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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
1章 衣川早苗と化け物退治
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プロローグみたいなやつ 2

 またやってしまったと頭では反省する。


 昔から友達とかが傷付くのを見ると手を貸してしまう。


 昔からヒーローものが好きだった影響だろう。


「大丈夫か?」

「大丈夫だ。口ん中切っただけだし。一週間経ったら治る」


だったらいいのだが


「それにしてもやっちまったな」

「まあな。これで一年間は目を付けられることだろうな」


 でも、楽観論で大丈夫だろうと思いたい。


 ……大丈夫だよな?






 逃げるように帰宅した。あちらから仕掛けてきたため今日のことは報告しないだろう。


 何でかというと、ギフトホルダーが非ホルダーを傷つけた場合通常の倍の罪に問われることがあるからだ。


 だから少なくとも、先生に報告するという厄介なことにはならないで済むだろう。


 家にいても自宅にはポケ○ンしかないので特にやることは無い。


 仕方がないので母親が帰るまで予習復習に励む。




 六時を過ぎたあたりで母親からメールが来た。



『一樹へ。母さん遅くなるから、夕飯も自分で買ってきて。後でお金渡すから』



 母さんが何をしているかを俺は知らない。


 家にいるときはずっと家にいるし、いない時は数日留守にする。


 父はいない。


 母子家庭だ。


 顔覚えていない。が、写真はあった。俺によく似ている。


 死んでいるかとか生きているとかすら分からない。


 戸籍上は失踪者扱いにされすでに死んでいるそうだ。





 俺に家事スキルというのは一切ないので、自炊という選択肢がない。


 そういうことで、近所の百均コンビニで、消費期限ギリギリの弁当を買って家に帰る途中


「「あ……」」


時雨と会った。


「てめえええええ」


近所迷惑的な咆哮を上げ、俺に襲い掛かってくる。


「―――――――雷電の球ライジングボールッ!!」


時雨の右手から、何やら眩しい光の球がでてきている。


 昔読んだ本の中で火の玉というホラー現象は実際には、自然界によるプラズマによるものだと読んだことがある。


 もちろん俺はそんな現象を生で見たことがないのであれがそうなのか確定して判断はできない。


 ただ唯一分かるのはあれを喰らうとやばいということだ。


 だからこそ全力で逃げる。三十六計逃げるにしかず。


「まちやがれええええ」


 俺は五十メートル六秒六である。ま普通より少し早い程度なのだが、今こいつから逃げるには十分すぎる速さだ。



 ヒュンッ!



 あれ?今なんか凄い眩しい物通過しなかった?


