。
この戦争は後に『神殺しの大戦』と呼ばれ、世界史上最大級の戦いの一つとして語り継がれている。
しかし、この勝利は決して代償のないものではなかった。当時、神との戦いは「宇域」と呼ばれる特殊な空間で行われており、本来であれば戦闘による被害が下界へ及ぶことはなかった。だが、シグヴァルトは神を討つため、自らの判断でカタスティオステオスを下界へ引きずり出した。
その結果、破壊神の討伐には成功したものの、戦場となった各地は壊滅し、多くの国や都市が滅び、計り知れない数の命が失われた。
この功績により、シグヴァルトは六代英雄の称号を授けられた。
一方で、神を下界へ招き甚大な被害を招いた責任を問われ、永久戦犯として歴史に名を刻むこととなった。
なお、戦争終結後のシグヴァルトの消息は現在に至るまで判明しておらず、生死不明とされている。
では、なぜシグヴァルトは神と戦っていたのかというと、破壊神カタスティオステオスがこの世界を破壊しようとしていることがわかった。しかし、どうやって「宇域」に行ったのかは分かっていない。
次は六代英雄についてだ。
六代英雄は300年前の大魔法大戦の時にできた。1番最初の英雄となったのはアルヴァイン・グランディアだ。アルヴァインは大魔法大戦を終結まで導いた。アルヴァインはティダイエトインス国の魔術師隊の隊長であった。そして、圧倒的な魔法の実力と指揮能力で国を勝利に導いた。その功績が称えられ英雄の称号をもらった。
六代英雄は基本的に六人で構成されている。現在の六代英雄は五人で、席が一つ空いている状態だ。
六代英雄になるには世界の貢献度で決まる。例えば、魔王軍幹部を三人討伐した者や、魔法の歴史を変えるほどの偉業を成し遂げた者のみが、その称号を授かる。
次は魔王軍に関してだ。180年前に魔王が突如として現れ、魔王軍が結成された。しかし、この180年間で一度も大規模な戦争を起こしたことがない。なにが目的で何をしているのかは定かではない。
続いては地理に関することだ。
300年前の大魔法大戦では今のスリギウ王国であるティダイエトインス国、セイシスンロー国、ポンニッダテイ国、マンスオ国の四カ国が王権争いをした。
そして、今のスリギウ王国であるティダイエトインス国が勝利した。
この四カ国の詳細はこんな感じだ。
ティダイエトインス国
魔法技術が最も発展した国家であり、古くから魔術研究が盛んに行われていた。優れた魔法使いや魔導研究者を多く輩出しており、大魔法大戦では魔法技術を中心とした戦力で他国を圧倒した。現在ではスリギウ王国として世界の中心となっている。
セイシスンロー国
大陸有数の経済国家であり、貿易や商業によって大きな影響力を持っていた。豊富な資金力を利用し、他国との同盟や軍備強化を進めていた。
ポンニッダテイ国
強大な軍事力を誇る国家であり、優秀な兵士や騎士団を多く抱えていた。魔法よりも武力を重視した軍事体系を発展させ、大魔法大戦では最大規模の軍勢を動員した。
マンスオ国
豊富な鉱石や魔法資源を有する資源国家である。魔石や特殊鉱物など、魔法技術や武具の製造に必要な資源を多く産出していた。その資源力から、戦争中は各国から重要視されていた。
これが300年前に存在していた四大国家だ。
今では複数の国や街、村がある。そして、国や街になるには条件がある。まず、街になるには村の人口が5千人以上、面積1000ha以上、ギルドのクエスト完了率が20%以上が必要となる。
次に街から国になるには人口が5万人以上、面積100万ha以上、ギルドのクエスト完了率が40%以上。総予算が8000万ガナドが必要となる。
次に宗教についてだ。
主な宗教は三つ存在する。
一つ目はアンス教である。アンス教は人類神アンスポロテオスを信仰する宗教であり、人類の繁栄を第一とする思想を掲げている。また、魔物を人類の敵、すなわち完全な悪とみなしている。
二つ目はモンストルム教である。モンストルム教は魔神モンストルムテオスを信仰する宗教であり、魔物の繁栄を第一とする思想を掲げている。また、人類は魔物よりも下位の存在であり、魔物に仕え尽くすべきだと考えている。
三つ目はシンビ教である。シンビ教は共神シンビオーシステオスを信仰する宗教であり、人間と魔物の共存を理想としている。しかし、その理想を実現する方法については信者の間でも意見が分かれており、中には共存を拒む者は人間・魔物を問わず排除すべきだと考える過激派が多く存在する。
次に種族史について説明する。現在では、この世界に最初に存在していたのは魔物であるとされている。その後、人間が誕生したと考えられているが、その経緯については諸説あり、明確には判明していない。
アンス教では、人類神アンスポロテオスが人間を創造したとされている。一方、モンストルム教では、魔神モンストルムテオスが最初に魔物を創造し、人間は後に現れた存在であると説かれている。
次にギルドについて説明する。
ギルドは非常に長い歴史を持つ組織であり、その起源は現在でも明確には判明していない。しかし、現存する最古の記録から、少なくとも四百年以上前には存在していたと考えられている。
また、現在の階級制度が制定された理由は、魔物ごとに強さが大きく異なるためである。制度が存在しなかった時代には、自身の実力に見合わない魔物へ挑み、命を落とす者が後を絶たなかった。そこで冒険者の実力を明確に分類し、適切な依頼のみを受けられるよう階級制度が導入された。
