第二章 第四話
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ルナ と ノア ……最後の二人の 「デスティニージャッジ(運命の審判)」 が始まろうとしていた。すると、他のクラスの生徒たちもAクラスに集まり、場内は少し騒然としていた。
『ルナさんとノアさん…………一体、どこのエリアになるかしら』
『そう言えば、今回のこの《最終試験》も勝負してるらしいわよ』
『あ、わたしルナさんに賭けたわ。だって、やっぱりルナさんってすごいですもん』
『いやあ、それを言うならノアだってすごいぜ~。まだルナに勝ったことはないけど実力は拮抗しているからな~。ちなみに俺はノアに賭けたぜ』
『お! 俺もノアちゃんに一票! 俺、ノアちゃん派だから』
『ばかやろう! ルナちゃん一択だろ! ルナちゃんだからこそお前ら踏まれたいんだろ!』
『何の話だよ』
『男子、サイテー』
すると、担任がギャラリー(野次馬) に向かって、
「静粛に! デスティニージャッジ(運命の審判)の最中ですよ! 自分のデスティニージャッジ(運命の審判)が終わったのなら、さっさとお帰りなさい!」
と、厳しいお言葉が返ってきた。ギャラリーの生徒らは意気消沈し、立ち去ろうとしたそのとき、
「まあ、まあ先生…………いいじゃないですか」
『!!』
そのとき、場内が一瞬、静まり返った。
そして……
『キタ~~~~~~~~~~~~~~~~!』
『キャアアアアア~~~~~~~~~~~~!』
ギャラリーが一斉に歓声を上げた。
「ようこそおいでくださいました。『マリア・インフィールド理事長』殿」
『で……出たーーー! 《ルナママ》こと《マリア・インフィールド理事長》!』
『わぁ~……すごいキレイ!』
『あ、あたし……初めて見た。かっこいい~!』
ギャラリーは一層、ざわめき立った。
「先生、すみません。今日はもうこの二人で最後ですから、他の生徒もそのままここで見学させてあげてはいかがでしょう?」
「は、はい。マリア・インフィールド理事長がそう仰るのであれば、全然問題はありません」
「ありがとう、ジュピターさん」
担任も、マリア・インフィールドと話をして半ば『舞い上がっている』ようであった。
ギャラリーが『ワァー』っと歓声を上げた。
「ルナ…………」
「は……はい、お母様」
「いよいよですね、デスティニージャッジ(運命の審判)……」
「は……はい」
『おお~~~~~~~~~~~~~!』
普段、養成所では見せたことのない『ルナ・素直バージョン』を刮目した数人の男子生徒からため息が漏れた。ちなみに、その中には当然『ルナ・インフィールドファンクラブ会員ナンバー1番』のボルタ・ニドムも含まれていたことは言うまでもない。
「ママ、ずっと理事長をやってきて、毎年、このデスティニージャッジ(運命の審判) の最後を『見届ける役』をやってきたけど、今日のデスティニージャッジ(運命の審判) は今までより緊張しているわ」
「お母様…………」
デスティニージャッジ(運命の審判)の最後の二人…………つまり、養成所内の第一位・第二位のときは、毎年、養成所の理事長であるマリア・インフィールドが見届ける役を行っていた。
「……ノアさん」
「お久しぶりです、おば様……いえ、マリア・インフィールド理事長」
「ふふふ……ノア。いつもルナと仲良くしてくれてありがとう。あの子、わがままで口が悪いから大変だとは思うけど、これからも仲良くしてあげてね」
「そ……そんな…………もったいないお言葉です、マリア・インフィールド理事長」
「ちょ、ちょっとお母様! 変な事言わないでよ!」
「はいはい、ごめんなさい」
さすがのルナ・インフィールドも、ルナママであるマリア・インフィールドには頭が上がらないのだなと、そこにいるすべての生徒たちは驚嘆と同時に、改めて尊敬の念をマリア・インフィールドに向けた。
「さて……」
マリア・インフィールドは、ルナとノアへのあいさつを済ませると、改めて『理事長』の顔に戻った。
「これより、今年最後のデスティニージャッジ(運命の審判) を始めます! まずはノア・リンズバーク…………前へ」
「は……はい!」
ノアは、マリア・インフィールドの元へ歩いていった。
「ノア・リンズバーク…………これより、貴殿のデスティニージャッジ(運命の審判)を行う。『ディメンションボックス(次元箱)』に手を」
「はい」
ノアは、マリア・インフィールドが持っている『透明なボックス』の中へ手を入れた。
「ノア、心を落ち着かせ、精神統一をし、心を『空』にしなさい。 さすれば『ディメンションボックス』がそなたの『大いなる流れ』を認識し、あなたに必要な『答え』を導いてくれるでしょう」
ルナが精神統一を始めると、ディメンションボックスが光り始めた。
その光はどんどん大きくなっていき、ついにはこの養成所一帯を明るく包んでいった。
「す……すごい、光の『拡がり』ですね」
担任が呟いた。
「うむ……やはり、このノアの『資質』も『父親譲り』といったところか」
一分後…………ディメンションボックスに入ったルナの手に『ある感触』が伝わった。
「つかみました!」
「よろしい。それでは箱から手を出し『自らの運命』を確かめよ」
ノアはゆっくりと箱から腕を引いた。
ご拝読ありがとうございました。
長い間、更新できずにすみませんでした。
今年は「2作品同時」に投稿していけるようがんばりたいと思います。
更新は不定期ではありますが、一ヶ月に2~3回投稿できればと思ってます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
m(__)m




