第二章 第二話
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ここは《天使界》にある《ガイド》を育成している機関…………《天使界立ガイド養成所》
そこは今、ザワザワとあわただしくしている……………………というのも、今日はルナたち《見習いガイド》である天使たちの《課題》を決める《儀式》…………《審判の日》が始まろうとしていたからだ。
「パンパン! はーい、皆さん……静粛に。では、これから《課題》を決めるための儀式…………《審判の日》を始めますので、各自、担任の指示に従って移動してくださーい!」
と、一見、容姿が若く、端整な顔立ちの…………だが、年齢は、この養成所の最年長であり、かつ、養成所の校長……《ジュピター》の指示の合図と共に、皆、一斉に動き出し、さらにあわただしくなった。
ルナは、そんな喧騒を避けて一旦、外へ抜け出ようとしていた。そんな時……、
「待ちなさい、ルナ・インフィールド!」
背後から、突き抜けるような《通りの良い声》でルナの名を叫んだ《美少女》がそこにあった。
が、しかし…………スタスタとルナは足を止めずに過ぎ去ろうとした。
「ちょ……ちょっと待ちなさいよ…………………………ルナ!?」
その《美少女》は、あわてて小走りでルナの前に立ちふさがった。
「あら? ノアじゃない?…………気づかなかったわ。ごきげんよう」
「うそ、おっしゃい!」
「ふん、当たり前じゃない。ウソよ」
「くっ! ルナ…………あいかわらずね。フフ…………でも今日の《審判の日》……楽しみね」
「そう? 別に何とも思わないわ。わたしはどんな《課題》でも絶対に1番にクリアする自信あるから」
と、ルナはピンクのツインテールの髪をサラッ……と左手で振り払って余裕で言ってのけた。
「フン…………相変わらず傲慢な態度ね。さすが《天使界立ガイド養成所 成績一位者》…………《クイーン(男性ならキング)》の称号を持つ者と言ったところかしら?」
「別に、取りたくて取ってるんじゃないわ。やったらそうなっただけよ」
と、余裕のルナ。
(くっ……ルナのやつ~~~~~!)
と、心中穏やかじゃない、透き通るような青髪の《美少女》は、《天使界立ガイド養成所 成績二位者》…………《トラスト(男女一緒の呼び名)》の称号を持つ《ノア・リンズバーグ》だった。
二人は、共にこの養成所の中の《エリートクラス》である《Aクラス》の生徒であり、かつ、小さい頃からの《ライバル》でもあった。
「あ、言っとくけど、わたし別にノアのことライバルなんて思ってないから…………ノアはただの《くされ縁》だから。今の《解説》、訂正しといて!」
「うっさいわねー! 何よ、《解説》って………………」
あっ…………《ライバル》じゃなく、《くされ縁》だそうです。
「おい、解説! 何、本編に関わってきてんのよ! それと本当に訂正すんな!」
面目ない。
「…………それにしても、あんたホント昔から変わんないわね、そういうムカツクところ!」
「別に。あんた以外の他の人にはそんなことないけどね」
「ムキーー! ムカつくー! 言っとくけどね~、私はこれまで本当は《わざと》あなたに勝ちを譲ってあげてきたのよ。そんなことぐらいわからないのかしら?」
「ほぅ~…………小学校のときからアタシに勝ちを譲っていると? ふーん」
そう言うと、ルナの表情が《ニィー》と《イジワルな笑顔》でノアに顔を近づけてきた。
「な……何よ?」
ノアは、様子の変わったルナに、表情をこわばらせた。
「じゃあ…………この《ガイド見習い》の最後の課題である《審判の日》の《課題》もこのままアタシに勝ちを譲るってことでいいのね? そうなったらノア…………あなた、最後まで《トラスト》のままで卒業というつもりなのね?」
と、ルナは《ふてぶてしさ満載》の笑顔で、ノアへ詰め寄った。
「ふん! そんなことさせるわけないでしょ! この最後の課題…………《審判の日》では、わたしがついに本気を出すから、ルナ…………あなたはもう1番にはなれなくてよ! ホーッホホホ…………」
ノアは、《ここぞ!》とばかりに、ルナに対して《最大限の上から目線》で対抗した。
