61話 異世界の女の子の体はいい匂いがしてやわらかいようです
今回少し短いです。あんまり話が進展しなくて申し訳ありません。
子供達を救出し終わった後は特にこれといった障害は無く、すぐに元教会に戻ってくることが出来た。
廃墟の奥の方からソーラ達の気配を感じ取ることが出来たのでそちらへ向かいのんびりと歩いていく。
「ただいまー」
「しー」
期待していた言葉とは全く違う言葉が返ってきた事を不思議に思い、口元に人差し指を持ってきているソーラをよく見てみると、床に座っているソーラの太ももを枕代わりにしてミリアムが静かな寝息をたてて眠っていた。
目元が少し腫れぼったくなっているように見えることから恐らく泣き疲れて眠ってしまったのだろう。
「シーツァが出ていった後、また不安が押し寄せてきたんでしょうね。友達を心配して泣いていたの。眠ったのもついさっきよ」
小さな声で教えてくれるソーラに手振りだけで軽く謝ると、ソーラと膝枕してもらっているミリアムの体を【物理魔法】でほんの少しだけ浮かび上がらせ、その体の下と周囲に土狼の毛皮を敷き詰めていく。
毛皮を敷き終わるとミリアムの体を慎重に降ろし、その周囲に助け出してきた子供達をこれまた慎重に降ろしていった。
マトモスに子供達を救出した時の事を聞かれたので起こった出来事をありのままに話すと、あまりに一方的な展開にマトモスは苦笑いを隠せないでいた。
「シ~ちゃ~ん~」
部屋の隅からアイナの呼ぶ声が聞こえてくる。そちらに向くとやわらかく微笑みながら横座りし、自分の太ももをぺしぺしと叩くアイナがいた。
「おつかれさま~。私の太ももを~、枕にしても~、いいのよ~」
「ならお言葉に甘えさせてもらおうかな。っと、その前にっと」
先程ソーラ達にしたのと同じように【物理魔法】でアイナを軽く浮かび上がらせると、その体の下に毛皮を敷いた。
「あら~、ありがとう~」
「いやいや、これから膝枕させてもらうんだからな。床に直接座ったままだと脚痛くなるだろ?」
「気にしなくてもいいのに~」
「いいんだよ俺がしたくてしてるんだからな。それじゃ膝枕堪能させてもらいます」
毛皮の上に寝転がりアイナの太ももに自分の後頭部を乗せる。
目を閉じ、太ももと直接接触している後頭部に意識を集中すると女の子特有のやわらかさが後頭部から幸せの感触として伝わってくる。
この世の王侯貴族が使うような枕なんか足元にも及ばない――使ったことはないが――その感触は永遠に包まれていたいと思えるぐらいの至福だった。
それと同時にアイナから仄かな甘い香りが鼻孔をくすぐる。
転生する前の地球にいた成人女性の化粧や香水の吐き気のする臭いとは異なり、アイナ自身の仄かに甘く、そして香りまでもがやわらかいと錯覚する感覚に段々と心がリラックスしていくのが分かった。
そんな安心感に身を任せていると、徐々に眠気が身体を支配し始める。
はふぅ~、やーらかいな~。人間だった頃は彼女なんていなかったから膝枕なんてしてもらったこと無かったしな~。そして漂ってくる仄かな良い香りについつい臭いを嗅ぐなんて変態的な行動に移ってしまったぜ。あ~、それにしてもなんか段々眠くなってきた……。こんな超高級枕さえも霞んでしまう膝枕で横になってえばしかたな……い……か…………。
後頭部の幸せの感触と甘い香りに包まれた俺は睡魔に抗う術を持っておらず、アイナの太ももの上で睡魔に身を任せた。
どれほどの時間が経ったのだろうか、俺は顔面を圧迫する幸せな感覚で目を覚ました。
目を開けると、目の前は目を開いているのにも関わらず真っ暗で何だろうと思い手で触ってみると、張りがありそれでいてやわらかく、触ればどこまでも指が埋没していくと錯覚してしまうような感触だった。
モニュモニュと触っていると頭上から「ン」とどこか艶っぽい声が降ってきた。
