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偽りの錬金術師、貴族経済を解体します  作者: みかん


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17/17

第十七話 隣国からの使者

手紙が来てから三日後、ゴッホが情報を持ってきた。


「差出人がわかった」


ゴッホは倉庫の事務スペースで、カインに紙を手渡した。


「私の元商会時代の伝手を使って調べた。「クレイオン共和国」の商業評議会から派遣された人物らしい」


カインは初めて聞く名前に、少し眉を寄せた。


「クレイオン共和国」


「ヴェルキア王国の西の隣国だ。王政ではなく、商人と職人の代表による評議会が国を治めている、少し変わった国だ。産業と交易で栄えている」


「隣国が、なぜ廃棄素材銀行に関心を持つ」


「クレイオン共和国は資源の乏しい国だ。国土の大半が岩石地帯で、農業も鉱業も限界がある。その分、加工業と交易で生きている国だ」


カインは静かに考えた。


資源が乏しい国。廃棄素材から価値を生み出す技術は、そういう国にこそ大きな意味を持つ。


「差出人の身元は」


「名前はマルティン・ヴェッセル。クレイオン共和国商業評議会の技術顧問という肩書きだ。評議会の中でも、産業政策を担当する部署の中心人物だと聞いている」


「信頼できる情報源からの話か」


「私の元同業者からだ。裏は取れていないが、大きく外れてはいないと思う」


カインは手紙を再び読んだ。


「来週、首都を訪れる予定がある」という一文。


すでに動いている段階だということだ。


「会うべきだと思うか」


ゴッホは少し考えた。


「会う価値はある。ただし、慎重に進める必要がある」


「なぜ」


「クレイオン共和国とヴェルキア王国は、友好的だが、経済的には競争関係にある部分もある。廃棄素材の活用技術がクレイオン側に渡れば、ヴェルキア王国内での廃棄素材銀行の優位性が薄れる可能性がある」


カインは頷いた。


「しかし技術を独占することが目的ではない」


「わかっている。お前の目的は、市場全体を正しくすることだ。しかし国家間の関係となると、話が変わってくる面もある」


「ランベール卿と相談する必要がある」


「そうだな」



ランベールに相談すると、老ギルド長はしばらく考え込んだ。


「クレイオン共和国からの接触か」


「はい」


「まだ王城への正式な認定は下りていない段階だ。その状態で他国からの接触があると、慎重に扱う必要がある」


「会うべきではないと思いますか」


「会うこと自体は問題ない。ただし、話す内容には注意が必要だ。技術の詳細を安易に渡すべきではない。特に、まだ王国として正式に制度化されていない段階では」


「わかりました」


「一つ提案がある」


「聞かせてください」


「面会には、私かセリーヌのどちらかを同席させる。ギルドとしての立場から、話の内容を整理する必要がある」


「お願いします」



面会は、翌週の火曜日、首都の商業会議所の一室で行われた。


マルティン・ヴェッセルは、三十代後半の男だった。予想より若い。細身で、眼鏡をかけていて、話し方が丁寧だった。商人というより学者に近い雰囲気がある。


同席したのはセリーヌだった。ランベールはギルドの他の用事で来られなかったが、セリーヌに全権を委任していた。


「お会いできて光栄です、カイン・ロウさん」


ヴェッセルは丁寧に頭を下げた。


「こちらこそ。手紙をいただきました」


「唐突なご連絡で申し訳ありません。廃棄素材銀行の噂を聞いて、居ても立っても居られませんでした」


「噂、というのはどこから」


「首都で商売をしている、クレイオン共和国出身の商人からです。廃棄物から新しい価値が生まれる仕組みがあると聞いて、興味を持ちました」


カインは静かに聞いた。


「クレイオン共和国は、資源が乏しい国だと聞いています」


「その通りです」ヴェッセルは頷いた。「我が国は岩石地帯が多く、農地も鉱山も限られています。そのため、加工業と交易に依存する経済構造です。原材料の多くを輸入に頼っています」


「廃棄素材の活用技術に興味を持つ理由が、わかります」


「はい。もしこの技術を我が国でも導入できれば、輸入への依存を減らせる可能性があります」


セリーヌが口を開いた。


「技術の導入について、どのような形を想定していますか」


ヴェッセルは少し考えてから答えた。


「率直に申し上げます。まず、廃棄素材銀行の仕組みについて詳しく学びたい。その上で、クレイオン共和国内での試験導入を検討したい。もし可能であれば、ヴェルキア王国との技術協力という形で進められればと考えています」


カインは静かに分析した。


「価値創造の眼」を、ヴェッセル本人に向けた。


「マルティン・ヴェッセル。クレイオン共和国商業評議会技術顧問。目的:純粋な技術的関心と、自国の経済的課題の解決。個人的な野心:低い。組織的な思惑:中程度(評議会からの正式な指示に基づく行動)。信頼性:高い」