「熱っ!」


俺の髪の毛が焦げていた。どうやら雷の球が掠ったらしい。


 運がよかったのは、ぶつかる瞬間に自動車が横切ってくれたことだ。そうでなければ雷の球は俺の身体に吸い寄せられていただろう。


 前言を撤回する。六秒六じゃ遅すぎる。


 弱ったな。これ逃げ続けるのは悪手の気がするな。


 とはいえ、使うのは所詮高校生のガキ一人。一度使って貯めるのに時間がかかるし制御だって完璧ではない。


俺は逃げるのをやめ時雨に突っ込む。そして一発腹に蹴りを入れて一度家とは逆方向の所に変えるのであった。



 結局この日は何とか逃げ切れることが出来た。問題は翌日だ。




翌日、


「昨日はよく噛ましてくれたじゃねえか」


正直予想通りの反応過ぎて困るくらいだ。


「貴様ら。喧嘩するならよそでやってくれ。迷惑だ」


座席が俺の一つ後ろの衣川さんが喧嘩に入ってきた。




 衣川早苗(きぬかわさなえ)。身長は170センチ近くありそうな長身でスレンダーな体つきの毛先が赤い女だ。


 宝塚にでも通用する凛々しさがあり、去年一年のくせに『女子が選ぶ彼氏にしたい女子ランキング1位』に選ばれたと仲野が言っていた。


 もう一度言う『女子が選ぶ彼氏にしたい女子ランキング1位』に選ばれた。


 男子からの評価もそこそこあり、二年の中では『彼女にしたいランキング2位』らしい。


 この二位というのは、本人がギフト持ちのため、それを嫌って他の奴に投票した奴がいたことと、家がヤクザというのが理由だ。


 西の衣川。東の綿貫。北の麻生と言われる893の一人娘である。


 人情派として有名らしいが、俺はそのことに疑問を持っている。


 893が、義理堅いなんてあり得るわけがない。漫画や小説の読み過ぎだと。


 そういうことで、俺からの評価はあまり高くない。むしろ低い。


 昨日もずっとホームルーム中に寝ていた。そして今日も机の上に突っ伏して寝ていた。



「うっせえな衣川。そこそこ強いからといっていい気になって」

「そんなこと今はどうでもいい。私は今寝不足なのだ。だから余所でやれ」


 よく分からないが、何やら衣川さんグッジョブ。


「お前は昨日寝ていたから知らないかもしれないが、こいつおれを殴ってきたんだぞ」

「知らん。それと私の睡眠は一切関係ない」



 時雨はこの時は黙ったがこの後何かあるたびに喧嘩をふっかけられかけた。本当に迷惑だ。




「悪いな一樹。おれの所為で」

「気にすんなって。俺が決めて俺がしたことだ」


 食堂でうどんを食べながら仲野と話す。


 明日から一年が入学してくるため今この食堂はそんなに人がいない。


「そういや聞いてなかったが、お前何で喧嘩ふっかけられたんだ?」

「あ……その……そういや、今日古典の宿題の提出日だったよな。お前やったのか」


あからさまに話を逸らそうとしてるな。


「それに俺が何て言おうと暴力を振るったあいつが悪いよ」

「………」


何か言ったんだろうなこいつ。昔から陰口が多いから大方その陰口しているのを聞かれたのだろう。


「謝る気があるならあやまっときなよ」

「はあ?なんで?」

「ないならいいんだけどな」


こうして食事は終えたのだが


「うわ……」


 単純に言うと虐めに遭っていた。机に落書きをされていた。


「がっかりだなホルダー共。正直まだギフトを使って不意打ちの方が漢らしい」


 とはいえイジメに対する有効的な手段は相手にしないことが必要である。


 そして最もいい方法は


「高嶺先生。少々相談が」


 教師に言う。これが最も有効な手段だ。


 どんなに腐った教師でも、SOSを一度明確に出しておけば問題になったときの責任が段違いに跳ね上がる。


 外道とか言わない。これが最も正しい方法なのだから。




 翌日の朝、


「てめえ。何ちくってんだよ!」


 どうやらこっぴどく怒られたらしい。


「まずちくるなって言っていないだろ。大体器が小さすぎるんだよお前は。何が最強だ。西京焼きの間違いじゃないのか」


 また殴りかかってきたのでカウンターを合わせる。綺麗に決まったな。


「どうした。好い加減やめろよな。やるこっちの手も痛いんだよ」

「ぜってええ殺す」


 時雨は最終兵器であるギフトを使用し俺に襲い掛かろうとした。


「―――重王無宮スクランブルキャッスル


 だがその瞬間、異変を駆け付けてやって来た高嶺先生が異能を使用した。


 グシャリと床が凹み中心に倒れた時雨。


「時雨、あたしが昨日言ったこと覚えてるか」


 高嶺先生は見下ろしながら時雨に声をかける。


「手を出すなといったはずだ」

「知るかッ。おれはこいつを」

「やめてあげてください。今回は僕が先に手を出しました。だから時雨くんだけに責任があるわけではないんです」


 俺は更に畳みかける。


 ちょっとこいつ、一回退場してもらう。


「だから今回は、見逃してあげてください」


俺は笑顔で時雨を見下しながら答えるのであった。


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