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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

1章 衣川早苗と化け物退治

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プロローグみたいなやつ 3

 その後時雨はガチでキレて俺の顔面を教師がいる目の前で殴った。

 かわすことも出来たのだが、敢えてぶつかりにいき、頭を壁にぶつけるように仕向けた。

 受け身をとりながら他人から見れば俺が殴られて引き飛ばされるように見せるように転がる。

 頬を押さえ悶えるふり。

「時雨!」

 高峰先生は見事ご立腹。

 教室から連れ出された。

 この後、時雨は自宅謹慎一週間を命じられた。

 はっ。ざまぁ。



「すっげえな一樹。異能者相手に勝つなんて」

 仲野が俺を称賛する。

 他のクラスメイトも俺を褒め称えた。

 これで非所有者も所有者に怯えることも無くなるだろう。




 時は流れ金曜日の放課後。

 新入生歓迎会や部活動紹介(俺は帰宅部)を終え、来週からある意味本当の授業が始まる。

母からメールが来て今日も遅くなるらしい。

例の如くコンビニで買い物をしていると時雨と鉢合わせした。

「「………」」

多分大丈夫だ。自宅謹慎中問題を起こせば間違いなく退学は確定する。幾ら何でもそこまでバカじゃないだろう。

「――雷電の球ライジングボール

撤回する。バカだこいつ。


 この後俺は逃げ回ったのだが、よく分からない所に迷ってしまったのだ。

 何せ一直線上になるとすぐに光の球を撃ってくるのでジグザグに動く必要がある。

 その結果が迷子である。

「ホント面倒なことになったな」

買ったのはパンでよかった。弁当だったら悠長に腰を下ろして食べないといけないからな。

 それにしてもここはどこだろうか。前を見ても後ろを見ても右を見ても左を見ても木である。樹海である。

「あれ……これ俺絶体絶命じゃね?」

 何でも自殺のために樹海に迷い込む話を聞いたことがある。

 逃げ回っていた所為で辺りは暗くなり、夕日は半分くらい沈んでいた。

 仕方なく俺は、元来た道を戻ることにし、樹海から抜け出そうとしたとき、

「何で貴様がここにいる」

 微かに残った夕日の木漏れ日で妖しく輝く衣川さんがいた。

「その……迷子になって」
「こんなところでか」

 時雨と喧嘩していて逃げてきましたとは言えない。

「それより衣川さんは何でこんな所に?」
「ここは衣川家の私有地だ。だから私が私の家の敷地内にいようが何の問題もない」
「ここって、山の中ですよ?」
「そうだ。この辺りは山菜が豊富に採れる。特に松茸は美味だ。そんなことはどうでもいいが、許可無く他人の私有地に入るとは褒められた物ではない」

