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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
5章 嘉神一樹の同窓会ならび主人公が知ろうとしなかった物語
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壱ノ参 たった一つのさえた殺り方

「おおしゅじんこうよ、しんでしまうとはなさけない」


 少し意識が飛んでいた。


 で、目の前にいたのはあのメープル。


 五体は元に戻っているがこの畳部屋は真っ赤のままだ。


「俺は死んだのか? 」

「なわけないじゃん」


 だよな。


「じゃ、狩生は死んだのか」

「そうだね。君が殺したよ」


 どうやら作戦は上手くいったようだ。


「治してやったよその体。感謝してほしいかな」


 そもそもこいつがシンボルなんて与えなかったらそのまま殺せたので恨みはすれど感謝する覚えはない。


「でさ、ちょっとどうやって殺したのか教えてよ」

「なんでだ。お前神様だろ。全知じゃなかったのか? 」

「いやー。知ってるんだけどこういうのは君の口からきいておきたいし。もし教えてくれるなら僕ちんが答えられる範囲で質問してもいいからさ」


 悪く無い取引だ。


「まず狩生のシンボル、幾許と重ねられた世界オーバーロック・オーバーラップの弱点から話そう。あいつが並行世界にいるとき俺の質問に答えなかったりすぐ答えていなかった。初めはただ頭に血が上って聞いていないだけかと思ったがそうじゃない。出来なかったんだろ? 」

「うん」

「それだけじゃない。あいつは攻撃するとき日本刀を出現させるが、その時一切喋っていない。俺の体の一部を持っていくときも同じ。更に言えば攻撃している時は腕を持っていっていない」


