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1:プロローグ


この物語は、竹取物語に出てくる「かぐや姫」を題材にしております。

ですが、この作品は、オリジナル作品です。

竹取物語と内容や表記が異なる場合がありますが、あくまでお手本として使わせていただいている、という事をご了承ください。

お願い申し上げます。



ある空想の日本のドが付くほどの田舎の山に、巨大な学園があった。

東京ドーム4つほどの敷地に、私立の中高大一貫校があり、周りにはスーパーやガソリンスタンドまで設置されている。ブランド品店まであるぐらいだ。

学園が小さな町のようになっている。活気に溢れ、人たちの笑い声で毎日賑わっている。

人と言っても、教員と店員と生徒達しかいないけど。全寮制だし。

さすがにここに通うとなると、学費は普通の3倍以上かかる。

なので、別名「金持ち学園」。正式な名前は、ちゃんとあるが忘れた。




そんな学園に中等部から通っている私―――――――高宮 響 (たかみや ひびき)。


今年で高等部ニ年の私は、決して裕福な家庭に生まれてわけではない。

父は普通の営業サラリーマンだし、母は看護師の共働き。家は安い5階建てのマンションの2階。

普通の家庭に生まれた私が何故この学園に通えているのか、昔からの友人に聞かれた事がある。



理由をいうと、この学園の秘密に関わってくるので、その時は誤魔化した。

だって、言ってしまったら嫌われると思ったから。










「んー…くぁっ」



今日も全ての授業が終わり、クラスの皆の話し声を聞きながら、軽く背伸びをする。

数学の教科書とノートをカバンに詰めて、自分のロッカーから2mぐらいの縦長の黒い袋を背中に背負う。



「あの、響ちゃん」



後ろから女の子の声が聞こえた。後ろを振り向くと、清楚な顔立ちのかわいらしい少女が居た。

綺麗な黒髪を三つ編みにした少女が少しオドオドとしながら、小さな紙を手渡してきた。


紙を受け取り、中の内容を流し読みしてポケットの中に突っ込む。



「今日、の、夜。いつもの場所で、待ってる、ね」


「わかった。それじゃあ、また今夜」



そういうと、彼女は軽く頭を下げて、小走りに教室を出て行った。その後姿を見ながら、自分も同じように教室を出た。

部活に行く生徒や遊びに行く生徒達の波に逆らいながら、少し早歩きで寮向かう。

寮に行く間に、通り過ぎるクラスメートの女子に軽く手を振る。

あまり親しくは無いのだが、一応向こうがしてきたのだから、返さないと失礼だろう。



寮に入ると、寮長の生徒が私に気づいて話しかけてきた。



「高宮さん、今日もアレだったよね。これ、寮の入り口のスペアキー」


「ありがとうございます、先輩」


「いえいえ、今日も頑張ってね」


「はい」


「夜食も、食堂の人に言ってあるから安心して行ってらっしゃい」


「はい」



用件を全て言い終えると、先輩は寮長室に戻っていった。

私は寮のスペアキーを握って、階段を駆け上がる。

10階建ての寮を最上階まで駆け上がり、1034号室の部屋の目の前に立つと、制服の内ポケットから鍵を取り出し、部屋の扉を開ける。


部屋の中には机と洋服ダンスと冷蔵庫とシングルベットしかない。

カバンなどを机の横に立てかけ、上着と首に付いたリボンを取り、壁に取り付けてあるフックに掛ける。黒いニーソックスを洗濯カゴに投げて、ベットに仰向けに倒れこむ。


ベットに置いてあるシンプルなデジタル時計を見て、約束の時間まで4時間以上あるのを確認して、目を閉じる。

そのままうとうとしだして、眠りに落ちようとしたときに、いきなり部屋のチャイムが鳴り飛び起きた。

ゆっくりとベットから降りて、部屋の扉を開けると、扉の前に一人の少女が立っていた。

少し癖っ毛ある茶色の髪を小さくサイドテールにして、かわいらしいウサギのピンを前髪につけた少女は、いきなり目の前にスーパーの袋を差し出した。



「……何、これ」


「今週分の包帯や傷薬です!生徒会長から頼まれて、届けに来ました!」


「あぁ、そういえば今日だった……。わざわざありがとう」



そう言いながら、彼女からスーパーの袋を受け取り、中身を確認する。

確かに、中には包帯や傷薬、絆創膏や消毒液などが入っていた。



「ん、確かに。ちゃんと受け取りました、と会長に宜しく」


「はい、それでは失礼します!」



笑顔で元気に走り去る彼女に軽く手を振り、姿が見えなくなると部屋の扉を閉めた。

そのまま机にスーパーの袋を置くと、タンスの中から下着やジャージを取り出し、部屋にあるシャワー室に入る。

軽くシャワーを浴びてサッパリすると、宿題があったのを思い出し、机に座ってテキストを開く。


面倒だが、さっさと終わらせておこう。


数十分、机に向かい宿題を全て終わらせると、今度こそとベットに飛び込んだ。

ベットに入ると、すぐに睡魔に襲われ、その眠気に身をゆだねた。













どこか耳元で鳴るブザー音で、目が覚めた。

眠い目を擦りながら上半身を起こし、起きる原因になった携帯を掴む。誰かからメールが着たようだ。

画面を開いて、メールを開いてみるとその送り主の名前に驚いた。

さらに、その内容に驚いて慌ててベットに置いてあった時計を見ると、待ち合わせの時間の10分前だった。


眠りすぎた!


