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9:後悔、先に立たず


久しぶりの投稿です・・・!今回も短くてすいません(´;ω;`)






私がソファで寝てから、会長達は元赤ん坊だった彼と話をし始めた。

話だけで大体3時間ぐらい経過しただろう。簡単に要約してみると・・・


1・彼は自分の事を「かぐや姫の息子」と名乗っている

2・そして妖獣はかぐや姫が残していった、ある物を守るために作られた存在だという事

3・そのある物というのが彼自身で、彼は妖獣に命令を下すことが出来る事

4・ただし命令を聞くのは彼自身が心から願ったことのみで、基本妖獣達は自分の意思で行動している


という事だろうか。途中、刹那先輩が人を襲わないようには出来ないのか?と彼に聞いたけど、彼は首を横に振った。



「妖獣にも生きるために食料を得る必要がある。彼らが理解してくれない限り、人を襲い続けるだろう」



そう言ってすまなさそうな表情を浮かべている。妖獣の食料って何なのだろうか。

そう思っていると彼が私の視線に気がついたこちらを向いて、ニコリと微笑んだ。



「彼らは人間の記憶を食料にしているんだ。ただし、妖獣が見えている者に限られる」


「なんで?普通の人もいるんだし、わざわざ姿を曝さなくても見えない人の記憶を食べちゃえばいいじゃない」



かなが首を傾げながら不満そうに口を尖らせる。確かにかなが言っている事は正しい。

だけど、彼はまた首を横に振った。



「妖獣が見えない者に対して、妖獣は記憶を食べる事も触れる事さえも出来ない。彼らが食すのは心に傷を持っている者に限られている」


「つまり妖獣が見える人っていうのは、何かしら悩みやコンプレックスを抱えている人、という事かしら?」



咲華先輩の質問に彼は頷く。彼の言葉に私は一瞬息を飲んだ。

確かに悩みはある。コンプレックスもある。確かに合っていると思う。だけど、他の人は?

まず咲華先輩やかなに悩みはないと思う。過去までは知らないけど、自分に自信を持っている人達だから。

彌悠先輩や会長や副会長は謎。何を考えているのかも分かりづらい人達だし、もしかしたら悩みはあるのかもしれないけど・・・無いと思う。

魅華は分かるけど、さすがにあのバカは悩みは無いだろう。あっ、一つだけあるか。魅華に相手されない事。


皆それぞれが何かを考えているのか黙っている中、彼は平然と紅茶を飲んでいる。

話を切り出したのは会長だった。



「君が我々の護衛対象であるのは理解しました。とりあえず君は我々と同じ生活を送ってもらいます。よろしいですね?」


「それはこの学園で生徒として過ごせ、ということか」


「えぇ、近くにいてくれた方が守りやすいので。学園長には話は通してありますので、後で部屋に案内させます」


「そうか・・・ちなみにクラスはどこになる」



彼の質問に思わずキョトンとする。てっきり会長と同じように生徒会室で一日を過ごすのかと思っていたのだ。

その証拠に彼以外、皆驚いた顔を見せている。



「そ、そうですね・・・なら僕と彼女のクラスならいいでしょう。他のクラスに比べて人数が少ないですから」



会長がカタコトにそういうと、彼はピクリと反応して満面の笑みを浮かべた。

その変わりようにさらに一同驚く。



「響と一緒!楽しみだっ。明日が待ち遠しい」


「いや、明日は土曜だから学校はない・・・」



思わずそう呟くと、彼は一瞬硬直してガクリと肩を落とした。悪いことしたかなと若干焦りながら起き上がろうとしたけど、途中で痛くなり、魅華に「無理して、起きたら、駄目」と言われてしまった。

大人しくソファに座る体勢になると、かなが紅茶の入ったカップを渡してきた。

とてもいい香りがする。いつも出されている紅茶とは違う香りだ。



「ありがとう、かな。今日は違う紅茶の葉?」


「えっ!よく気がつきましたね。そうなんですよ~、今日はカモミールを入れてみたんです」



「カモミール・・・初めて飲むな」と呟きながら一口飲んでみる。林檎の様な少し甘い香りが鼻に抜けていく。ホッとする味だ。

思わず一気に飲み干して息をつくと、かなが心配そうな顔で私を見ていた。

私は彼女に微笑みながらカップを机の上に置く。



「美味しかった。もう一杯くれる?」



そう言うと、かなは一瞬キョトンとして次の瞬間花が咲くような笑みを浮かべ、元気よく「はい!」と言った。

カップに紅茶を注いで、鼻歌を歌いながらポットの中にお湯を入れ始めるかなの姿が、とても微笑ましく可愛いと思う。いつも可愛いけどね。

カモミールティーを飲みながらそう考えていると、横からクッキーの入ったミニバスケットが現れた。

驚いて差し出してきた人の方を見上げると、そこには無表情で私にバスケットを差し出す彌悠先輩がいた。



「えーと・・・これは何でしょうか?」


「・・・・・・・・・俺が焼いた」



その言葉に私は驚きが隠せなかった。まさか、あの彌悠先輩がクッキーを焼くとわ・・・。よくよく見れば、可愛らしい花の形のクッキーやマーブルクッキー、さらにはパンダの形をした物まである。

オドオドしながらクッキーと先輩の顔を交互に見ていると、先輩はバスケットの中から数枚取り出して私の手に乗せた。

先輩にしてはちょっと意外で、私は悩みながらも花の形のクッキーを食べた。

サクサクしていて甘すぎず、優しい味がした。今まで食べてきたクッキーの中で一、二を争うぐらいの好みの味付けだった。

思わず顔がニヤける。



「美味しい・・・とても美味しいです、先輩」



感想を言うと、先輩は「そうか」と呟きながら優しく微笑んだ。

一瞬驚いてじっと先輩の顔を見ていると、すぐにいつもの無表情に戻り、私の前にバスケットを置くと、部室を出て行ってしまった。

そのあっけなさに呆然としていると、後ろから舌打ちが聞こえてきた。



「チッあの男、なかなか侮れないな・・・響は絶対に渡さない」


「チッ行動してきたか・・・めんどくさくなるな。速攻で潰しにかかるか」



聞き間違いでないなら元赤ん坊の彼と会長の声だったのだが、振り返ると彼らは普段通りの顔で私を見ていた。

彼らの隣では咲華先輩と刹那先輩が苦笑している。

今日は不思議な一日だった。





結局この日は解散になり、私は自分の部屋に戻って数日療養する事になった。

私は部屋に戻って携帯を充電しようと、一度開いて日付を目にして、驚いた。

私が部屋から出て行ってすでに7日が経っていたのだ。

それだけ授業を欠席しているし、ノートを取っていないことに私は愕然とした。



「・・・・・・どうなる今期の期末テストぉ・・・・・・」



久しぶりにしょうもないことで涙を流した。後悔してもすでに遅いけど、とりあえず今回は諦める事にした。

赤点だけは取らない様に努力はするつもりだ。



ほぼ現実逃避をするため、私は久しぶりに自分のベットで眠りについた。








カモミールティーには安眠効果やリラックス、疲労回復に作用するんだそうです。結構好きな茶葉の一つです。

こういうちょっとした豆知識も話の中に入れていきたいですね。


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