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108/108

No.108 マフィア

カルル達は、飛空艇ギルドに紹介された宿屋で一夜を過ごしたあくる日、飛空艇ギルドの会員証の受け取りと飛空艇レースの説明を受けるために飛空艇ギルドへ再度向かう。


宿を出て寂れた街の路地裏を歩き、5人は飛空艇ギルドの扉を開いた。


「カルル様、お待ちしておりました。こちらが飛空艇ギルドの会員証になります。紛失した場合、再発行に時間と費用が発生しますので紛失しないようにご注意ください。それとギルドに対して飛空艇納入を快くお受けいただき誠にありがとうございました」


テーブルに置かれた会員証を受けとり、カルルは椅子に座りギルド職員から飛空艇レースの説明を受ける。


飛空艇ギルドの1階フロアには、4人掛けのテーブル8個が置かれていて、既にふたつのテーブルが商談で埋まっている。


カルルが座る席の周囲には、ハンドとパトリシアが取り囲んで警戒にあたり、アリスとゴーレムのヴァイオレットがカルルが座る席の後ろに立つ。


「それでは、飛空艇レースの概要を説明します。飛空艇レースは"レース"と名をうってはいますが、競技大会と言った方が的確です」


女性のギルド職員は、カルルに飛空艇レースの概要が記載された資料を手渡すと、そこに書かれたレースのあらましの説明を始める。


「まず参加者全員は、予選レースが開催されるラズゴの街に集まり、そこで予選レースに出場します。出場する飛空艇の数は毎年50艇前後になります。本選に出場できるのは、その上位20艇になります。」


「予選でだいぶ減らされるんですね」


「飛空艇レースは、毎年コースが変わります。今年は難易度が高く設定されているとの連絡を受けており、レースによっては棄権するチームも相当数いると予想されます」


「飛空艇レースに出るために必要な装備とか、主催者による飛空艇の検査とかはあったりするんですか?」


「いえ、そういったものは一切ありません。正直なところどんな魔石を使ってレースに参加しても問題ありません」


「レースで勝敗を決めるのは順位で正しいですか」


「はい、個々のレースで1位になればそのレースで優勝となります。それとは別に総合優勝というものがごさいます」


「総合優勝?」


「はい、各レースで1位には10pt、2位には8pt、3位には6pt、4位には3pt、5位には2pt、6位には1ptが割り当てられ、その合計ポイントで総合順位がきまります。レースによって特別加算ルールがありますが、詳細はレース直前に発表されます」