(本物だ。少なくとも本人は誠実に動いている)


「技術協力という形について、具体的に何を求めていますか」


「二つあります。一つは、廃棄素材の評価技術について、学ぶ機会をいただきたい。もう一つは、廃棄素材銀行の仕組みそのものを、クレイオン共和国でも導入する際の、助言をいただきたい」


「見返りは何を提示できますか」


ヴェッセルは少し驚いた顔をした。


「見返り、ですか」


「技術協力は一方通行では続きません。クレイオン共和国が持つ何かを、ヴェルキア王国にも提供できる形が望ましい」


ヴェッセルは考えた。


「我が国は加工業が発達しています。特に精密機械の分野で、高い技術を持っています。廃棄素材から取り出した素材を、より精密な部品に加工する技術であれば、提供できるかもしれません」


カインは興味を持った。


「精密機械の加工技術は、廃棄魔道具の修復にも応用できるかもしれません」


「そうですね。我が国の技術者を派遣して、共同研究の形を取ることもできます」


セリーヌが口を挟んだ。


「この話は、まだ検討段階にとどめるべきだと思います。廃棄素材銀行自体が、まだ王国内で正式な制度になっていません。他国との協力体制を組む前に、国内の基盤を固める必要があります」


ヴェッセルは頷いた。


「もちろんです。焦るつもりはありません。ただ、関心があることをお伝えしたく、今日は参りました」


カインは少し考えた。


「一つ、提案があります」


「聞かせてください」


「今日すぐに協力関係を結ぶのではなく、まず情報交換の窓口を作りませんか。私が廃棄素材銀行での技術や実績を定期的に共有し、御国の状況も教えていただく。それを続けながら、双方の準備が整った段階で、正式な協力を検討する」


