表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/108

No.105 新しい飛空艇

カルルは、惑星防衛システム内でゴーレムから依頼のあった交換用の魔石の錬成を行いつつ、惑星防衛システムの起動に必要な魔力の補充を行っていた。


その作業中にこの惑星防衛システム内には、古い飛空艇が存在することを知り、そこへと行ってみることにした。


そのことを惑星防衛システムのゴーレムに伝えると、特に問題はないというので古い飛空艇が置いてある格納庫へと行ってみると、いくつかの飛空艇が置かれていて見た目には壊れているようには見えなかった。


飛空艇の中に入り魔石を確認すると、確かにどの魔石も割れていて使えないものばかり。


だがカルルが欲しているのは、その割れた魔石とこの飛空艇の構造やどんな魔石が使われているのかだ。


最初に見た飛空艇の構造は、カルルの飛空艇とほぼ同じだが大きさはカルルの飛空艇よりもふた回りほど大きい。


そしてこの飛空艇の用途がカルルの心に刺さる。


それは、この星と星の外で活動する惑星防衛システムの間を結ぶ連絡艇というものであった。


つまりカルルが足を踏み入れたこの飛空艇は、宇宙への往復を可能にする飛空艇なのだ。


それがカルルの飛空艇とは何が違うのか。


その答えを見つけ出すことが目的であったが、それは以外と早く見つけることができた。


飛空艇の内部に残された割れた魔石の破片を探し、それをカルルのスキルである魔石の組成複製を使い壊れた魔石から新しい魔石を錬成する。


これを行うことにより、カルルが持つ知恵の魔石の錬成メニューに新たな魔石が加わわり、知恵の魔石から魔石を錬成することで魔石のレベルが1から5へと跳ね上がる。


カルルは、これで他の誰よりも性能の高い魔石を錬成し、魔道具を創り飛空艇を創ってきた。


星と星の外を結ぶ飛空艇の中からいくつかの魔石の破片を探し出すと、それらを魔石の組成複製スキルで創り出した。


その中にカルルが持っていなかった魔石を探し出せば、それがカルルが欲していた魔石ということになる。


探し出した魔石は、密閉の魔石、大気浄化の魔石、空間転移の魔石であった。


密閉の魔石は、飛空艇の隙間を埋めることで飛空艇内の空気が外に漏れることを防ぐものだ。


飛空艇で宇宙に出た際に隙間から空気が漏れ出て呼吸ができなくなることを避けるためには必須の魔石である。


大気浄化の魔石は、飛空艇内の空気を浄化して人間が呼吸できる空気とその成分を維持するために必要である。


空気中に含まれる酸素は少ないと酸欠になり、多くなると酸素中毒を起こすため程よいバランスが必要となる。


そして空間転移の魔石は、飛空艇が星の大気圏突入時に飛空艇下部の空気を急激に圧縮することで発生する断熱圧縮を他の場所に転移させるために使う。


飛空艇が大気圏に突入する際は、飛空艇の下部の空気が急激に圧縮されるため、最大1万度の高温に達することがあり、この高温の熱を飛空艇から少し離れた場所へと転移させることで飛空艇が熱で燃え尽きることを防ぐのだ。


空間転移の魔石を使った転移には、主に2種類の方式がある。


ひとつはAとBの空間を繋げる方法(空間連結方式)であり、もうひとつはAとBの空間を丸ごと入れ替える(空間入れ替え方式)というものである。


カルルが断熱圧縮を回避するために用いるのはAとBの空間を繋げる方式(空間連結方式)である。


空間転移の魔石は、魔法による空間へ影響を及ぼす範囲が大きくなるほど魔力を大量に消費し、転移する距離が遠くなるほど魔力を大量に消費する。


また、転移先が遠い場合はその転移先がどうなっているかが分からないと、事故になる可能性が非常に高いためあまり遠くへの転移は行わないのが最良の策である。


これらは、知恵の魔石からカルルが得た知識である。


さて、もうひとつの飛空艇については、専ら星の外で使うことを想定して作られたのだが、飛空艇を多く必要とするため試作艇が作られ何度か試験が行われたに留まったものだ。


それは、カルル達が住む星に向かって飛来する隕石を部分的に空間転移させることで、星への落下を防ぐ或いは隕石を細分化して転移させ、あえて大気圏へ突入させることで燃やしてしまうというものだ。


