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魔女のスキルは毒無効? ここにはスキルも魔法もありません!

私のところにユーフォルビア姫がやって来た。


敗戦の将の妻が相手国へ謝意を示し、命乞いに赴くのは珍しいことじゃない。

新婚の娘に女同士で話がしたいと言われれば、娘に甘い陛下は退散せざるを得なかった。



二人でお茶を飲むための小さめ丸テーブルの正面に座るユーフォルビア姫はずっと私を睨みつけている。


殺気が隠し切れていなくてよ。

シルクの手袋の下に、ポイズンリングを忍ばせているのもバレバレです。


ティーカップは少し前に空になっていた。


「あら? わたくしはお代わりが欲しいわ。あなたはどう?」


下がらせていたメイドを呼ぼうとベルに手を伸ばしたら、ユーフォルビアは勢いよく立ち上がった。


「あたしがやるわ、お義母様! 青いお茶なんて素敵だもの、あたしも入れてみたいの」

「まあ素敵、お願いするわね。そうそう、あなたに見せたいものがあるのだったわ。……お行儀が悪いけど……メイドを呼ぶほどでもないわね。二人だけですもの」


この爽やかな水色が特徴的なお茶は、転生前の私が大好きだったハーブティーだ。記憶が戻ったときにはなかったから、該当する植物を探して作らせた。


わざとテーブルを離れ、背を向けてコンソールテーブルの引き出しを開ける。


「あら? 確かここに入れたはずなのに……」


捜す振りをしている背後では、ユーフォルビア姫がお茶に毒を盛っている。

この日のために肖像画の位置を変えて保護ガラスを嵌めさせておいた。全部写って見えている。


ポイズンリングのベゼルが硬いのか開けるのにてこずっているから、別の引き出しから象牙のフレームで飾られた拡大鏡を取り出して時間を稼ぐ。


「本ばかり読んでいるからかしら、目が悪くなってしまって……」


元通りに手袋をはめ直したタイミングで適当な物を取り出し振り返った。


「お義母様、どうぞ」

「ありがとう、冷めないうちにいただくわ。あなたはホイップクリーム? わたくしはレモンを入れるわね」


スライスのレモンをトングで摘まんで、お茶に落とした。


「!!」


お茶の色が変わった。


青かったお茶が、紅茶よりも真っ赤に染まる。


ユーフォルビア姫は目を見開いて、ガタガタ震えていた。


「……毒を入れましたね」


「あ、あたし、あたし……」

「手袋を外しなさい」


ポイズンリングを嵌めた手を押さえて後ずさる。

お茶の色が変わったのは、ハーブの成分とレモンのクエン酸が反応したからなんだけど、やましいところのあるユーフォルビア姫にしてみれば何かの毒探知に引っかかったと思えたはずだ。


「外しなさい」


「お、お義母様、聞いて……!」


「聞きます。でも先に手袋を外しなさい。これが最後。言うことを聞かなければ衛兵を呼びますよ」


侍女ではなく衛兵と聞いて姫は震えあがり、渋々手袋を外した。指輪も外させテーブルの上に置かせる。


「お座りなさい」


もう反抗する気もなくして素直に腰を下ろすユーフォルビア姫の前で、冷めたお茶を一口啜った。


「お義母様!?」


真っ青になって震えるユーフォルビア姫の前で、二口、三口と飲み続ける。少し冷めてしまってはいるし、“毒薬”の雑味があって最高とは言えないけど美味しい。


空にしたカップをソーサーに置いてにっこり微笑むと、ユーフォルビア姫はヒグマか怪物でも見るような顔をしていた。


ちょっと傷ついちゃうぞ。


「どうして毒が効かないの……? お義母様は本当に魔女なの……?」


私は嫣然と微笑んだ。

姫はしめやかに失禁した。

読んでくれてありがとうございました!


良かってんフォローや★ばいただけると励みばなるとです。


今週で完結します。

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