「あら? あなた、そのセリフ…………これまで毎回、毎回聞いているのだけれど、今回こそは《本気》を出すという理解でいいのかしら?」
ルナは、ニヤニヤしながらノアに悪態をついた。
「う……うるさい! 今度こそホンキのホンキ! 《超ホンキ》なんだから! 見てなさい! わたしが1番にこの《課題》をクリアして、最後は《首席》…………《クイーン》となってここを卒業してやるんだから! ルナ、勝負よ!!」
ノアは、ルナを指差し、高らかに《宣戦布告》をした(いつものことらしいが)
「フッ……………まぁ《くされ縁のよしみ》として、この勝負受けてあげるわ、ノア。ありがたく思いなさい」
「ふん! 今回こそ、その高々しい鼻っ柱をへし折ってあげるわ、ルナ!!」
と、透明な青髪をフワッと浮かしながら振り返り、ルナから離れていった。
「フフ…………ノア。相変わらずね」
ルナは、一瞬《愛らしい笑顔》を見せ、ノアとは反対側に向かって歩みを進めて去っていった。
「おい…………やっぱり…………」
「ああ…………間違いない! 《トラスト・ノア》がついに《クイーン・ルナ》に、《最後の宣戦布告》を申し込んだようだな」
と、この光景を見ていた周囲の者たちが色めき出した。
そして、その中の一人が大声で高らかに宣言した。
「さあ、始まりましたよー皆さん! 《トラスト・ノア VS クイーン・ルナ》の《ガチンコ一本勝負》! ついに、《トラスト・ノア》が《クイーン・ルナ》に《宣戦布告》を申し込みましたーーーーーーー!」
『おおーーーーーーーっ!』
とそれを聞いた周囲の《やじ馬》が反応し、《場》がさらに盛り上がりだした。
『いやー最後も間違いなく《クイーン・ルナ》だろう!』
『いやいやいや…………《トラスト・ノア》のあの宣戦布告には何か覚悟をワタクシ感じましたぞ!』
『キャー! 《トラスト・ノア》さんも、《クイーン・ルナ》さんもどっちも素敵~~~!!』
『お前ら、何を見ている! 《クイーン・ルナ》の何がすごいって、そりゃ~お前………………あの《巨乳》だろ?』
『男子…………サイテー』
『死んで、《無脊椎動物》から転生したら良いよ』
『む…………《無脊椎動物》…………………』
などと、皆、想い想いに勝手な期待で盛り上がっていた。
だが、その中で特に《クイーン・ルナ》のことを《クイーン・ルナ様》と《様》付けをしている《威勢の良い男》がいた。
「俺は《クイーン・ルナ様ファンクラブ 会員番号001 ファンクラブ代表》こと《ローレン・スタン》。クイーン・ルナ様のことなら俺に聞け! 何? どちらが勝つか…………だって? そんなの《クイーン・ルナ様》に決まってんだろ!」
ローレン・スタンは高らかに威勢良く宣言した。すると……、
「ふん! 相変わらず《クイーン・ルナ》のファンクラブ代表は、下品この上ないな…………」
と、威勢の良いローレンとは対照的に、クールな笑みを浮かべた男が《ギラッ!》とローレンを睨み返し言い放った。
「フッ…………《ランドール》か」
ローレンを睨み返した男…………それは、《ノア・リンズバーグファンクラブ ファンクラブ代表》の《ランドール・スー》だった。
「言っちゃなんだが…………これまでノアは一度もルナ様に勝ったことがないからな。そこんとこどうなの?」
「ふん! それは《今までのノア様》の話…………今回の《審判の日》への意気込みはこれまでとは全然違い、鬼気迫るものがある。はっきり言って、俺はルナに同情さえしたくなるよ…………」
「ああ……………………それ前回も聞きました」
「な…………何をー! そんなの言った覚えはない!!」
「言いました」
「言ってない!」
ルナとノア…………本人同士の対決の前に、すでに、二人の《ファンクラブ代表》が、一触即発に盛り上がっていた。
すると、ルナとノアが遠くで二人に声をかけた。
「こらっ、ローレン! 何をしている! サッサと準備しろ!?」
「はーい、ルナ様!」
「これ、ランドール…………早く準備をなさい」
「申し訳ありません…………ノア様」
ローレンとランドール…………二人の性格をわかりやすく示した反応だった。
しかし、これから《課題》を決める《審判の日》により、ルナが《ロストナンバー》の《地球》へ向かうことになろうとは、このとき誰も予想だにはしていなかった。




