何故か桃色になった私
『桃色の聖女』
髪色、瞳の色、着てる物、全てが桃色で包まれた異世界からの旅人である聖女の事をそう言う…らしい。
異世界からふらりと降り立ち、この世界を揺るがす力を持っている…らしい。
その事を知ったのは、あの場からルメイトリー王国とやらの王子様達に近くの森にある王子達の拠点?別荘?とやらに拉致された後の事だった。
「聖女様…先ほどの無礼をお詫び申し上げます…ですから機嫌を直して頂けると…」
「ハァ!?アンタたちからのお詫びなんて私にとっては何にもならないじゃない!!!というか私はその『桃色の聖女』じゃないと思うんだけど!?髪色と瞳の色なんて黒よ黒!!!ただの日本のjkよ!?確かにピンクのカーディガン着てるけどさ…ま、私が可愛いから勘違いするのも無理は無いけど?」
そう、私はただのjk。茶髪ならまだしもピンクに染めたら先生に怒られるっつーの!
「…聖女様、この鏡をご覧下さい…」
そう言ったまともそうな王子…名前なんだろそういや…ともかくこの人は私に手鏡を寄越した。そこを覗きこむと
髪色と瞳の色がピンクになった私が居た。
「は…はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!!!?!?」
なんで!?なんで私がこんな事に!?…あ、でもピンクな私も可愛い。これはこれで良いな…
「わかっただろ?アンタが伝説の聖女サマって事が」
さっきから態度が悪いガラの悪そうな王子がそう言う。いや知らないわよこんな事になってるなんて!!!
「というか!!!私の名前は聖女じゃなくて『百井苺』!覚えなさい!!!」
「…別に聖女様でも良くなーい?」
妙に気だるげそうな王子が言う。黙れはっ倒すぞ
「失礼しました聖女様…ではなく、『モモイ』…?様。私の名前はルメイトリー王国第一王子のルシアーノと申します。以後お見知りおきを」
「…フン、兄上は相手が聖女だからって畏まり過ぎなんだよ。俺はこんなちんちくりんが世界を救うだなんて信じねぇ」
ルシアーノに比べてさっきから態度がマジで悪いなコイツ
「エヴァリスタ!!!失礼だろう!…モモイ様、こいつは第三王子のエヴァリスタです。末っ子だからか誰に対しても横柄で…あ、そしてこっちは」
「第二王子のルイスだよーよろしくー」
気だるげそうな王子も答えた。
なんだかこいつらを認めるとなんだか元の世界には帰れない気がして、よろしくはしたくなかった私はついそっぽを向いた。
「…ふん!」
「あ、聖女様へそ曲げた」
「…モモイ様、そのままで良いので聞いてください。我々人間側であるルメイトリー王国は…」
長くなったので省略するが、どうやらこの世界は人間が暮らすルメイトリー王国と魔族が暮らす魔界ヴァシュロン大陸が日夜戦争をしているらしい。
んで、さっき王子達が戦ってた相手は魔王とその仲間二人らしく、王子達が奇襲を仕掛け見事に返り討ちにされたところに私が現れたらしい。糞タイミング悪いな私
そして魔王に奪われる前に私を拉致したって事らしい。王子のすることじゃないだろ
「ご理解頂けましたか?」
「いや全然」
そんなのわかりたくもない
そんな事を思っていたら
「そんなの、わかりたくもないだろうよ」
さっきの見覚えのある人達が何故か目の前に現れた。
あれ、コイツって…
「「「…魔王ヴァレンライン!?」」」
やっぱ魔王か
百井ちゃんは若干ナルシスト