こいつどんぶらこしてねえぞ!
今にもその怪力の化物、
鬼に殺されそうな時にその男は現れた。
男といっても背丈や容姿は少年と同じ15歳ぐらいだった。
そしてその少年は言う。
「俺の名は桃太郎!!」
(ちょっと待て、俺が桃太郎なんじゃないのか?)
「はーん、お前が噂の桃太郎か。鬼を何体か切ってるらしいなぁ。少しは楽しめそうだ。」
対して桃太郎を名乗る少年は、
「こっちは楽しむ気など無い。すぐに片付ける」
鬼は素手、男は刀を持っている。
それもよく切れそうないかにも業物といった感じのもので、漆黒の鞘には金の装飾が施してある。
勝負は一瞬だった。
そう、一瞬だったのだ。
まばたきをしていたら終わっているその戦いの残骸は気のせいか少し焦げ臭かった。
「終わった…のか?」
「おい貴様、そんなところで何をしている。避難していなかったのか?」
「避難?俺は鬼を倒そうと思って…」
「ふざけるな!!」
「!?」
「お前のような子供に鬼が倒せる訳がないだろう!」
「それに、刀もない上に装備だって何も着けてないじゃないか!命を無駄にするな!!」
「…こっちが黙ってりゃ好き放題言いやがって!お前だってガキじゃねえか!何でお前が桃太郎なんだよ!絶対どんぶらこしてねえだろお前!」
「はぁ…?」
『桃太郎様ーっ』
「迎えが来たか。遅かったな、おかげで無駄な時間を過ごした。」
「はっ!申し訳ございません!」
「残りの鬼は?」
「すでに隊の半分を派遣して総出で探していますが、おそらくもう倒し尽くしたかと」
「そうか。ならば、都に戻るぞ!」
「はっ!」
(けっ、なんだよ。偉ぶりやがって。お前だってガキじゃねえか)
桃太郎が御付きらしき人の乗ってきた馬の後ろに跨がると
「おい貴様、鬼に喧嘩を売ろうなんてもう二度と考えるな。もう一度言うが命は大切にしろ!」
「言われなくても!」
「そうか。ならよい。さらば!」
そう言って桃太郎たちは去って行った。
『ここにいたか。』
(本当多いよなこのパターン。流行ってんのか?)
でも今度は誰かわかる。
「おう、じいさん。来たのか」
「お前さんが鬼を退治しようなんて言うからな。それで、まさか本当に鬼に挑んではおらんよな?」
「…」
「バカもんが!鬼の怪級を知っておるじゃろう!命を粗末にするな!」
「そ、それはさっき聞いた!」(怪級?)
「それにしても、鬼に挑んでなんで生きとるんじゃ?見たところ、そのよくわからん服が汚れたぐらいで目立つ傷はないようじゃが…」
「ああ、それなら…」
ー[かくかくしかじかで]
「そうか、桃太郎様に助けていただいたのか」
「ああ。それでよー、その桃太郎がすげえムカつく奴でさぁ…」
『お、こんなとこにまだ人が』
(なんだよこのパターン!もういいんだよだめ押しが過ぎるんだよ!)
しかし、状況は再び悪い方へ傾く
その声の主は、鬼だった。




