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十二章 皓緋・三

俺は今、よくわからない場所にいた。

横になり、淡く七色に発光している空間に浮いている様だ。

進んでいるのか止まっているのか、全くわからない。

周りには何もなく、また特殊な場所にいる事だけはわかる。


ん?

何だこれは?


突如、頭の中に処理しきれない程の情報が流れ込んできた。

静欒さいらんの事、朱艶と陽織の事、氷蓮達の事、そして彩音の事。

全てをまだ処理しきれてはいないが、彩音が無事だったことは安心した。

それにしても、春詠は随分色々隠していたんだな。

いや、隠すというより何も教えなかっただけだな。そこに至るまでの思考を持たせられない様にされていた訳だが、それに対して怒りも何も感じない。

というより、今までの自分では無い気すらする。

何故そう思うのかといえば、静欒の王である自分にこれほどの情報を秘密にされていた。普通なら、王である自分を軽んじ、蔑ろにされたと憤っていた。その上、兄弟同然の春詠に、同じく兄弟同然の朱艶や陽織を見殺しにされているのだ。それなのに、ああそうか、で済ませられてしまう。

こうなると春詠の情報は正しいのだろうな。

俺が特別特殊な人間。いや、人間もどきなのか。

まあその情報も嘘で、また騙されているのかも知れないが。

俺は、流し込まれた情報を考察しながら適時処理した。


皓緋


ぼんやりしながら、これからの事をそれなりに考えていた時。

頭の中に春詠の声が響いた。


「なんだ?」


俺は声に出して答えた。


うん。最後に何か訊きたいことでもあるかなと思ってね。


「無いな。……ああだが、今の俺は『本当の俺』なのか?」


そうとも言えるし違うとも言える。

今のお前は私の施した教育が抜けた——本来のお前になっただけ。『皓緋』というお前自身は何も変わっていない。そうだな……今までのお前は衣装を着ていて、今のお前は衣装を脱いだ状態、だな。


「成程」


それならば、よくわかる。

『俺』というもの自体は変わっていないということだな。


他には? 無ければもうお前は彩音ちゃんの世界に行って、幸せになるといいよ。


「他に……。ない、ああいや、春詠……お前は何がしたかったんだ?」


そう。

春詠からの情報を整理、考察して思ったこと。

春詠は何がしたかったのか。

世界を裂いた奴等に復讐をしたかったのか、違うとしても長い長い時間、『人間もどき』を創造をしていたんだ。

何かしらの意図はあったはず。

春詠は暫く沈黙していたが、意外な答えが返って来た。


何も。

強いて言えば、お前達を創造することが楽しかった。そして色々飽きた。だから全てを終わらせるため、お前を創ったんだよ、皓緋。

私はね、ただ裂かれた世界を元に戻したかっだだけ。復讐とか、そんな気持ちは塵程も持ってないよ。そして、裂かれた世界は一つになった。だから、私ももう自由に生きるさ。……他には?


「無い」


どういう思いでいたのか。

それが知れたから、他に訊く事もない。


そう。

じゃあ、さよならだ。


「ああ」


会話が終わると同時に、意識が何処かへ引っ張られた。そして、徐々に意識が遠のいていった。

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