 そう言われて俺は速やかに立ち去ろうとしたのだが、一つ疑問が生まれた。

「衣川さん」
「なんだ?」
「どうしてあなた、服がボロボロなんですか?」

 肌には傷らしい傷一つ付いていないのに、制服だけは何故か、鋭い何かによって裂かれた後があった。

「ふん。貴様には関係のないことだ。だからさっさと……」

帰れと言おうとしたのだろう。急に後ろを振り向いた。

 薄暗くなるなっている樹海で、二人きりだと思っていたのだが(決してやましい意味ではない)それはどうやら誤りで

「【っfしふぇhふぃおqわふぇsdげqwd】」

わけの分からない化け物がそこにいた。





 化け物と言っても色々ある。容姿が人間じゃないのはもちろん人間離れした人間も化け物だ。

 今回は姿形が人間ではない方である。

 馬の顔をした岩石の巨人が一番表現としていいだろう。ともかく化け物なのだ。

 三メートルはある岩石がこちらを見ている。

「何ですかあれ?」

混乱が一周して逆に冷静になれた。

「知らん。一年前ほど前から現れた意味の分からない化け物だ」
「知らんって。これ絶対あなた達の関係でしょ」

 化け物とか俺の知り合いには存在しない。

「知らんものは知らん。それよりさっさと逃げろ。一般人。どうやらもう一回戦闘することになる」

 つまり衣川さんは、さっきまでこの化け物と戦っていたらしい。だからあんなに服に傷が付いていたのか。

「―――鬼人化(オーガナイズ)」

 衣川さんは勇敢にも化け物に自らのギフトで立ち向かう。





 言われた通り俺は逃げた。

 話から一年間戦ってきたようだし今回だけは無理だとかそんなことはないだろうから、彼女は化け物を倒してくれるはずだ。

 いいのか?本当にそれで。

 いいに決まっているだろう。俺は何を考えているんだ。バカか。バカなのか?

