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第二章 「それぞれの、ハジマリ」



   第二章 「それぞれの、ハジマリ」



   1



「ええ!? て……天使長、すみません…………もう一度言ってもらえます?」

「だから~……おぬしの《課題》は《人間》と一緒になって《第0番エリア》の《浄化活動》をすることなの…………わかった?」

「なんでですか~! どうしてですか~! 納得いきません!!」

「納得も、へったくれもないの。そういう《課題》なの。だから早く行ってきなさい」

「やだ~!! 絶対やだ~!! 《第0番エリア》って、いわゆる《第0番》……《番号なし(ロスト)エリア》…………《地球》のことでしょ?!」

「いかにも」

「《地球人》って、つまり《人間》のことでしょ?」

「いかにも」

「やだ~! あんな《野蛮で低レベルな種族》と一緒に《浄化活動》するなんて! おじいちゃん、どうにかしてよ~!」

「コラッ! ダダこねるんじゃありません! これはあなたが決めたことでしょ!」

「で……でもお母様! まさか《ロストエリア(第0番エリア)》……《地球》で、《人間》との《浄化活動》だなんて思わなかったんだもの~。もしそうとわかってれば、こんな《課題》選ぶことなかったのに~」

「いい加減になさい!! もう子どもじゃないんだから。あなたはもう立派な《ガイド見習い》でしょ?!」


 その駄々をこねている者の母は、自分の娘に厳しく注意した。


「お……お母様」

「申し訳ありません、天使長。娘のルナにはわたくしからキチンと言っておきますので…………どうぞご公務にお戻りくださいませ」

「うむ、では頼むぞ…………マリア。ではワシは仕事に戻るとしよう。ルナ……まあ、おぬしの《課題》……《人間嫌い》のお前にとってはとても厳しいものかもしれんが、何とかがんばって勤めを果たし、戻ってくるんじゃぞ。おぬしならできる。ワシはそう信じておるからな。それではの!」


 そういうと《天使長ソフィア》は目の前から《フッ!》と消えた。


「ル~ナ~…………」


「!?」


 今まで慈愛に満ちた声で話していた《ルナの母 マリア・インフィールド》はどこへ行ったのか、ルナの目の前には、《ドスの効いた重低音の圧みのある声》で声をかける母・マリアの姿があった。


「は……はい…………お母様」


 ルナは、母の機嫌を瞬時に判断し、あまりの恐怖に体が固まっていた。


「ルナ……あなた天使長の前で、よくもあんな物の言い方ができますね」

「だ……だって、天使長は《おじいちゃん》だから…………」

「《だから》じゃありません! 確かに、天使長ソフィアは、あなたの《おじいちゃん》であり、そして、お母さんの《父》にあたる人よ。でもね、ルナ…………いくら家族だからって、こういう《課題》の話をしているときに天使長を《おじいちゃん》としてお話するのは違うの。今は大事な仕事の話をしているのだから…………わかった?」

「…………ごめんなさい。でも、お母様……わたし《地球人》である《人間》はどうしても好きになれないんです。あんな《自分勝手で野蛮な原始人》…………」

「コラ……言葉が過ぎますよ。………………でも、確かにそれについてはお母さんも同情するわ」

「でしょう、お母様! だったら、もう一度、ソフィアおじいちゃんに頼んで…………」

「調子に乗るんじゃありません!」


 ゴン!


 ルナは、マリアにゲンコツで殴られた。


「いったーーーーい!」

「とにかく…………なんであれ、これはルナ……あなたが決めた《課題》です。これが覆ることはありません」

「そんな~…………」

「まあ、何かあったら連絡なさい。お母さんもできるだけ協力するから…………」

「うう…………ぐすん。わかりました」




――――そして、話は【第一章】の冒頭の続きへと戻る




「こうして、アタシは《ガイド見習い》として《ロストエリア(第0番エリア)》である《地球》への派遣が決定したの…………」


 と、《ガイド見習いの天使・ルナ》は、ヨージに答えた。


「へー………………でも、《天使》って言われてもな~…………正直、《ピンッ!》と来ねーし…………」

「知らないわよ! あんたの《ピンッ!》なんて!! そもそも、何で《こんなこと》になってしまったのか…………思い出すだけでも《後悔の念》に包まれるけど、でも、この《ロストエリア 地球》への派遣が決まった《いきさつ》も話してあげないと、あなた…………さっきの《ナマイキな小娘》に話聞いたけど、何も知らないんでしょ?」

「お…………仰るとおりです」

「まったく………………どうして《クイーン・ルナ》のアタシが、《人間ごとき》に、ここまで説明しなくちゃならないのよ! 夢なら醒めて欲しいわ」

「お…………仰るとおりです、いやマジで」

「…………何か言った?」

「い…………いえ」

「だーーーーーーーーーっもう! それじゃあ、サッサと始めるわよ?! 一回しか言わないからちゃんと聞いてよね、いい?!」

「ア…………アイアイ・サー」


 どうして俺がこんな目に会わなくちゃならないんだ………………ひどい。



――――それは、お母様との会話から一日前の《養成所》での《儀式》の話から始まるの。




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