慌ててベットから抜け出し、タンスの中から服を取り出す。

普段着ているブレザータイプの制服の黒バージョンと黒いスカート。黒いニーソックスを穿いて、机に立てかけていた縦長の袋と携帯を掴んで、部屋を飛び出した。

携帯の時刻を確認しながら、寮の階段を駆け下り、入り口から待ち合わせ場所まで走る。

待ち合わせ場所には、教室で会った少女や包帯などを届けてくれた少女の他に、数人ほど立っていた。

走って息切れしかけている私に、私と同じような縦長の黒い袋を持った男の先輩―――

彌悠 晴 (みゆう せい)が無表情のまま、私を見ていた。



「遅い」


「ごめん、なさい。少し、寝坊っ、しました………」



胸元を押さえながら、深く深呼吸していると、横から手が差し出された。

手のひらの上には、白いレース生地のハンカチが載っていた。



「大丈夫、?少し、汗、かいてる」



教室で会ったあの三つ編みの同級生。天田 魅華 (あまた みか)だった。

彼女とは中等部三年の時からの友達だ。「大丈夫」と彼女に言うと、そのままハンカチを額に当てられた。

軽く顔を拭かれ、私は苦笑いしながら「ありがとう」とお礼を言う。

彼女は横に首を振りながら、「いえいえ」と言って優しく微笑んだ。彼女も私と同じような黒い制服を身に纏っていた。



「ずりぃ~っ!響には優しいじゃん」


「うる、さい。耳元で、叫ばない、で」



彼女の隣には、同じ黒い制服を着崩し、髪の毛を金髪に染めた同級生。

天巳 涼祐 (あまみ りょうすけ)が居た。彼とも中等部からの付き合いである。

そして、魅華と涼は親戚同士で小さい頃から一緒に育ったらしい。

ちなみに、涼は魅華のことが大好きでいつも彼女の傍に居た。魅華はそんな彼を好き、とは思っていないようだけど……。むしろ、苦手みたいだ。



「あの子達、いつもあれよね。いい加減、進展してくれないかしら」


「無理だと思いますよ~?天田先輩が今の気持ちを変えない限り、絶対無理」



日本人形のような綺麗な長髪に、女性の私から見ても妖艶で魅力的な肉体の持ち主の、

咲華 焔莉 (さきばな えんり)先輩と、包帯を届けてくれた中等部三年の、

師那 金糸雀 (しな かなりあ)が二人の様子を見ながら、ひそひそ話をしていた。

まぁ、横にいる私に丸聞こえだからひそひそ話ではないけど。



「時間だ」



その言葉に今まで話をしていた全員が口を閉ざし、ある人物を見つめた。

私たちと同じように黒い制服を纏い、腰にレイピアを挿して、彼は笑みを浮かべていた。



彼はこの学園の生徒会長で、私たちのリーダー、白夜 紗那 (びゃくや さな)。



容姿端麗で成績はいつも上位をキープし、運動神経も良く、さらに誰にでも分け隔てなく接してくれる事から、中等部の頃から生徒会長を務めている、私のクラスメートだった。


彼の斜め後ろには、眼鏡をかけ、いつも彼のサポートをしている、

白夜 刹那 (びゃくや せつな)先輩がいた。刹那先輩は、会長の兄で副会長である。

兄と言っても、実は同い年らしい。書類の手違いで一学年上になってしまったと、本人から聞いたことがある。



「後、1分30秒ほどで0時だ」



刹那先輩にそう言われて、携帯の画面を開いてみる。確かに後、1分ほどで0時だ。

私は持っていた縦長の袋を地面に下ろし、チャックを下ろし、中の物を掴み出す。


中から自分と同じぐらいの長さの、槍のようなものが出てくる。だが、槍ではなく長い棒の先には大きな刃が付いている。

薙刀だ。

袋を折りたたみ、ポケットの中に入れておく。そして薙刀を持ち、もう一度彼の顔を見る。

他の人たちも、それぞれが様々な武器を持っていた。


彌悠先輩は、日本刀。魅華は、小さなダガーを数本。涼は、銀の二丁拳銃。

咲華先輩は、鉄扇。金糸雀は、小型のボウガン。刹那先輩は、スナイパーライフル。


普通の学生が買える品物ではないし、法律で銃刀法違反で捕まるだろうが、この学園ではこれが普通だ。

この学園の中でのルールの一つなのだ。