 だいたいここで出しゃばった所で足手まといになるのが関の山だ。

 だから逃げる。格好悪く惨めに逃げる。それが最善、否、最低限の義務だろう。

そんなことを考えながら走って逃げるのだが、一つ俺は勘違いをしていた。

 この勘違いは致命的だった。

 ゲームでいえば、ゴーストタイプ相手にノーマルスキャン並の酷さだ。

 いつどこで俺は、化け物は一体だと思いこんだのだろうか。

「【sだしfhwdgじsfしおふぁしdなそんfさf】」

 先程見た化け物とは明らかに違う。

 大きさは二メートル半くらいしかないが、身体が金属で覆われていた。

 身体が人間、頭が蛇の化け物。

「まじかよ」

 俺はこの時自分の死を覚悟した。




 とはいえその覚悟は無駄になった。

 俺は大したこと無いが空手二段である。そして五十メートル六秒六

 そして周りは木の海。小回りがきく。

 逆に相手は無駄にでかい図体で身体が金属だ。

 多分速くは動けない。

 だから俺は別に小さくないのだが小回りを利用して、ジグザグに逃げ回る。そうすれば逃げ切ることは出来るだろうと考えたのだ。



 甘かった。自分の甘さに呆れた。

 それは相手が生き物の話でこいつは間違いなく化け物だ。

 一般常識が通じる相手ではなかった。

 化け物は、周りの木を破壊してながらこっちに向かってきた。

 俺の読み通りそこまで速くはなかったが、決して遅いわけではなかった。

 草を踏み潰し、蔦を引き千切り、木をなぎ倒しながら化け物は進んでいく。

 こっちはジグザグに進まなければならないのに対し向こうは一直線で動くことが出来る。

 更に恐らくあちら側にはスタミナという概念がない。

 時雨から逃げた後のこの足が逃げ切れるまで保つとはとは思えない。

 でも俺に逃げ回る以外他はなかった。



 スタミナが切れかけたとき、洞穴を見つけ身を潜めていたら当たりは真っ暗になった。

 時計を見ると僅か三十分しか経っていなかったのだが、体感的に数時間はあったと思う。

「今日はこのまま野宿かな」

ていうか俺本当に死ぬんじゃないだろうか。



 我が校では、第二第四土曜日は出席しないといけない。

 つまりは明日登校日である。

学校に行くためには、一回家に帰ってシャワーを浴びそして家に向かうことを考えたら、六時までにはこの樹海を出る必要がある。

 こんな事態になっても学校に行く気の俺がいた。

 自分自身に苦笑いをしてやはり今日は登校しようと決める。

 辺りはまだ暗いが、携帯のライトを頼りに洞窟を抜け出すことにした。


「……………」
「【………………fさいwにあ】」

 洞窟を抜け出したとき何かが金属みたいな物が反射するなと思ってライトを向けたら、化け物が面白いポーズを取っていた。

 どれくらい面白いかというと蛇頭は蜷局を巻いてう○この形をして、その頭を足として正座していた。

 どうやら俺はこいつの掌の上で遊ばれていたらしく、敢えて逃がしその後ホッとした所で殺すようだ。

「【だふぇえfdふぁいfじういんひえfじゃsんふぁ】」

 化け物は頭撥ね飛び?をしてこっちに向かってきた。

 俺は運良くかわすことが出来たのだが、その時崖に足を滑らした。てかこんな所に崖があるなんて知らなかった。

 自分の悪運の強さに感動しながら転げ落ちていった。

 止まったら殺されるので、最低限後頭部を押さえて行き着くとこまで行き着いた所は庭だった。

「痛え……」

 背中を打ち付け足は打撲した。

 すぐには立ち上がれそうにないが、かろうじて意識ははっきりしている。

 よし。生きてるな。

「なっ……!何故貴様がここにいる!!」

 ほっとしたのも束の間、後ろから声が聞こえ振り向いたら

 殆ど半裸の衣川さんが居た。

 どれくらい半裸といったら白い袴を身に纏いその上に水浴びをしているので、ぶっちゃけ色んなところが見えている。

 身体的にはちゃんと服を着ているのだが、視覚的には全裸に等しい。よって半裸。

「なななななっああああああ」

普段の生活からは有り得ない程、取り乱す衣川さん。うわーい可愛いな……じゃない。俺死にかけてんだった。

「キサマヲコロス」

あれ?どうしてかな。一分前の方が生存率高かったんじゃないかと錯覚してしまうんだが。

「―――鬼人化(オーガナイズ)」
「あの……衣川さん?」

 昨日は暗かったり慌てていたりではっきりと衣川さんの異能を見ていなかったのだが、どうやら衣川さんの異能は『身体の一部を変化させる』ギフトっぽい。

 今衣川さんは右手を鬼のようにな感じである。これもこれで化け物だ。

「そうだ!そうそう衣川さん!さっきあっちで例の化け物を見たんですけど」

 この事を話したらきっと意識がそっちに向いてくれるだろう。

「―――それが遺言か?」

マジで怖い。

「愚かな物だ。自らの人生の最後を虚偽で飾るなんてな」
「本当ですって!変な金属の化け物が襲ってきたんです!」
「墓穴を掘ったな。あれは土か石の塊しか居ない。金属の『あれ』など私はこの一年一度も見たことがない」

 どうやら新しいタイプの化け物らしい。て何で俺冷静に分析してるんだろうか。

「墓穴を掘ったついでに本当に貴様の墓穴を掘ったらどうだ?まあここには埋めてやらんが」

 完全に目が据わっている。

 その時、頭上から例のイミフな化け物が見えた。

「衣川さん!後ろ!」
「誰が貴様のいうことなど信じるか」

 怒りで冷静さを失っている。って本当にまずい。

 俺は急いで衣川さんの所に走っていき思いっきり蹴り倒した。

 衣川さんは右腕しか鬼?でしかなかったため、後は人間だ。だから女子高生の重さとして普通に蹴ることが出来た。

 結果衣川さんは吹き飛び後ろ向きで俯せになった。

 衣川さんには申し訳ないことをしたという自責の念がゆっくりと流れ、左肩に激痛が走った。

「貴様あああ……ぁ?」

 衣川さんは怒っている。まあしゃあないよな。思いっきり蹴ったんだから。

 そんなことを思いながら俺は倒れていった。



 朦朧とする意識。その中で衣川さんはあの化け物と戦っている。

 だが明らかにこっちを気にして、自分の動きという物が取れていない。

 俺は立とうとするのだが立てない。よく見ると周りが真っ赤だった。

「(俺の悪運もこれまでか……)」

 思えば悪運だけで生きてきた人生だった。だからきっとろくでもない死に方をするんだろうなと思っていたが、案外女の子を庇って死ぬなんて結構マシな、むしろ上位に来る死に方じゃないだろうか。