「あら~、私も寝ちゃってたのねぇ~。って、あら~、シ~ちゃんったら~、起きたばっかりなのに~、そんなに私の~、おっぱいを揉みしだくなんてぇ~、よっぽど~、好きなのね~?」
どうやら俺が寝た後にアイナも寝てしまっていたらしく、俺の顔面を圧迫していたのはアイナのもつ山のように立派な双丘だった。
アイナが身体を起こしたおかげで顔面を圧迫していた幸せの感触が無くなり、一抹の寂しさを覚えていると、腹部にも何かが乗っているような感触に気が付く。
目の前にアイナの双丘がある為顔を上げられなかった俺は目だけで自分の腹部を見やると、原因は俺の腹部を枕代わりにしてスヤスヤ眠っているシリルだった。
幼さの残る顔立ちは現在寝顔のため愛くるしさが爆発している。
「シリル」
優しく名前呼ぶともぞもぞと動き出し、やがて薄らと閉じていた瞳が開き始めた。
「うー、がぅ。んあ……シーツァ……、起きたのか……」
「ああ、おはよう。よく眠れたか?」
「がぅ……、まだ寝たりないぞ……」
それだけ言うと再び目を閉じスヤスヤと眠り始めた。
穏やかな寝息をたてて眠るシリルの体を【物理魔法】で起きないように慎重に持ち上げると俺の太ももにシリルの頭が来るようにしてゆっくりと降ろす。
一瞬枕の感触が変わった為か一瞬身じろぎをしたが再び何事も無かったかのように寝息をたてた。
「アイナ、膝枕ありがとうな。足、痺れてないか?」
「だいじょうぶよ~、けど残念~。もう少し~、シ~ちゃんに膝枕~、してたかったかな~」
そう言って俺の頭を軽く持ち上げ、立ち上がりながらゆっくりと毛皮の上に降ろす。
アイナが立ち上がると俺も上体を起こし、周囲をみるとソーラもミリアムに膝枕をしたまま寝ており、マトモスも壁に寄りかかったまま眠っていた。
その光景をアイナと共に暫く見ているとソーラが目を覚まし、次いでマトモスが目を覚まし、ミリアムは目を覚ましたもののまだ半分寝ているような状態だった。
「おはようソーラ。ミリアムも」
「おはようシーツァ。よく眠れた?」
「ああ、グッスリとな。体の疲れがすっかりなくなったよ」
「うにゅ~、おふぁよぅごじゃいましゅ~……。はっ! おはようございますシーツァさん!」
意識が覚醒したミリアムは礼儀正しく挨拶をしてくるが、口元にある寝惚けていた時に垂れたであろう涎が少女を礼儀正しい少女という認識ではなく、微笑ましい少女という認識にしていた。
「あの……、ところでシーツァさん、みんなは……」
「ん? ああ、君のそばで寝ているよ。薬を嗅がされたみたいでね。命に別状はないから安心するといい」
俺の言葉を聞くや否や目を大きく見開き自分の周囲を勢いよく見回すと、もう二度と会えないんじゃないかと心配していた友達が穏やかな寝息をたてて眠っている光景がミリアムの瞳に映った。
次の瞬間ミリアムはその可愛らしい瞳に一杯の涙を溜め、眠っている友達の名前を震える声で順番に呼んでいく。
すぐに溜まっていた涙が決壊し、その瞳から滝のように流れ出る涙は悲しみから来るものではなく喜びから来るものだと、ミリアムの表情が雄弁に物語っていた。
作者自身彼女がいた試しがないので全て想像(妄想とも言う)で書いています。
リアリティがないかもしれませんがこれが作者の精一杯の女性の表現なのです。
女の子の感触なんか分かりませんともええ!だてに彼女いない歴=年齢やってません。
文中に地球の女性の化粧や香水の臭いを吐き気がすると表現していますが、私自身、身近な女性陣があまり化粧や香水などをしない為ほとんど免疫がないのと、鼻が利く為人一倍臭いに敏感だからです。不快に思われた方は申し訳ありません。
ここまでお読みいただきありがとうございます。多くのブックマーク大変励みになっています。