ヴェッセルは目を輝かせた。


「素晴らしい提案です。ぜひそうさせてください」


「ただし、情報の共有範囲は限定的にします。技術の核心部分ではなく、実績データや仕組みの概要から始めます」


「承知しました。段階的に進めていただければ、我が国としても十分です」



面会の後、セリーヌがカインに言った。


「良い対応だったと思う」


「危険はありますか」


「今の段階では、情報交換の窓口という形は妥当ね。ただし、継続的に注視する必要がある」


「王城への報告は」


「する必要がある。他国からの接触があったことは、正式な審査に影響する可能性がある」


「悪い方向にですか」


「わからない。ただ、隠すよりは正直に報告する方が良い。「他国が関心を持つほどの価値がある」という証明にもなる」


カインは頷いた。


「ランベール卿に伝えます」



ランベールへの報告は、翌日行った。


ヴェッセルとの面会の内容を伝えると、ランベールはしばらく考え込んだ。


「他国が動き出したか」


「情報交換の窓口という形で、慎重に進めています」


「王城への報告は必要だ。今日中に手配する」


「悪い影響がありますか」


「わからない。ただし、廃棄素材銀行の価値が国際的にも認められる可能性がある材料として、うまく使えばプラスに働く」


「うまく使う、というのは」


「他国が関心を持つほどの技術を、ヴェルキア王国が持っている。それを国として保護し、育成する価値があるという主張が、より説得力を持つ」


カインは頷いた。


「そう伝えます」


「一つ気になることがある」


「何ですか」


「クレイオン共和国は、資源に乏しい代わりに、加工技術と情報網に優れている。もし他の国も同じように動き出したら、対応が複雑になる」


「他の国も動く可能性があると」


「廃棄素材銀行の仕組みが機能していることが広まれば、時間の問題だと思う」


カインは静かに考えた。


「対応の準備をしておく必要があります」


「どんな準備だ」


「情報交換の窓口の仕組みを、標準化しておく。どの国が来ても、同じ手順で対応できるようにする」


ランベールは頷いた。


「セリーヌと相談して、進めてくれ」



それから一ヶ月の間に、似たような接触が二件来た。


一つは、南方の「アルダ王国」からの商人を名乗る人物。


もう一つは、ヴェルキア王国内の別の地方領主からの使者。


アルダ王国からの商人は、実際には商人ではなく、貴族の代理人らしいと、ラドの調査でわかった。


「アルダ王国は、農業国です。土壌の劣化が課題になっていると聞いています。土壌改良材の情報を得たいというのが、本当の目的でしょう」


カインは頷いた。


「情報交換の窓口の対応で処理する」


「はい。標準化した手順で対応します」


地方領主からの使者は、より直接的だった。


「我が領地でも、廃棄素材銀行を作りたい。技術指導をしてほしい」


これはヴェルキア王国内の話であり、国外からの接触とは性質が違う。


カインはこの申し出を前向きに検討した。


「ゴッホさんの商会に、地方展開の担当部門を作ってもらう。私が技術指導のための出張枠を作る」


「首都を離れることになりますね」


「一時的にだ。首都の仕組みは、リアとゴッホさんのスタッフで回せる体制になっている」


リアが少し考えてから言った。


「私も一緒に行きますか」


「来てほしい。技術指導には、リアの安定化の技術も必要になる」


「わかりました。準備します」



地方領主からの依頼は、首都から馬車で三日ほどの距離にある「ダルレン領」だった。


農業が主産業の地域で、領主のダルレン卿は、廃棄素材銀行の噂を聞いて、自分の領地にも同様の仕組みを作りたいと考えていた。


「ダルレン領の実情を知る必要がある」


カインは出発前に、ラドに情報収集を頼んだ。


「ダルレン卿は、比較的穏健な領主です。領民からの評判も悪くありません。ただし、財政的にはあまり豊かではなく、廃棄素材銀行の導入によるコスト削減効果に期待していると思われます」


