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2:ラブレター?ファンレター?


扇風機をつけても暑くなってきましたね。

ノートパソコンで小説を書いてる最中、熱で勝手にシャットダウンしましたw

そのせいで何度下書きのデータが消えた事か…orz



ちょっとぐだぐだ話になってますが、どぞ。





五月中旬、少し遅れ気味の梅雨の時期。今日も外は大雨だった。

雨の日はどういった理由かわからないが、妖獣が現れないからゆっくりと一日が過ごせる。

私にとって、雨は嬉しい。だけど、クラスメート達は朝から「早く晴れないかなぁ」と、ずっとその話ばかりしていた。

ある人は、窓にてるてる坊主をかけて真剣に祈っていた。


絶対に雨に濡れない人たちなのに、何故晴れになって欲しいんだろう。


私はクラスメート達から目を離し、窓から外を見る。見ていると自然とあくびが出た。

魅華がいないと、暇だ。



「ふぁ~………」


「あの…高宮さん」


「……ん?」



クラスメートの女の子が、遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

窓から声の聞こえたほうへ顔を向けると、教室の入り口に私を呼んだ女の子と普段姿を見せない珍しい人が立っていた。

小走りで彼らのところへと向かう。



「授業受ける気になったんですか、会長」


「全然。ちょっと、用事があったから来ただけですよ」



いつも生徒会室に引きこもりがちな、生徒会長だった。

私の質問に即答した彼は、クラスの中の人たちに向かって軽く手を振る。

それだけで、クラスの女子から黄色の悲鳴が聞こえる。その声の大きさに、思わず耳を両手で塞いだ。

彼はくすくすと小さく笑い、私の目の前に小さな紙を差し出した。



「今日のスケジュールです。後、アレの点検をするので、生徒会室に集合してください」


「集合時間は」


「すぐにでも」



彼は全て伝え終わると「他の部員にも渡さないといけないので、また後で」と、さわやかな笑顔で教室を去っていった。

その笑顔で、教室の中から「女子が倒れたぞー!」という声が聞こえた。

さすが会長だ、と呆れた。

私はできるだけ授業に参加したいほうだけど、彼はそんなのお構いなし。

まぁ、彼は頭がいいし、テストはいつも100点だからいいだろうけど、出席日数はどうにかできるようだし。

私は、頭が良いというわけでもないし、出席日数とノートだけは取らないといけないのに。


生徒会のメンバーの中で真面目に授業に参加しているのは、私と刹那先輩ぐらいだ。

魅華は体が弱くて、ほとんど保健室だし、涼の場合は授業=寝るもの。

咲華先輩と彌悠先輩とかなは、会長と同じく部室にいつもいる。



「はぁ……行くか」



どうせ逆らう事はできないのだし。私は、渡された紙をポケットに入れて自分の席に戻る。

机の上に広げていた教科書やノートなどをカバンに入れて、ロッカーから薙刀の入った袋を取り出す。

そのまま教室を出ようとした時、先生が教室に近づいているのが見え、頭を下げる。

それだけで察してくれたのか、先生は手を振って教室の中に入っていった。



「あの、高宮さん」



急に名前を呼ばれて、顔だけ後ろを振り向く。すると、ついさっき私を呼んだ女子生徒が立っていた。

胸の前で両手を合わせながら、何故かもじもじしている。



「何?」


「あの、これから生徒会の方へ行くのよね」



こくりと頷く。

すると、いきなりカバンを持っていない方の手を握られ、助けを求めるような目で見られた。



「お願いがあるの!聞いてくれない…かな?」


「…まぁ、内容にもよるけど…」


「ありがとう!実は生徒会の皆さんに、これを渡して欲しいの」



そう言って彼女はロッカーから、大きなダンボールを一つ持ってきた。



「何これ」


「これの説明はこの封筒の中に書いてあるよ。あっ、でも別に変なものじゃないからね?!」


「ん、わかった」



私はダンボールの上にカバンを置き、両手で持ち上げて、封筒を上に載せてもらう。



「寮の方にお礼置いておくね。何がいいかな」


「授業のノートを貸してくれたら、それでいい」


「それだけでいいの?じゃあ、寮のえっと……」


「1034号室の前にでも置いておいて。明日、返すから」


「あっ、うん。わかった」


「それじゃ」



私は、そのままダンボールを持って教室を出た。

丁度良く、授業の始まるチャイムが鳴り、廊下に居た生徒達が急いで教室に戻っていった。

それを横目で見ながら、上の階に上がる階段を上る。

生徒会室は、高等部校舎の5階にある。私がいつもいる教室は、一つ下の4階だった。

微妙に金で装飾された階段を上がって、すぐ横の扉を開く。



「来ましたか、待っていましたよ」


「先輩!どうしたんですか、それ」


「大荷物ね」


「響ちゃん」


「よっ、響」


「……」



そこはすでに生徒会室。

床はタイルではなく絨毯が敷かれ、その上には豪華なテーブルや椅子。さらに置くに、彼らのいるソファーとテーブルがあった。

