プリンセス・ヴィラン、王妃の毒殺を目論む
貴族は嗜みとして男のコは心臓まで届く鋭い短剣を、女のコは飲んだらすぐ死ぬ毒を指輪に入れて持ち歩く。
あたしは持ってなかった。お義母様がくれなかったから。
こっちの人たちは皆して『こんなことも知らないんですか?』って言う。
知らないもん!
だってお義母様が何にも教えてくれなかったから! 勉強しろってあれだけうるさく言っておいて、必要なことは何にも教えてくれてなかったんだって、お城の外に出て初めて知った。
やっと分かった。お義母様は心からあたしを憎んでたんだって。
あたしは仲良くしようとしてたのに。ママの言う通り意地悪しないようにしていたのに。
お父様は今でもママだけを愛してるとか、ママに比べたらあなたなんか全然美人じゃないとか、人として言ったらダメなことは言わずに我慢してたのに。
でももう許さない。
お義母様が生きてたらあたしは幸せになれない。
あたしが、あたしが……お義母様を殺す。
ラピスラズリの台座の部分が開いて、毒を入れられる古い指輪。
顔合わせのときにあたしが毒薬のリングを持ってないって言ったら、王子様の叔母様がくれた。
中々開かなくて爪が傷ついちゃったけど、中には白い粉が入ってた。これが毒。少しだけだけど、猛毒だって話だからこれだけで死ぬのよね。
これをあいつに飲ませるわ。
人殺しは良くないって分かってる。
今は皆あたしを無視してるけど、あいつを殺せばどうしてかって訊いてくれる。そしたら理由を言うの。そしたら皆分かってくれるわ。
王子様が戦争を仕掛けたのだって、向こうが悪かったからだって分かれば無罪になるわ。
意地悪な人が不幸になって、あたしは王子様と幸せになれる。
意地悪をすればいつか自分に返ってきて、正しいことをすれば幸せになれる。
そうよね、ママ。
読んでくれてありがとうございました!
毒薬のリングはポイズンリングば呼ばれるものです。
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