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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
5章 嘉神一樹の同窓会ならび主人公が知ろうとしなかった物語
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二の三 ギフトとシンボル

ここまでが時雨君の話でした

 神薙さんに連れてこられたのは山奥だった。


 衣川が一度嘆いていたたった一つ手に入らない山。


 その山の中を突き進む。


 神薙さんたちは瞬間移動して先に進んでいたが。


 山道を歩き、開いたところに日本庭園。


 そこに神薙さんがいたのでゴールまで来たと確信。


 純和風の家だが


「地下に行くぞ」


 地下があり、そこは未来的な設備でいっぱいだった。


「なんなんだここ」

「説明してもいいが分からないと思うぜ」


 おれもそう思うので聞かない。


 とある部屋に辿り着いた。


 何もない部屋だった。


 本当に何もない。


 家具家電は勿論光源すらない。


 なのに明るい。


「座れ」

「あ、はい」


 床に座るのかと思ったが先に座っている神薙さんを見ると空中椅子をしていた。


 おれも真似するべきかと思いやってみると


「おえ?」


 座った感覚。


 両足を上げてみる。浮いた。


 つまりおれは座っている。


 なのに椅子を触ることが出来ない。


「ここはありとあらゆるものが存在しかつ存在しない空間、なかなか便利だろ? 」

「ええ」


 神薙さんはコーヒーカップを持つしぐさをする。


 おれも真似をする。


 重量はない。


 飲むしぐさをする。


「!!!!」


 飲めた。


 しかもおれが好きなM○Xコーヒー


 際限の無く飲める。


 飲む意思をなくすと消えた。


「便利ですね。ですがこれを紹介するためにおれをここに連れてきたんですか」

「もちろん違うぜ。今から俺はお前を強くする。ただどう強くするか時雨驟雨は知っておきたいだろ」


 てっきり勝手に魔改造されるかと思っていた。


「まずお前のギフトは何だ」

雷電の球ライジングボール


 電気の球を飛ばすギフト。


「嘉神一樹のギフトは何だ」

「知りません」

「答えは口映しマウストゥマウス、キスした相手の能力を使えるようになるギフトまた…………大丈夫か? 」

「はい」


 最強と呼び声高いコピー系の能力。


 あいつはそんな能力を持っていたのか。


「コピー系の能力は最強じゃないぜ。俺に言わせればゴミだ」

「ゴミって……」

「他者がいることが前提の一人では何もできないギフト。そんなゴミのことを御世辞でも最強というのはどうかと思うぜ」


 そんなこといえるのはあんたくらいだ。


「これを知ってお前はあいつに勝てると思うか」

「無理です」

「これを知ってお前はあいつに勝ちたいと思うか」

「なお一層」

「パーフェクトだ時雨驟雨。そうだ勝ちたいよなあ? それでいい。ではどうすれば勝てると思う? 」


 どうすれば勝てるか。


 ギフトじゃ勝てないので殴り合う。


 無理、身長もあいつの方が高いし空手をやっていたと聞いたことがある。


 じゃあギフトだ。コピー系の能力にありがちな本物には勝てない。これでいこう。


 却下、かりに雷電の球ライジングボールで勝てたとしてもあいつにはギフト効果を吸収するギフトがあったはず。


 精いっぱい努力する。


 不可、今ですら努力しているのにこの有様。


「分かりません! 」

「その体育会系のノリ、嫌いじゃないぜ」

「答えはなんですか」

「実を言うとお前答え出しているんだぜ」


 答えを出している?


「殴り勝てばいい。能力で勝てばいい。努力して勝てばいい」

「そんなこと出来たら……」


 苦労しないしここにいない。


「まず努力、時雨驟雨は努力した気になっているがそれは野球をうまくなるためにサッカーをしているのと同じ愚行、明後日の方向での努力だ」

「じゃあどうすれば? 」

「俺がコーチしてやる」


 なんだがすごい不安である。


 たとえば超者ランキング一位の王陵君子さんがコーチしてくれるというなら話は変わるが。


「王陵君子は俺が育てた」

「一生ついていきます」


 土下座した。


 プライド?