冒険者のランクは、主に魔物討伐による討伐実績によって決定される。ただし、一定以上のランクへ昇格するには、ギルド長による審査および承認が必要となる。
冒険者の登録には基本的に氏名だけでできる。
ギルド長は各支部における最高責任者であり、冒険者の昇格・降格の承認、緊急依頼の発令、討伐隊の編成、規約違反者への処分など、多くの権限を有する。また、魔物の大量発生や魔王軍の襲撃などの有事においては、支部所属の冒険者に対して緊急招集を発令することができる。
以上が現在までに判明している、この世界の歴史である。しかし、未だ解明されていない事柄も多く、今なお多くの謎が残されている。
────
(なんか、この世界の歴史って面白いな……)
ユウキは静かに本を閉じ、二階の本棚へと戻した。
その時、ミハルが書庫全体に聞こえるように声をかけた。
「皆さん、あと一時間です」
俺は大書庫の壁に掛けられた古びた時計へ目を向けた。
(もう一時間も経ったのか……)
「わかりました」
周囲を見渡すと、それぞれが残された時間を意識し始めていた。今読んでいる本を急いで読み進める者、新しく読む本を探す者──静かな書庫の中にも、わずかな慌ただしさが広がっていく。
(じゃあ、俺はこれにしようかな……)
ユウキは本棚をゆっくりと見渡し、一冊の本を手に取る。
『種の部類』
タイトルに少し興味を引かれ、ユウキはその本を抱えて席へ戻った。
────
『種の部類』
著:ソホス・シエンティア
世界には、大きく分けて人間・魔物・動物の三種類が存在します。
人間は一種類だけですが、魔物にはたくさんの種類が存在します。ただし、それらは大きく怪物型と知的型の二つに分類されます。そして、動物は数百種類以上いるとされています。
皆さんが普段目にする鳥や魚、家畜なども、すべて動物に分類されます。
魔物には数多くの種類が存在しますが、主に怪物型と知的型の二つに分類されます。
怪物型は攻撃力の高い個体が多く、非常に凶暴です。人間を襲うことが多く、知能はあまり高くありません。そのため、基本的に魔法を扱うことはできません。
知的型は知能の高い個体が多く、温厚な性格の個体も多く存在します。人間と友好的な関係を築く個体も確認されています。攻撃力は怪物型より劣ることが多いですが、その代わり魔法を扱う能力に優れています。
主にこの二種類で構成されていますが、稀に「突然変異体」と呼ばれる特殊な個体が生まれることがあります。
突然変異体は、通常の魔物とは異なる変異を起こした個体です。巨大化や凶暴化、知能の向上、小型化、弱体化など、変異の内容は個体ごとに大きく異なります。そのため、同じ種類の魔物であっても、通常個体とは全く異なる能力を持つ場合があります。
生物は界・門・綱・目・科・属・種によって分類されています。人間や魔物、動物もすべてこの分類法が用いられており、生物学における基本的な分類方法です。
例えば普通のスライムだと、動物界・魔物門・怪物綱・粘体目・スライム科・ヴァシコス属・ヴルガーリス種になります。
しかし、突然変異体は通常種とは生物学的特徴が大きく異なるため、通常個体とは別属として分類されます。
例えば、通常のスライムが巨大化などの突然変異を起こした場合、属と種のみが変更されます。
この場合、分類はネオ属・イプシロス種となります。
また、ネオ属に分類された魔物は、種族名の前に「ネオ」が付きます。
そのため、この個体はネオスライムと呼ばれます。
他にはアーク属があります。アーク属に分類された魔物は、種族名の前に「アーク」が付きます。
ヴァシコス属には二つの種があります。ヴルガーリス種とオルガキス種です。
ヴルガーリス種は基本となる通常個体です。
オルガキス種は僅かに変異した通常個体です。
ネオ属には四つの種があります。イプシロス種とハミロス種とアノマリア種とデュナトス種です。
イプシロス種は強化変異体で巨大化したり、身体能力や魔力が向上します。
ハミロス種は弱化変異体で小型化したり、身体能力、魔力が減少します。
アノマリア種は異常変異体で通常では起こらないような変異をします。
デュナトス種は特異変異体で極めて稀な変異を起こします。
アーク属には三つの種があります。アンスロポモルフォス種とインテリヘンシア種、テラタ種です。
アンスロポモルフォス種は、人間のような姿へ変化した変異体です。
インテリヘンシア種は、高い知能を獲得した変異体です。
テラタ種は、怪物化・異形化した変異体です。個体によっては魔法などの特殊能力を獲得する場合があります。
続いては…
────
「皆さん、あと10分なので本をお返しください」
俺はこの本の半分ぐらいまで読んでいた途中でやめた。俺は素早く席から立ち、本が元あった本棚に戻した。
「皆さん、大丈夫でしょうか?」
「はい、みんな片付け終わりました」
「では、戻りましょう」
俺らは来た道を戻っていった。空はまだ明るかった。今回はかなり多くのことがわかった。あとで、魔法などは実践してみよう。そして、突然変異体についても少しは理解ができた。
ユウキたちは知らなかった。これが序盤の序盤であるといことに…