 こっちの世界をAとし、あいつがいた世界をBとする。


 AからBに、BからAに移動するのが狩生の能力。だが


「BからAに何かを移動している間、AからBはもちろん他の何かも移動できないと考えた」

「イグザグトリー。その通りかな」

「だからあいつは攻撃している間俺を見ることはできないし、話している間は俺の話を聞くことはできない」


 これがあの能力の弱点。


「で、そのことを踏まえて俺の話。重要なのは二つのギフト鬼神化オーガニゼーション贋工賜杯フェイクメーカー


 早苗と天谷のギフト。


「知っていると知っていて質問するが、人間の心臓の大きさはどこくらいだと思う? 」

「握り拳一個分」

「脳みそは?」

「約1300cm3 具体的にはメロンパンよりちょい大きい位だね」


 ああ。


「で、鬼神化オーガニゼーションの治癒能力は心臓と脳以外を再生できる。逆を言えば心臓と脳さえあればどんな状態であろうと再生できる」

「そう。そして君は」

「心臓と脳を複製した。そしてその複製した場所は俺が一度複製しておいた手の中」


 心臓も脳も片手で持てる大きさ。


「心臓は意識なんて関係なしに常に動く筋肉、人が呼吸を絶って脳が死ぬまでの時間は5分、逆を言えば」




「5分以内に再生すればいい。心臓と脳以外の全ての骨や筋肉や臓物を」




 正確にいえば近くに手があったのでそこは再生せずにくっつければいいだけの話。


 つまり俺は再生して並行世界に別の俺を作った。


「一番危惧していたのは狩生がそれに気づくかということだが正直大丈夫だと思っていた。なぜならそれがあいつの弱点だ」


 移動している時それ以外のことはでいない。


 攻撃している間は観察することが出来ない。


「心臓と脳さえ移動できればあとは気づかれないようにピンチのふりをして再生までの時間を稼ぐ予定だったが、拷問紛いのことをしてくれたおかげで助かった」


 後ろに俺がいるとも知らずただ自身の狂気に身を任せ行動した。


 愚かな男である。


「よくもまあそんな発想思いつくね、脳と心臓を作ってそのあと再生させるなんて人間の発想とは思えないかな」

「人間の発想じゃない。何を言っているんだ。人間が思いついた時点で人間の発想に決まっているだろうが」


 少なくとも神にだけは言われたくない。


「そろそろ俺の番だ。質問はいくつまでだ? 」

「僕ちんがあきるまで」


 つまりよっぽど都合が悪くなったらやめるというわけか。


「じゃ、最初はこの質問だ」


 その場に転がっている日本刀を持つ。


 普通の日本刀なら数キロあるはずだが


「なんだこれ?」


 軽すぎる。


 持っていると感じることはできないくらいに軽い。


「あー。これね、オーパーツ」

「オーパーツ? マヤ文明やエジプト文明のあれのことか? 」

「そ。ほら忘れているかもだけど200年前に宇宙人が攻めてきたって設定あったでしょ」


 忘れるわけないだろうが。


「じゃあこれ、宇宙人が作ったものなのか? 」

「いいや逆。倒すために作られたやつだね」

「超能力か? 」

「ううん。ただの技術」

「ただの技術で、重量100gも満たないこんな馬鹿げた魔剣を作れるのか? 一体誰が?」

「神薙信一」


 またあの人か。


 父さんから戦うなと言われたり謎の多い人だ。


「あんたと神薙信一の関係」

「これはパス。答えられないかな」

「聞かれた質問に答えられないなんて、なんと使えない女神である」

「地の文に使う文章を口に出さないでほしいかな」


 ほんの少しすっきりした。


「いや待った。流そうと思ったが流せない。あの人いま幾つだ?」


 見た目年齢二十歳だったはず。


「あいつが生まれたのは221年前だね。生きている年月は違うけど」

「どういうことだってばよ」

「例えば真百合ちゃんは同じ時間を何度も生きていたでしょ。それと同じ理屈」

「じゃあ何年生きてるんだ」

「グラハム数よりちょっと多いくらい」


 グラハム数が何なのか分からんのでもう聞くのを諦めた。


「で、次が一番知りたかった質問。メープル、お前はあの時俺にしたことを覚えているか? 」

「じゃんけんのこと? 負けたのは体感2億年ぶりだったからね、よく覚えているよ」


 恐ろしい数字だがきっと誇張のはずだ。そう信じた。


「あの時あんたは俺の腕を引き千切ったが、あれはどういう理屈だ? 」

「力技かな」

「そうじゃない質問が悪かった。引き千切ることくらい力があれば誰にでもできる。俺だってやろうと思えばできる。だが何で俺はあの時数日寝込む結果になった」


 腕がちぎれたくらいでこの俺が意識を失う?


 あり得ない。


 血の大量出血?


 起きてすぐの病み上がりの状態でさっき戦ったがこっちのほうが多くの血を流した。


 そもそも鬼神化オーガニゼーションで治したはずなのに、数日寝込むか? 否だ考えられない。


「それがお前の神である由縁なのか? 全知全能の力の一部か? シンボルの片鱗か? それともギフトやシンボル以外にも俺が知らない他の力があるのか?」

「ひゅう~♪」


 驚いていたようだった。


「ブラボーだ。まさか気づくとはね。感動したかな」

「それで答えは何だ?」

「一番最後、他の何かだ」

「で、それは? 」

「教えない。まだ君にはちょっと早い」


 質問した意味が無い。


「ただヒントだけ。誰でも出来ることだしみんなやってること」


 みんなね……


「質問はこれで終わり。良いものを見せてやるよ」


 メープルは写真を取り出した。


「これに見覚えは?」

「……懐かしいなこれ。中学の修学旅行の時クラスみんなで撮った写真じゃないか」


 いろいろあったがいい思い出だ。


「で、えい」


 写真から狩生が消えた。


「世にも珍しい人の存在が消える瞬間だ。生きていてなかなか見られることじゃないかな」

「……」


 悲しいって気持ちはなかった。


 せいせいしたと言った方が適切。


 ただ俺は何も返事をせず周囲を物色。


「何を探してるの?」

「紙」

「僕ちんならここにいるよ」


 つまらないギャグは無視。


 で、見つけたのは広告のチラシ。


大小織製マキシマムサイズ二次色の筆レインボードリーム


 あの魔剣に近い日本刀を小さくし、二次元にした。


 チラシの裏には日本刀が描かれている。


 これで銃刀法何て気にせず持ち歩ける。


 持ち運びに超便利。


「酷い使い方を見た」


 メープルは何か言ってる。


「次はどっちにするのかな」

「……坂土素子」


 元カノ。


 こいつとはいろいろと因縁が深い。


「というか、俺にあいつが殺せるのか」

「心配しなくても君はその方法を知っているじゃないか」


 つまりそういうことなのか。


「彼女にももちろんシンボルを与えているよ。なかなかえぐい能力だから期待してね」



 理不尽な能力に更なる理不尽で対抗する、それがチー戦クオリティ


 一言でもいいですので感想欲しいです。

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