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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

5章 嘉神一樹の同窓会ならび主人公が知ろうとしなかった物語

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二の一 時雨驟雨の憂鬱

 時雨君の回です。興味ない人は三話飛ばしてください
 昔々のこと。

 おれはお母さん子だった。

 将来はママと結婚するんだと本気で思っていたこともあった。

 ただそれは当然のごとく出来ない訳である。

 法律や倫理的にではなく、物理的に。

 4歳か5歳かだいたいそんくらいの話。

 俺の父さんはギフトホルダーの権利を得ようとする活動家だった。

 母さんもそれに裏方から補助をしていたらしい。

 当然何が何だか当時のおれは分からないがきっと凄いことをしているとは子供ながら感じ取った。

 両親はよく強く生きろと言っていた。

 そんな中おれと母が誘拐された。

 正確にいえば当時はまだ幼かったおれが誘拐され一緒にいた母も着いてきたが正しい。

 犯人はA3

 人質は家族。

 交換条件は父の活動を止めさせ、世間に自分たちが間違えていると言わせること。

 父はそれをやった。

 で、殺された。

 A3にではない。同志と思っていた人からである。

 信念より家族を優先した父を許せなかったとかなんとか。

 で、残ったのはおれと母さん。

 交渉相手がいなくなった人質に用はないわけで処分するわけだ。

 磁力を操る能力を持った母は危険を察し、強硬手段に出た。

 鉛玉が飛び交う中なんとかおれを連れて脱出。

 その代償は自分の命。

 第三者がおれたちを見つけた時、すでに母は息絶えていた。

 おれを抱いたまま幸せそうに眠っていた。

 最期おれに送った言葉も『強く生きて』

 今でもその光景を鮮明に思い出せる。

 血まみれになりながらおれを抱きかかえ、満身創痍になりながら戦い続けた母。

 そんな母の遺言をおれは守ろうとした。強くなろうとした。

 自分に才能が無いのは分かっていたけれど、死ぬ気で努力した。

 何度も挫折しそうになった。

 そんなときは母の遺言と母を殺したA3の恨みを原動力として突き進んだ。

 クラスで一番強い、そう思えるまで強くなった。

 そして4月。おれは嘉神一樹ホンモノに出会った。

 能力が無いと扱われていた時、いけ好かない奴だと思った。

 能力があると知った時、こいつは強い男だと思った。

 そしてコロシアイの時、その強さが羨ましいと思った。

 そして……浄化集会を滅ぼしA3を壊滅させたことを知った時、おれはよく分からなくなった。

 憧れた。羨望した。嫉妬した。

 おれの復讐相手をいとも簡単に消し去った。

 一度だけあいつにそのことを聞いたがそのときあいつは肩に付いたゴミを払うかのようにあっけなく、何とも無いようにこう答えた。

『なんだかよくわからんうちに滅んでた』

 おれが10年間恨んだ相手である。

 因縁の相手である。

 相殺覚悟で特攻しても良かった相手である。

 それなのに。

 それなのに……

 嘉神一樹を恨むのはお門違いだ。

 むしろ復讐相手を滅ぼしたんだから感謝をするべきなんだろう。

 この気持ちを例えるならとある野球好きの少年がいて、地元の弱小プロを日本一にしたいと張り切っていたがとあるスターが24勝して日本一にしたときの気持ちだろうか。

 喜ぶべきところだが今までやってきたこと全てを否定された、そんな気持ち。

 おれはそいつになりたかった。ただそいつはおれじゃないし相手にもしない。

 空しさとやり切れなさがおれを支配していた。





 両親が死んだと言っても天涯孤独というわけではない。

 母さんの兄、時雨朝焼さんの家にお世話になっている。

 扱いがいいとは決して言えないが。

 湧井にゲーセンに誘われ遊んだあと帰宅する。

 時刻は9時を回った所。

 6月とはいえ流石に9時になると暗くなり周囲の様子が分からなくなる。

 襲われても返り討ちに出来る自信はあるが、警戒だけはしておく。

 警戒していたくせにその男がすぐ近くにいることに気付かなかった。

「初めまして。俺だぜ」

 和服を着た身長2メートルを平気で超える大男。

 おれはこの男を知っている。聞いたことがある。

「神薙信一……!! 」

 嘉神が関わってはいけないと言っていた正真正銘の化け物。

 いつもお供に女性を連れていて今日いる女性は車椅子の綺麗な人。

 ずっとお城に閉じ込められた世間を知らないお姫様みたいな人と一緒だった。

 その二人に呆気にとられたが急いで回れ右して走る。

「あらよっと」

 逃げた先に先回りしていた。

 瞬間移動のギフトだろうか? だったら攻撃力や防御力はないと見た。

雷電の球ライジングボール! 」

 おれの全力の一撃を叩き込む。

「きかぬ」

 小学生が使うポケ○ンの下敷きで跳ね返された。

「静電気を利用し弾き返してやったぜ」

 馬鹿な……

 今6月だぞ……

 静電気なんてほとんど発生しないのに……

 遅すぎるくらいにおれはこの男が危険だというのを理解した。

 あり得なさすぎる。

 理不尽すぎる。

「落ち着け時雨驟雨。俺はお前に話があってきたんだぜ。どう相手するかはその話を聞いてからでもいいと思うぜ」
「なんだ。その話って」

 神薙信一は意外なことを言った。

「嘉神一樹に勝ちたくはないか?」


 なんか2000文字を少ないと感じてきました
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