 そんなものドブに捨ててきた。


「二つ目、それがこの部屋に来た目的。俺はお前にシンボルを与えようと思う」

「シンボル? 何ですかそれ」


 聞いたことのない名前だ。


「ギフトとシンボルの違いを説明しよう。

火を吐く、水を操る、草を生やす。そういった才能ギフトをギフトと呼ぶ。しかしこれはできること真似されてしまう」


 真似しようとしてできるものと思わないが。


「しかしシンボルは、本人だからできる。鍵のかかった部屋に鍵を使ってはいることが出来る。そういった自分以外の人をできなくするそれが存在証明シンボル


 そう聞いただけだとコピーの能力を完全に潰している。しかし


「デメリットはないんですか? 」

「当然あるぜ。まず逆に1人1つまで。間違えても3つシンボルを持っているなんてありえない」


 そりゃそうだ。


 大体能力を複数持っている方がおかしい。


「ただこれには抜け道があって自分という存在に持つことが1つという意味で、存在を吸収すればそのシンボルを使うことが出来る。逆に消されればシンボルという存在はなくなる」


存在を吸収とか消すなんて穏やかじゃないがそんなことできるやついるのであろうか。


「で、これが1番の欠点。シンボルは自分の存在証明。シンボルを使うというのは鏡の前で『お前は誰だ』と問い続けるのと同じ、1度や2度では問題ないが使いすぎると狂う・・

「それ……ギフトじゃダメなんですか? 」


 もはやギフトの下位互換じゃ……


「ギフトじゃだめだ。口映しマウストゥマウスはコピーの能力じゃない。

キスした相手の能力を使えるようになるギフト、

ここで俺が時雨驟雨にギフトを与えても相対的に嘉神一樹が強くなるだけだぜ」


 もはや嘉神の能力はギフトの範囲を逸脱している。


「だからこそシンボル。あいつの弱点はシンボルと努力。そしてそのどちらかでも欠ければ時雨驟雨は嘉神一樹には勝てない」


 改めて酷い差だと思った。


 あの様子では衣川宝瀬はすでにやっている。


 それ以外も当然やっているのだろう。


「俺は今からシンボルを与えるわけだが異議はあるか? 」

「強いので」

「そりゃ無理だ。シンボルは自分自身に依存するから俺の一存でどうこうは出来ないぜ」


 そうなのか。でも仕方ない。


「やっちゃってください」


 どんなシンボルであれそれと強くなる。


 嘉神一樹に勝つために。


 神薙さんはおれの心臓に手を突っ込んだ。


 痛みはなかった。


 むしろ欠けていた何かが満たされたという充実感があった。


「これで、晴れてお前はシンボル持ちとなった。最後にとっておきを教えてやろう」

「とっておきですか」

「ああ。誰もがやってきて誰もやってこなかった最強の奥義を」


 わくわくして聞いたが奥義の説明を聞いた時


「何を言っているんだ……」


 多分100人いて99人はおれと同じリアクションをする。




 神薙さんはその奥義をこう名付けていた。




超悦者スタイリスト









////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


「ギwwwフwwwトwwwがwww才能www」


 天頂からメープルは二人の会話を覗き見ていた。


「今世紀最大のギャグだったかな」


 女神は自らのお腹を抱え悶絶している。


「ナチュラルにとんでもない嘘を教えるね。

ギフトが才能? 笑っちゃうよ。


確かに英語のgiftには『才能』って意味があるけれど、

本来の意味は違うでしょ。


日本人は英語をすぐ日本語にしたがるけど

異なる文化の言葉を完全に翻訳できるわけないじゃん。


Runの本来の意味は『走る』ではなく、『AからBに向かう』というように

Giftには『才能』じゃなくて正しい訳があるんだ。



それはね


『他人から与えられた価値のある物』」



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