こんなこと、友人に言えるわけ無いだろう。

言ったらそのまま警察行きだ。まぁ、その事実は学園にもみ消されるだろうが。




そして、0時を知らせる鐘が鳴った。




「さぁ、今日も学園の平和を守りに行くとしましょう」



生徒会長の言葉にその場にいた全員が頷き、二つのチームに別れ、散開した。

私は一人会長と向き合い、頭を下げ、町に向かって走る。

会長も私と同じように、一人で反対方向へと走って行く音が聞こえた。








さぁ、私の非日常の始まりだ。














昼間の様な活気の無い寝静まった町を歩きながら、携帯の画面を見る。

携帯の待ち受け画面には、私と父と母の3人が映っている。父と母は笑っているのに、私だけ無表情で両親の間に挟まれていた。

この前の春休みに、実家に戻ったときに撮ったものだ。大切なお守り。

じっと眺めていると、突然携帯に電話が掛かってきた。涼からだった。ボタンを押して、耳元に引き寄せる。



「響!!」


「―――――っ、大声で叫ばなくても聞こえてるから」


「あいつらが表門に大量に発生したんだ!俺と魅華と先輩じゃ、突破される!手伝ってくれ」


「了解、すぐに向かう」



携帯をすぐに閉じて、ポケットに入れながら走る。

毎日毎日、あいつらも飽きない物だ。それは私達にも言えることだけど。

だが、立場が違う。あいつらは逃げる。私達は追いかけて捕まえる。

捕まえるより、倒す。のほうが正しい。


数分ほど全速力で走ると、何かを切る音と銃の撃つ音が聞こえた。

目を凝らすと、彌悠先輩と涼が門の前に蔓延っているゼリー状の物体を、切ったり撃ったり蹴り飛ばしたりしていた。

門の上には、魅華が門から出ようとしている黒い飛行物体をダガーを投げて地面に落としている。

上からどんどん落ちてくる黒い物体に向かって走り、薙刀で真っ二つに切る。

地面に這いずって門に行こうとするやつも、真っ二つに切り、動き回る緑色のゼリーに向かって蹴る。

ゼリーがドミノ倒しのように倒れていくのを見ていると、後ろに涼が来た。



「助かったぜ、俺達だけだと門の上を抜けられそうだったからな」


「今日は特に多いのかもしれない。昨日の倍以上が来てる」


「だろうっ、な!」



涼が横から飛び掛ってきた、蝙蝠の様な動物の頭を撃ち抜く。

私も横から飛び出してきたゼリーを切り、野球のように薙刀で遠くまで飛ばす。



「天巳、高宮、上から来るぞ!」


「了解!って、うわっと」



彌悠先輩の声が聞こえた瞬間、私達に向かって何かが落ちてきた。

すばやくその場から離れ、落ちてきた物を確認する。

見た瞬間、思わず薙刀をそいつに向けて投げた。見た目に反してすばやく逃げた物体は、ゼリーに蝙蝠の羽と、頭にキノコを生やしたような形をしていた。色も街灯で見えた。全て、紫色だ。



「うわ~、今日のはいつもよりグロテスクな奴だな」


「呑気に言わないで」


「響、ちゃん!大丈夫、だった?」



門の上から魅華がゆっくりと降りてきた。降りるとすぐに私の傍に来て、ダガーを構える。

隣で涼が「俺の心配はしてくれないの!?」と、銃の残弾を補給しながら叫んだ。

後ろを振り向くと、彌悠先輩が刀を納めながら歩いてくるのが見えた。


私も地面に突き刺さった薙刀を抜き、構える。



「やっぱり、あれ言わないと駄目?」


「そりゃあ、当然でしょ!会長が決めた事なんだから」


「がっ、頑張って、響ちゃん」


「さっさと終わらせろ」







私は軽く体から力を抜くと、息を吸い込み、薙刀を敵に向ける。







「生徒会執行部、並びに、聖かぐや学園所属妖獣討伐隊、参る!」








これが学園の秘密と、私がこの「聖かぐや学園」に通えている理由だった。







新連載です。実はこういうの前から書いてみたかったんです。

こちらは、私一人で執筆していこうと思います。


よろしくお願いします^^

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