十二章 彩音・四
家に入り、アイスを皆で食べて一息つくと五時近くなり、今日はお開きとなった。頼子さん達は今回はバスで来た。駅までは車で来て、車は駅のコインパーキングだそう。
見送りはいらない、というので玄関先でお別れし、そこで話の流れで皓緋さんと私の電話番号を教え合うことになった。
これから従兄妹になるんだし、頼子さん達の食事会の事もあるからと言われたら断る理由もなくて。まあ確かに人生何があるかわからないからいいか。どうせ頻繁にやり取りする事はないし……と思ってたのに。
何故か。
別れて一時間も経ってないのにメッセージが来た。早いし。何故こんな自分に構うの!?
『今日は楽しかった。ありがとう。これからもよろしく』
と、内容はごく普通の挨拶だったので私も
『こちらこそありがとうございました。これからよろしくお願いします』
と、ごくごく普通に返しただけなのに、すぐに
『嬉しい。ありがとうな』
と返事が来るとは思わなかった。
いや、何で皓緋さん、こんなに私に構うんだろう? それとも私が気にしすぎ? うーん?
「あらどうかしたの? 何か難しい顔してるけど」
リビングの片付けをしていたお母さんが訊いてくる。
「うーん、なんか皓緋さんからメッセージ来たんだけど……」
「あら! 良かったじゃない。仲良くなれそうで」
お母さんがにやにやしながら言うけど何を考えているのか。
「まあ仲良くなれるならそれにこしたことはないけどさ。頼子さんとはこれからも仲良くしたいし」
皓緋さんと仲悪くなったら何となく頼子さんの所には行きづらくなるしさ。
「まあねぇ。でも静賀さん、良さそうな人で良かったわー。あ、でもまだ油断はできないけど」
「確かに」
頼子さんは私が三歳くらいで結婚したけど、それから二年後ぐらいで離婚したからなあ。
その頃の私はまた頼子さんと沢山遊べるようになって嬉しいぐらいしか思ってなかったけど。
「あ、あんた夕飯もういらないよね?」
「うん、いらない」
ピザにフライドポテトに唐揚げ、おにぎり、サラダにスープとかなり頑張って作った料理の数々。それにデザートのケーキやアイス。もういらない。
それにピザとかも全部食べきれなかったし。まあ残りはお父さんの夕飯になるだけだけど。
とは言っても目の前にあるとちょっと手が出るんだよね、何故か。
私は目の前にあるフライドポテトを一本取って食べる。
「あの人にはお味噌汁だけ作ればいいわね」
お母さんはお父さん用に残ったおかずを別のお皿に盛り付けだした。
私はもうキッチンにいる理由もないので、手を洗って部屋に行った。
部屋に入り、ベッドに横になった。
「…………」
あのイケメンが本当に従兄妹になるのか……。
あんなイケメンが身内だとバレないようにしよう。色々面倒くさいことになる。
……あれ。
でも今日、それなりの人数に皓緋さんを見られたけど、思った以上に騒がれてなくない……?
普通、あれだけのイケメンだともっと騒がれてもいい様な気もするんだけど。
それとも逆にイケメン過ぎて気軽に近づけなかっだとか? うーん。
私は勢いよく起き上がり「ねえ、どう思う? 『 』?」と言って、ううん、正確には喉奥で声が詰まって声にはならなかった。けど……。
「え? 私、何……?」
一体誰に話しかけようとしたの?
この部屋には私一人。
きょうだいだっていないのに。
でも、でも……。頭が、心がモヤモヤしてすっきりしない。
「……動揺、興奮? してるのかな。あんなイケメン見た後だもんね」
私はそれ以上考えるのを止め、また横になって握ったスマホに目を向けた。