「レースは複数あるんですね。全部でどれくらいあるんですか?」


「今年は全8戦を予定しています。レースから次のレースまでの日数ですが、場所の移動を合わせても数日程度なのでかなり忙しい日程になります」


「全8戦のレースは、どんな内容になるかは公開されていますか?」


「いえ、事前に知らされるのはレースの開催場所のみになります。出場者全員が開催場所に移動した後にレース内容が公表されます」


「となると、レースの内容が公開されない限り事前に対策することもできないという訳ですね」


「はい。レースをより公平にするために・・・」


飛空艇レースの説明が間もなく終わるという時に、飛空艇ギルドの扉を勢いよく開け放つ者がいた。


「おう、頼んでおいた飛空艇はまだか。いつまで待たせるんだ!」


飛空艇ギルドに入ってきたのは、どうみても堅気には見えない5人の男達だ。


その連中に対して毅然と立ち上がったのは、先程までカルルの飛空艇レースの内容を説明していた女性のギルド職員だ。


「また貴方達ですか。飛空艇ギルドは、マフィアには飛空艇を売ったり貸し出すことを禁止しています。それは以前にも・・・」


すると堅気には見えない男は、短剣を抜くとギルド職員の喉元にそれを突き付けた。


「言葉は選べよ。この短剣は恐ろしく切れるぞ」


喉元に短剣を押し付けられた受付嬢は、言葉を発することもできずにただ立ち尽くくしている。


「昨日、ここに飛空艇が運び込まれたことは調べがついてるんだよ。そいつをよこせば全部丸く収まるじゃねえか。それとてめえはギルドに義理立てして死にてえのか」


飛空艇ギルドの1階フロアは、この街のマフィア達が占拠した。


そこに慌ただしく現れたのは、カルルの飛空艇創りを見守っていたギルドマスターである。


「まっ、まて。早まるな!ヴェロニカに突き付けた剣を鞘に戻せ。そんなことをすれば、お前達もこの街の領主の粛清を受けるぞ!」


「そんなことは分かってる。だが俺達は飛空艇がなければもっと困るんだよ。なんせ明日が期限だからな!」


「明日が期限。いったい何の話だ」


「そんな事はお前が知る日必要はない!」


飛空艇ギルド内には、カルル達以外にも2組の商談を行っている一般人とギルド職員がいるが、彼らはマフィア達が怖くて椅子に座ったまま動けずにいる。


飛空艇ギルドにも護衛を兼ねた職員はいるが、職員の首元に短剣を付きつけられた状態で手を出せるはずもない。


さらにマフィアの数は5人で、錬金術ギルドの外にも見張り役が数人いて、その全てが武装している。


<カルル様。いかがいたしますか。男達の足元まで液体金属の糸を忍ばせてあります>


「やって構わない」


<仰せのままに!>


カルルとゴーレムであるヴァイオレットは、中継コアを埋め込んだ腕輪により意思の疎通ができるため、命令ひとつでマフィアの男達を葬ることができる。


そしてカルルは、ヴァイオレットにそれを命じた。


すると先程までギルドの職員の首元に短剣を突き付けていた男が突然床に倒れていく。


さらにギルドの1階フロアにいるマフィアの男達も次々と床に倒れ、手にした武器を手放していた。


「なっ、何が起きた?」


そう言葉を発したのは、マフィアの男達に説得を試みたギルドマスターだ。


さらにギルドの外で見張りをしていたマフィアの男達も、いつの間にか通りに垂れて身動きひとつしていない。


「ヴァイオレットご苦労様。いい仕事でした」


「ありがとうございます」


ゴーレムであるヴァイオレットは、指先から自身を構成する液体金属で極細の糸を伸ばし、その糸に分解魔法を纏わせてマフィアの男達の体を貫いたのだ。


男達は、体内の臓器や脳を破壊され即死状態であったが、外部からの攻撃を確認できる外傷は微細すぎて人の目では確認することはできない攻撃だ。


カルルは、椅子から立ち上がると先程まで喉に短剣を付きつけられていたギルドの職員に声をかける。


「大丈夫ですか。傷は無いようですね。そういえば彼らは何で飛空艇を欲していたかご存じですか?」


ギルドの職員は、最初は口ごもっていたがぽつりとある言葉を発した。


「麻薬の運搬・・・」


「ああ、そういうことですか」


その言葉でカルルは全てを理解した。


フロアに倒れてピクリともしない5人の状態を確認するギルドの職員達は、未だに何が起きたのかを理解できずにいる。


「では、僕達は飛空艇レースの予選が開催されるラズゴの街へ向かいます」


飛空艇ギルドのギルドマスターは、カルルが多数の人間が死んだ事にまったく動じていない事に誰がこれを行ったのかを察していた。


しかもカルルと行動を共にしている全員が顔色ひとつ変えていないことに、身の危険すら感じていた。


「グランドマスターさん。僕が売った飛空艇はこのギルドに売ったものです。くれぐれもマフィアに貸したりはしないでくださいね。もしマフィアに売ったり貸し出したりしたら・・・、この状況をご覧になればご理解いただけると思います」


カルルは、そう言い残すと飛空艇ギルドを後にした。


そしてしばらくして街の警護隊の兵がようやく冒険者ギルドへと到着した。


カルル達はというと、街中を抜けて城壁から外の駐艇場へと向かうため、城壁の出入り口で警備を行っている兵士の所へとやってきた。


兵士達は、カルル達の顔を見ようとはぜず、何か関わりたくないといった態度を示している。


「お前さん、昨日飛空艇でやってきたよな。駐艇場には行かない方がいいぞ。ヤバい連中が来ている」


「ヤバい連中?」


「ああ、この街の裏の世界を牛耳っているドラードファミリーだ」


「ドラードファミリー?もしかしてマフィアですか?」


「あいつら、お前さんの飛空艇をぶんどる気だ。悪いことは言わない。飛空艇は諦めろ」


「ご忠告、ありがとうございます」


カルルは、兵士達の引きつった顔を横目に城壁の門を抜けると、飛空艇が置いてある駐艇場へと向かう。


そこには50人を超える武装した男達がカルル達を待ち構えている。


カルルの前にはハンドとパトリシアが並び、カルルの左右にはゴーレムのヴァイオレットとアリスが並ぶ。


ハンドは腰に吊るした剣をいつでも抜ける状態で戦闘態勢に入る。


ヴァイオレットも同様に魔法杖を構えてマフィアに向かって攻撃魔法を放つ準備は完了している。


アリスは、5人を取り囲むように物理防壁と魔法防壁を展開済みだ。


そしてゴーレムであるヴァイオレットの指先からは、液体金属の極細の糸がマフィアの足元へと伸ばされている。


「よう。随分遅かったじゃねえか。俺はこの街の裏社会を牛耳るドラードファミリーのボスだ。お前さんの飛空艇を分捕りに来たぜ」


ドラードファミリーのボスと名乗った男は、カルルの飛空艇の前に立ち、50人程の配下を従えてにやりと笑う。


カルルは、自身の飛空艇を分捕ると宣言したドラードファミリーのボスの顔を見定めると、こう言い放つ。


「僕の飛空艇を分捕る?つまり自分から棺桶に入りに来たのか、それは度胸があるね」


カルルの言葉にドラードファミリーの配下が足早に動きカルル達を囲む。


「始めようか」


カルルは、静かにそう呟いた。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:265

 1000艇まで残り735


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※予備として収納の魔石に保管

 ・飛空艇試作四号艇 ※カルルが使用



◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)

・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)

・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


◆ベルラード大陸


ヴィスターク王国・飛空艇ギルド支部向け飛空艇 1艇(通常型1艇)


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