 痛いなほんと。でもせめて邪魔にはなりたくないな。

 だから俺は這い上がることは出来なくても這い蹲って端の方にずれる。これで俺はそこまで邪魔にはならないだろう。

 身体の半分は鬼化している衣川さんを見てなんて美しい鬼なんだろうかと思いながら意識を失った。





 目が覚めると身体は縮んでいないかわりに見知らぬ天井だった。

 焦げ茶色の天井。周りは一面襖。布団の下は上等な畳。

「あれ俺生きてるのか?」

 絶対死んだと思ってたのにな。

 痛む左肩を撫でてみると包帯がしてあった。

「(衣川さんかな……)」

 次会ったらお礼と謝罪からだな。

 そう思い、起きあがろうとしたのだが無理だった。

 決して身体のどこかに違和感があるというわけではない。

 身体の上詳しくいうならお腹の上に衣川さんがいた。

 すやすやと安心して眠っている衣川さんを見て俺は起きあがることが出来なかったのだ。

 数分待ったが衣川さんは一向に起きる気配がない。

二度寝するわけにはいかないし、親との連絡も取らないといけない。俺は高校生だから一日家に帰らなかったくらいでは警察は相手にしないはずだ。そこまで問題にはならないだろう。

 だからゆっくりと起こさないようにそおっと布団から抜け出そうとした。

「ふにゃ?」

 失敗した。起こしてしまった。

 だがまだ寝惚けている。今ならまだ間に合う。

「おやすみなさい。衣川さん」

「うむ……おやすみ………じゃなあああい」

 衣川さんは完全に覚醒した。

 仕方ない。次の作戦だ。

「あの衣川さん。この包帯衣川さんがしてくれたんですよね?ありがとうございました。それと水浴びを除いてしまったのは不可抗力ですがすみませんでした」

 そう言って俺は布団から抜け出そうとするのだが

「今は絶対安静だ」

 止められてしまった。

「いやでも……学校はあるし………」
「もう学校は終わっているぞ」
「は?」

 携帯を取り出そうとしたのだがそういや化け物から逃げる時落としたんだった。

「これ」

衣川さんは自分の携帯を俺に見せた。

「マジか……」

 時刻は二時を回っていた。

 土曜は午前で終わるのでもう間に合わない。

「諦めて今日のところは休め。覗きの件は許してやるぞ」
「いや、でも、せめて母さんに連絡くらい取らないと」
「ああもう!それも私はやる。貴様は今日絶対安静!分かったら返事!!」

いつものノリで

「断ります。絶対に連絡とりますから」

 そう言って起きあがろうとするのだが、左肩を少し押されただけで激痛が走った。

「くっ……」
「ほら。だからやめろと言ったのだ」

だが俺は一つ疑問に思うことが出来た。

「衣川さん。そういえばわざわざ衣川さんが看病しなくても普通に救急車呼んでくれたらよかったじゃないんですか?」
「あまり自慢できるものではないが、ここは衣川組の本家だぞ。その場所で傷害事件があれば警察は余計な散策をする。それを回避するために救急車を呼ばなかった。だが大丈夫だ。無免許だが名医に見てもらったぞ」
「俺は、BJ先生は信用しない派なんで」