この校舎の5階全てが、生徒会の部室だ。さすがに広すぎて、教室一つ分だけ貰い、他は物置などや会長の私室となっている。

私は、テーブルの上にダンボールを置き、封筒を開く。

横から、かなが興味津々でダンボールを見つめていた。



「えっと……クラスの女子生徒から私達に渡してくれ、と頼まれたものです」


「中身は何かしら?お菓子だとうれしいわね」


「さっそく中身を開けてみましょう!」


「その前に、手紙があるので読ませてもらいます」



私は軽く手紙に目を通して、一度ため息を付いてから、手紙に書かれている内容をそのまま読み上げた。



『このダンボールの中身は、私達「生徒会ファンクラブ」からの皆さんに向けたファンレターです。それぞれ、リボンで結んでいますのでわかりやすいと思います。白夜紗那様が青、白夜刹那様が緑、彌悠晴様が紫、咲華焔莉様が赤、師那金糸雀様が黄、天田様と天巳様は少なかったので一つにまとめて黄緑、高宮響様が水色、となっております。

ファンクラブ、2834人。誠意を込めて書かせて頂きました。どうか、受け取ってください』




「……だそうです。ほぼ、全校生徒全てが私達に向けて書いたものらしいです」



手紙を読み終えて、封筒に収め、ダンボールを開く。

確かに中にはリボンで結ばれた、沢山のカラフルな手紙が入っていた。圧倒的に、会長と副会長の物が多いけど。



「え~、つまらない。ファンレターとか、要らないよ」


「でも、せっかく書いてくれたのよね。まぁ、少しだけなら読みましょうか」


「というか、何で俺と魅華のは少ないんだよ!おかしいだろ」


「うるさい、耳元で、叫ばないで。うっとお、しい」


「……さっさと終わらせるか」



それぞれが自分宛に送られてきた手紙の束を取っていく。

最後に私に送られてきた手紙をダンボールから取る。大体、40通ぐらいだろうか。

一つ目の手紙の封を切る。中の便箋を開いて、軽く流し読みする。



内容を簡単にまとめると

『好きです。いや、愛してます!付き合ってください!(女ですけど、大丈夫ですよね?)』

私は女の子は恋愛対象にできません。大丈夫じゃないです。



二つ目の手紙の封を切る。最初は、こう。

『先輩って、甘い物が好きですか?今度、お店に出す新作スイーツを試食してもらいたいです』

最初はその誘いを受けようかな、と思った。だけど、手紙の端に小さな文字で

『あの、白夜先輩も誘ってみてくれませんか?』

あぁ、なるほど。と思った。口実か。



二つ目の手紙には返事を書くことにして、次の手紙を開く。

だけど、その手紙の内容も一つ目の手紙と同じような物で、それが37通。

私は、39通目の手紙を握りつぶしながら、軽く涙が出そうだった。



「モテモテですね~、先輩」


「女の子にだけどね」


「まだ、響ちゃんは、いいよ?私なんて、2通だけだったんだもん」


「でも、2つとも男子からだったよね」



だって、すぐに涼が魅華から手紙を奪ってビリビリに引き裂いたんだから。男関係に決まっている。

私は大きくため息をついた。



「なんで昔から女子ばかりに好かれるんだろう…」


「「「性格」」」



即答された。

性格が女らしくないのだろうか。


男に絡まれて困っていた女子生徒を助けたり、重そうな荷物は率先して持つし、クラスの男子と比べると………。

でも、甘いものは好きだし、可愛いものも好き。髪は短いけど、ちゃんと手入れはしている。


なんで、昔から女子に好かれるんだろう。


実は、小さい頃から同姓に好かれるようになっていた。恋愛対象に見られて、中等部の時に一度、部屋までおしかけられた事がある。大人数で。

その時は、咲華先輩と魅華が助けてくれて一時的に逃れる事が出来たけど、寮から抜け出して、夜の学校の校舎を半裸で駆け上がって、部室に飛び込むはめになった。

後日、部屋におしかけてきた女子生徒たちが、謝りに来てくれたけど、怖くて一緒に居た会長の後ろに隠れていた。





もう、あんな事は体験したくない。アレ以来、作り笑顔さえもできなくなった気がする。




もう諦めが9割を占めながらも、最後の一通の手紙の宛名を見る。


『高等部1-3組  望月 翔太』


体が硬直した。




「もしかして……男からか?」


「たぶん、だけど。名前からして男だと思う」


「ふ~ん……」



おそるおそる封筒を開けようとして、誰かに取られる。

消えていったほうを見ると、会長が満面の笑みで、片手に手紙、片手にドアノブを握って



「没収です」



彼は部室から姿を消した。

数秒ほど呆気に取られ呆然としていると、涼に肩を激しく揺さぶられてようやく気づいた。

すぐに会長の後を追うように外に出ると、すでに姿が見えなくなっていた。

階段を下りようと下を覗くと、下の階で会長がこちらを見ながら手を振っていた。



「会長、返してください」


「嫌です。返して欲しかったら、僕を夜までに捕まえてください」



会長はそういうと、姿をまた消した。



「絶対に返してもらいますからね、会長」






それから数時間、私は会長を追って、校舎中を走り続けた。








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