「わかった」


出発の朝、ゴッホが見送りに来た。


「首都は任せろ。三日から四日、留守にしても問題ない体制はできている」


「頼む」


「坊主、初めての出張だな」


「そうだ」


「気負うな。技術指導はお前の得意分野だ」


「わかっている」


リアが荷物を確認しながら言った。


「準備、できました」


「では出発しよう」



ダルレン領への道中は、三日かかった。


馬車の中で、カインとリアは廃棄素材銀行の技術指導の内容を整理した。


「評価マニュアルの説明と、実地での評価実習が中心になる。ダルレン領の実情に合わせて、優先度の高い廃棄素材の種類を調整する必要がある」


「農業地域なら、農具の廃棄物や、収穫の残滓が中心になりそうですね」


「土壌改良材の需要も高いはずだ。既存のレシピを持っていけば、すぐに応用できる」


馬車の窓の外は、田園風景が広がっていた。首都とは違う、のどかな景色だ。


「初めて首都の外に出ますね」リアが言った。


「そうだったのか」


「はい。ずっと首都育ちで、ギルドで働いていたので」


「どう思う、外の景色は」


リアは窓の外を見た。


「綺麗です。でも、なんだか首都とは違う匂いがします」


「土の匂いだろう」


「そうかもしれません」


馬車が進む。


「カインさん」


「なんだ」


「これから、こういう出張が増えますね」


「増える。廃棄素材銀行が広がれば広がるほど」


「大変ですけど、楽しみでもあります」


「そうか」


「知らない土地で、知らない人たちに会って、その人たちの生活が良くなる手伝いをする。それは、良い仕事だと思います」


カインは頷いた。


「同じことを思っている」



ダルレン領に到着すると、ダルレン卿本人が出迎えた。


四十代の、実直そうな男だった。豪華な服装ではなく、実務家らしい質素な格好をしている。


「ようこそ、カイン・ロウ殿。遠路はるばる、ありがとうございます」


「こちらこそ、お招きいただき光栄です」


「早速で恐縮ですが、我が領地の状況を見ていただけますか」


ダルレン卿は先導して、領地を案内した。


農地が広がり、収穫の時期を迎えた小麦畑があちこちにあった。しかし土地の一部は、明らかに痩せた様子を見せていた。


「あの区画は、もう何年も収穫が落ちている」ダルレン卿が指さした。「土壌の問題だと聞いているが、対処法がわからず困っている」


カインは「価値創造の眼」でその土地を見た。


長年の連作による栄養素の枯渇と、排水の問題が重なっている状態だった。


「土壌改良材で改善できる可能性があります。ただし、排水の問題も併せて対処する必要があります」


「排水の問題も、解決できるのか」


「廃棄された陶器の破片を使えば、簡易的な排水路の素材にできます。多孔質の陶器片を土中に埋めることで、排水性を改善できます」


ダルレン卿は目を丸くした。


「陶器の破片が、そんな役に立つとは」


「廃棄物の中には、まだ気づかれていない価値がたくさんあります」


ダルレン卿は感心した様子で頷いた。


「まさに、噂通りの技術だ。ぜひ、我が領地でも導入させてほしい」



ダルレン領での技術指導は、五日間にわたって行われた。


カインとリアは、領地の錬金術師見習い三名に、評価マニュアルの使い方を教えた。


廃棄農具からの金属回収、収穫残滓からの発酵促進剤の製造、廃棄陶器からの排水材の製造、それぞれの手順を実演しながら指導した。


見習いの一人、若い女性のフィーナは、特に飲み込みが早かった。


「これ、土地に合わせて調整できるんですね」


「そうだ。廃棄物の種類と、土地の状況によって、最適な組み合わせが変わる。マニュアルは基本の型を示しているが、応用は現場で考える必要がある」


「応用の仕方を、もっと教えてください」


フィーナは熱心にメモを取った。


五日間の指導の最後に、ダルレン領独自の廃棄素材銀行の設計図が完成した。


首都の仕組みを基本としながら、農業地域の特性に合わせた形に調整されている。


「これで、我が領地でも動かせそうです」


ダルレン卿は完成した設計図を見て言った。


「フィーナさんたちが中心になって進めてください。困ったことがあれば、手紙で相談してください」


「本当にありがとうございます」


ダルレン卿は深く頭を下げた。


「これで、あの痩せた土地も蘇るかもしれない。領民の生活も、少しは楽になるはずだ」


カインは頷いた。


「うまくいくことを願っています」



首都への帰り道、馬車の中でリアが言った。


「フィーナさん、良い錬金術師になりそうですね」


「筋が良かった。応用力がある」


「ダルレン領、これから変わっていきますね」


「変わるといい」


「カインさんの技術が、こうやって広がっていくんですね」


「俺の技術というより、みんなが自分で応用できる仕組みだ。フィーナが自分で考えて、ダルレン領に合った形を作れるようになれば、俺がいなくても続く」


「それが目標ですか」


「そうだ。俺一人が全部を担うのではなく、多くの人が自分の場所で価値を作れるようになること」


リアは頷いた。


「首都に戻ったら、次は何をしますか」


「王城からの正式な認定の進捗を確認する。それと、他の地方からの依頼にも応えていく必要がある」


「忙しくなりますね」


「なるだろう」


「でも、悪くないです」


「そうだな」


馬車は首都に向かって進んだ。


窓の外の田園風景が、少しずつ首都の街並みに変わっていく。


カインは静かに、これからのことを考えた。


廃棄素材銀行が広がれば広がるほど、やることは増える。しかし増える分だけ、変わる場所も増える。


それで良いと思った。


前世で一度も感じなかった、この感覚。


続けることが、そのまま意味になる感覚。


馬車の揺れの中で、カインは静かに次の設計を頭の中で組み立て始めていた。



首都に戻ると、ゴッホが真っ先に倉庫で迎えてくれた。


「おかえり、坊主。留守中、大きな問題はなかった」


「持ち込みの状況は」


「順調だ。むしろ増えている。お前が地方に行っていたという話が広まって、「首都の外にも技術が広がっている」という評判が立ったらしい」


「良い方向に転んだか」


「そうだ。それと、王城から連絡が来ている」


カインは少し身構えた。


「内容は」


ゴッホは一通の書状を差し出した。ヴェルキア王国の紋章が押された、正式な書状だ。


カインは封を切り、中身を読んだ。


「廃棄素材銀行の活動について、王国商業担当省と財政担当省による正式な審査を開始する。審査期間はおおよそ二ヶ月を予定。審査中も、現行の試験運用の継続を認める」


正式な審査開始の通知だった。


「二ヶ月か」


「早い方じゃないか」ゴッホが言った。「普通、こういう審査は半年から一年かかると聞いたことがある」


「報告書の内容が評価されたということだろう」


「それと、視察官の印象も良かったんだろうな」


カインは書状を折り畳んだ。


「審査の間、何か準備すべきことがありますか」


「追加資料の提出を求められる可能性がある。ダルレン領での技術指導の実績も、追加できるいい材料だ」


「まとめておく」


リアが荷物を降ろしながら言った。


「ダルレン領の件、報告書に加えましょう。地方展開の実例として、審査に有利に働くと思います」


「そうしよう」


カインは倉庫の中を見渡した。


留守にしていた五日間の間も、持ち込みは続いていた。棚には新しい素材が並び、帳簿には新しい記録が書き加えられている。


自分がいなくても、仕組みは動いていた。


それが、目指していた形だった。


「明日から、報告書の追加作業を始める」


「手伝います」リアが言った。


ゴッホが頷いた。


「私は審査担当者との連絡窓口を整える。何か聞かれたら、すぐに対応できるようにしておく」


三人は、それぞれの役割に戻った。


夕方、カインは研究室で一人になり、窓の外を見た。


首都の空は、夏の終わりの色をしていた。


ダルレン領で見た田園風景とは違う、街の匂いがする。しかしどちらも、同じ空の下にある。


廃棄素材銀行が、この空の下でどこまで広がるか。


まだわからない。


しかし、確実に広がり始めている。


カインは机に向かい、審査に向けた追加資料の作成を始めた。


ダルレン領での実績、フィーナという若い錬金術師が独自に廃棄素材銀行を動かし始めていること、地方の痩せた土地が改良され始めていること。


一つ一つを、丁寧に文書にしていく。


前世では、こういう作業に意味を感じたことはなかった。


しかし今は違う。


一枚の紙に書く数字の向こうに、誰かの生活がある。


それを知っているから、書く手が止まらない。


夜が更けても、カインは書き続けた。


明日も、仕事は続く。


それが、この世界で選んだ生き方だった。



―――― 第十七話 了 ――――


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