今までは小型の隕石に対しての実験は行われたことはあるが、全長100kmを超えるような巨大隕石を転移させたことはなく、その有効性も定かではない。


巨大隕石を空間転移させるためには、最低でも専用の飛空艇を100艇以上用意する必要がある。


100艇以上もの飛空艇を創るとなるとカルルだと最短でも200日を要するが、これをゴーレム達に創らせることで日数を減らせることができる。


さらに飛空艇と魔石を創るゴーレムの数を増やせば、日数をさらに短縮することは可能だが、問題はそれだけの数の飛空艇を誰が制御するのかだ。


恐らく人が飛空艇に乗って制御するのでは、訓練期間などを考慮すると巨大隕石がカルル達が住む星に到達するまでに間に合わない。


となると、ゴーレムを使っての100艇以上もの飛空艇を制御することになるが、カルルのような人間には、それだけのゴーレムを操る術は無いのだ。


これは、早急に何とかしなければならない課題であるが、困ったことに解決する糸口が全く見えない。


とりあえず欲しの外からでこの星に落ちてくる隕石に対処している他の惑星防衛システムの所に行ける飛空艇を創ることを考えていると、アリスがこんなことを言ってきた。


「ねえ、飛空艇をもう少し大きくできないかしら?」


「今の飛空艇は狭いってこと?」


「だってカルル、私、ハンドさん、パトリシアさんの4人でしょ。それにカルルの頭の上にいる梟さんとゴーレムが3体とハイポーションを創るための薬草を植えた大きな鉢が4個もあるし、薬草を植えた小さい鉢は10個はあるわ」


アリスの言葉にカルルは考え込む。


「そうか、この飛空艇では狭いのか。もし飛空艇や魔石を創るゴーレムを増やしたら乗せる場所が・・・」


カルルは、何もない床上で絵でも描くように指を動かしていく。


「以前にも大きな飛空艇を創っていたじゃない。あそこまで大きくなくていいから」


するとカルルとアリスの会話を聞きつけたハンドとパトリシアもその会話に入ってくる。


「おっ、飛空艇を大きくすんですか。ひと回りかふた回りくらい大きくする位が丁度いいんじゃないですか」


「欲を言えばきりが無いけど、今までの経過からすると、飛空艇同士の戦闘も考慮してハンドが言っているようにひと回りかふた回りくらい大きくすると生活の場に余裕ができそうね」


カルルは、自身の生活の場としては、飛空艇は丁度良い広さだと考えてはいたが、アリス、ハンド、パトリシアの意見はもう少し大きい飛空艇を欲していたし、ゴーレムを増やすことを考えると今の広さでは確かに狭いことは十分理解できた。


