ep.2
【手繰り屋】
「……何か御用で? あぁ、スピカの言っていたお仕事ですか。この前は想華にお話を伺っていたようですね」
白髪を大きな三つ編みにして、肩にかけている。青色の瞳が貴方を見透かしてくる。裁縫道具をモチーフとした服装に身を包み、高原の衣装に似ているそれは、彼女を人形のように見せた。
彼女の名は“シア・ホムンクルス”、人造人間のゴーストライターである。あやとりという能力で糸を操り、様々なことに活かせる。鈴の岬にいる者達の服をあしらっているのも彼女らしい。
彼女は六つの花弁が重なったような髪飾りを着けているが、それには二人の魂だけの存在が居て、彼女はその者達の力も借りられるようだ。
「ちなみに、彼女には僕達の話を聞く目的は伝えられたんですか?」
貴方は首を振る。スピカは“面白い”という曖昧な理由で貴方にこの暇潰しを提案したのだ。
「そんなことだろうと思いました。いえ、いいですよ。話すことはあまりありませんから、簡潔に話しましょうか」
※ ※ ※ ※ ※
僕は名前から察せられるでしょうが、ホムンクルス……人造人間です。製造場所は、HISUIと依嗚が実験を行われていた場所と同じです。ただ、彼女達とは違い、僕は英才教育を受けた後に自由行動を許されました。
僕は実験場にて、HISUIを創造する分隊に協力していました。そこでは、宝石に意識を芽生えさせる実験が行われており、僕は翡翠という勾玉等に使用されている宝石を付喪神化させる行程を試行錯誤し、完成した宝石型意識体「HISUI」を実験分隊に与えました。しかし、それが誤りだというのに気付くのは、実験が最終工程に以降する時でした。……遅すぎたんです。
僕は、カーバンクル──依嗚が生まれる起因となった実験のことを知りませんでした。子供を集め、様々な宝石を額に埋め込む。その中でも、辰砂を埋め込んだ依嗚は成功体に成ったため、残りの子供達にも同じようにした結果、辰砂にある毒性に身体を蝕まれ、最早実験場に居た子供達は人型と言えない容貌でそこに居ました。
……嘘が嫌いになったのは、実験を行っている組織が、人道に反した実験を行っていること、僕が望んで渡したHISUIを戦闘兵器に使用したこと、その全てを隠蔽し、加えて子供の魂を集めて新たな種族を二人作ったことを自慢げに語った。それらを許すまいと強く思った結果、僕は彼等に燃やされた。
知ってますよね? 僕達ゴーストライターは、継承した部位は回復できない。消失すればそれで終わりだと。元々造られたとき、既にライターであったので……僕は、魂の集合体である“9Ro”と“4Ro”──クロとシロを盗み出し、僕を焼いた炎をそのまま実験場に返しました。腕の火傷跡はいつまでも治りません。はぁ……いえ、大丈夫です。
……? えぇ、だから手袋を着けてるんです。
番号名をそのまま名前にしたのは、考えるのが面倒というより、彼女達がそう呼ぶように言ったからです。ちなみに、数字は魂の数、Roは実験の名称かららしいですね。
あまり面白い話じゃなかったでしょう? 僕はあまり、自分語りが得意では無いので……拙い部分もあったでしょうけれど。
何かあれば、また言ってください。




