日常1
私立京極院学園。
小・中・高からなる全寮制の男子校であるそこは、どこぞのBL小説でもあるように、同性同士での恋愛はもちろん、カッコ良さや抱きたい・抱かれたいランキングなるものによる生徒会や風紀委員会の選抜が当たり前の場所だった。
現在生徒会室へと向かう日向都筑・・・もとい藤堂要は後悔していた。
選ぶ学校間違った、と。
前世の、女として生きた記憶があるため、要は親に申し訳なく思いながらも自分が普通の“男”として生きる事は出来ない。
それを分かってもらうため、男子校であるこの学園を受験したのだが・・・。
ここ、京極院学園は要の想像を遥かに上回っていた。
現在の自分の顔が、女と見間違うような童顔であると認識していなかった要は、入学後中等部からの持ち上がり組のある言葉に固まった。
「藤堂って見るからにネコだよな」
“ネコ”――――。
所謂その界隈で使われる、受け身側を指す言葉であるそれが、普通の生徒から聞こえたのだ。
この時は“動物”の方のネコと受け止め、心の奥底に嫌な予感をしまい込んだ。
その後、要が周囲を観察していると、現実逃避したくなるような事に気付いてしまった。
どことなく、自分に熱っぽい視線を向けて来る生徒や教師。(普通、教師の場合要の予想通りなら大問題である)
ある時、とうとう告白された事で、現実逃避する事が出来なくなってしまった。
その時の相手は、まだ要が共学出身という事で、気持ちを伝えたかっただけだと言ってくれたが、それ以降の連中は酷かった。
なんと、人気の無い所へ呼び出し、コトに及ぼうとしたのだ。
(もちろん、急所を蹴り上げたので未遂だ)
ここでは、このような犯罪紛いの事を平気でする者が居ると実感せざるを得なかった。
入学してから2年。
すっかり男すら恋愛対象外となった要は、普通のBL小説ならポジション的に毒舌副会長として今日も無駄に広い校舎を歩いていく。