 無理やりにでも起き上がろうとする。

 怪我をしているとはいえ、身長百七十七の若干鍛えている俺が百六十後半の女子に負けることはまずないだろう。

「きゃぁ」

 少し強く行き過ぎたかな。妙に女の子らしい悲鳴を上げる衣川さん。

 衣川さんは押さえていた右手のバランスを崩しこちら側に倒れてきた。

「「…………!!!!」」

 一瞬の出来事なので反応が遅れた。ていうより反応できなかった。気付いたときには衣川さんの唇は俺の唇に重なっていた。

 数秒間身動きが取れなかった。

 事故だった。キスの味は甘酸っぱいとか、そういう感情は芽生えず理解するのに脳をフル稼働する。

「~~ッッ!」
「ぐへぇ」

 先に動けたのは衣川さんだった。

 彼女はけが人の俺を容赦なく突き放した。

 とはいえ、これは彼女が責められる道理はない。

 無論俺も悪くないのだが、こういう事故は男が謝罪をするのが一番ベターな選択だろう。

「えっと……衣川さん?すみませんでした許してください」

 潔く土下座した。

「……。一分間だけその姿勢でいてくれれば許してやってもいいぞ」

 衣川さんはなんて優しいんだろうか。あんな事をしてしまったのに僅か一分間の土下座で許してくれるなんて聖女マリアもビックリだろう。

「―――鬼人化(オーガナイズ)」

 絶対に聞こえてはいけない単語が聞こえた。

「ちょっ衣川さん!!それ明らかに――――」
「なぜ貴様が顔を上げている。まだ一秒も経っていないぞ」

いやさすがに一秒は経ったんだけど。

「それに後六十八秒だ。そこにじっとしていろ」

 一分は六十秒です。とは突っ込むことが出来なかった。

 これは本日五度目の人生の危機を感じたため、急いでこの部屋から出ようとする。

「お邪魔しましたあああああ」

 急いで自分のいた部屋から脱出するのだが、何分この家、部屋数は多いわ、似たような部屋ばっかりで、すぐ迷子になった。

 結局、これぞ本当のリアル鬼ごっこ(鬼が本物の鬼である)は、僅か十分間しか経っていなかったが一年のような長い感じがしたのだ。





「ようやく出口(玄関)だ」

半ばかくれんぼのように逃げ、ついに出口を発見した。

俺の人生はまだ始まったばかりだもんな。

 ここで死ぬなんてことは無い。

「かーがーみー」

 後ろから何者かによって肩を叩かれた。その声は鬼ごっこをしながらメリーさんを思わせるまるで死の宣告のような声だった。

「みーつけたー」

鬼怒川(衣川)さんは素晴らしい笑顔だった。まるで全てを飲み込むブラックホールのように。

「あはははははは」

思わず笑ってしまう。笑う所じゃないのに、心を偽装しないと生きていけない気がしたのだ。

「海と山、どっちがいいか」

 今度は逃げないように制服をガッチリと鬼の手で捕まれている。

「あの……話し合いで解決しませんか?だからまずその手を離してください」
「そうか。コンクリートの中が好きなのか。仕方ない。少々手がかかるが折角最期の頼みだ。聞いてやらねばな」

 話し合う余地はなかった。

 ここまで来ると相手が女の子かどうとかいう次元ではないため、まず制服を脱ぎながら足払いで衣川さんを転かせる。

 そして残りの体力を振り絞って全力でダッシュをかける。

「逃がすかああああ」

 下手をしたら男より漢らしい衣川さんは転げた瞬間立ち上がり俺を押し倒したのだ。

 俺は扉を開けた所で捕らえられてしまった。

「ぎゃあー。けだものーーー!」
「何を言う!先に手を出したのはそっちではないか。この覗き魔!痴漢!」
「否定できないのが悔しい」
「まあいい。これで心置きなく貴様を殺れる」

 今度こそ本当の本当に覚悟した。



「……え?」

 声を出したのは俺でも衣川さんでもない。

「月夜!?」

 同じクラスの月夜さんだった。

「すみません。お二方がそんな関係とは知らずに勝手に上がり込んでしまってすみません」

 謝り癖があるのか、開始早々謝ってきた。

 ていうか俺と衣川さんがどういう関係なんだろうか。少し状況を整理してみよう。



 まず現在の立ち位置からだ。と言っても俺は衣川さんに押し倒されているため立ってはいないのだが。

 そして今俺の姿はワイシャツ一枚である。そして衣川さんは寝巻のような服装をしている。

 最後にさっき俺達の会話をリピートしてみよう。


『ぎゃあー。けだものーーー!』
『何を言う!先に手を出したのはそっちではないか。この覗き魔!痴漢!』
『否定できないのが悔しい』
『まあいい。これで心置きなく貴様をヤれる』


「「あ……!!」」

二人同時に気がついたようで驚きのセリフも一致した。

「違うのだ月夜!私はそんなに汚れていない!!」
「いいんです。わたしは別に衣川さんがどんなふうであろうと構いません。ですからお二方のその……空気を壊してしまって………ごめんなさい」

月夜さんは、回れ右して走っていった。

「待つのだ月夜!」

幸運なことに衣川さんは俺のことを忘れ月夜さんを追っていき、俺一人が残されたのであった。

「た、助かった……」

 同級生にキスをしたというよりも、何とか死なずに済んだという感情の方が強かった。







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