「だったらふた回りくらい大きくしてみようか。あと数日もすれば魔石の錬成も魔力の補充も終わるから」


そして数日後に魔石の錬成が終わり、惑星防衛システムへの魔力の補充も終わる頃、カルルの新しい飛空艇も完成した。


今までの飛空艇と比べると大きさはふた回りほど大きくなり、以前の飛空艇から薬草を植えた鉢植えを全て引っ越しても狭いと感じない広さになっていた。


「薬草の鉢植えと3体のゴーレムを乗せても狭くないと思うけどどうかな」


カルルの問いにアリス、ハンド、パトリシアの3人は、文句など無いといった表情を浮かべる。


「それでは、ここでの僕の仕事も終わったしそろそろ移動しようか」


惑星防衛システムのゴーレムにそのことを伝えると、ゴーレムからカルルにお願いがあるという。


<私達ゴーレムの姿をカルル様のゴーレムと同じ形にしていただけませんか>


「ヴァイオレットと同じ姿にですか?」


<はい。カルル様のゴーレムの姿は美しいです。それに比べて私達の姿はお世辞にも美しいとは思えません>


「全てのゴーレムの姿を同じにしてもいいの?」


<はい。構いません>


そしてこの惑星防衛システムで活動するゴーレムの姿は、全てヴァイオレットと同じ姿へと変わった」


惑星防衛システム内で修理作業を行うゴーレム達の姿はヴァイオレットと同じものへと変わったが、ひとつだけヴァイオレットとは異なる点がある。


それは、色である。


ヴァイオレットは、見た目は人間と全く同じであり髪の毛や肌や着ている服も自然な色をしている。


それらは全て知能の魔石の成せる技であり、知能の魔石を埋め込んでいない作業用ゴーレムの2体は、今でも液体金属の金属色のままである。


それは、惑星防衛システムのゴーレム達も同じで液体金属の金属色のままであり、姿だけヴァイオレットと同じとなっていた。


「これで僕の仕事も終わっ・・・」


そう言いかけた時、惑星防衛システムが揺れ始めた。


「あれ、どうしたのかな。惑星防衛システムが稼働するのは明日だってゴーレムから聞いていたけど」


その後も惑星防衛システムは揺れ続け、そこに惑星防衛システムのゴーレムからカルルの頭に緊急事態を告げる言葉が伝えられた。


<火龍です。この惑星防衛システムに火龍が攻撃を行っています>


「火龍が攻撃!」


<このままでは惑星防衛システムに損害が出ます>


惑星防衛システムのゴーレムの言葉には、感情は一切乗ってはいないものの、それが返ってカルルの感情を揺さぶる結果となる。


「だったら僕が火龍を追い払う!」


カルルは、荷物の引っ越しを終えた以前の飛空艇を収納の魔石に格納すると、4人は新しい飛空艇へと乗り込み、揺れる惑星防衛システムから飛び立ったカルルの新しい飛空艇は、格納庫から外へと通じる大きな扉から外に出ると火龍の姿を捉える。


<面倒な時期に姿を現しおって。あと1日くらい待てないものか>


カルルの頭の中に何かぼやきのような言葉が発せられた。


その言葉の主はカルルの頭の上でいつも寝ている梟の姿に変身した暗黒龍である。


いつも寝てばかりいる梟は、同類である龍の姿を見ると、カルルの頭の上から飛び立ち飛空艇の2階にあるバルコニーの扉を開けて外へと出ていく。


惑星防衛システムの上空に火龍と梟の姿のままの暗黒龍とカルル新しい飛空艇が一直線上に並ぶ。


その光景は、新たな戦いを予感させるものであった。




◆飛空艇の外殻と躯体を作る魔法

・土魔法


◆飛空艇を創るために必要とされる魔法

・強化魔法

・固定魔法


◆飛空艇を飛ばすために必要な魔石など

・浮遊の魔石

・飛空の魔石

・魔力の魔石

・魔道回路


◆カルルが創った飛空艇

 飛空艇:264

 1000艇まで残り736


◆カルルが創った飛空艇の内訳

 ・飛空艇試作一号艇

 ・飛空艇試作二号艇 ※両親が使用

 ・飛空艇試作三号艇 ※予備として収納の魔石に保管

 ・飛空艇試作四号艇 ※カルルが使用



◆北ラルバード大陸


王国向け飛空艇

・アリーア王国向け飛空艇 53艇(通常型20艇、戦闘型30艇、早期警戒飛空艇3艇)

・アリーシュ王国向け飛空艇 30艇

・ハイリシュア王国軍向け飛空艇 80艇(通常型30艇、戦闘型50艇)

・フルーム王国軍向け飛空艇 22艇(通常型10艇、戦闘型10艇、早期警戒飛空艇2艇)

・マレーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)

・カヌーナ王国沿岸警備隊向け飛空艇 20艇(戦闘型20艇)


錬金術ギルド用飛空艇

・グランドマスター用兼商談用戦闘型飛空艇

・薬草栽培兼治療用飛空艇

・トーデスインゼル(死の島)救助隊用飛空艇 8艇

・トーデスインゼル(死の島)物資補給用飛空艇 2艇

・遊覧用飛空艇 4艇


◆北コルラード大陸


王国向け飛空艇

・ユグドリア王国向け飛空艇 50艇(戦闘型50艇)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