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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

7章 前編 サマーバケーション

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羽衣会 3

贋工賜杯フェイクメーカー

 自らを5体ほど複製。

 それらは『時間』より上の能力は使えないが、『論外』とそして超悦者スタイリストにもなれるため戦力になる。

雷電の球ライジングボール 回廊洞穴クロイスターホール

 周りに夥しいほどのトラップを仕込む。

 更には

二次色の人生レインボーライフ

 早苗を中心に防弾ガラスをドーム状に囲む。

 この間0.5秒。

 その後遅れて、衣川組のヤクザ達が拳銃を取り出すが、色々と遅いだろう。

「衣川さん、指示をください。このまま安全を確認するまでここで待機するか、それとも逃げるか、もしくはこの件の犯人を探し出すかどうします?」
「…………もしも犯人を探し出したとして、勝てる保証と私たちの安全の保障はあるかい?」
「微妙な所です。勝てる保証は100%です。安全面は刹那も入るスキは与えません、ですが探すのと安全の両方同時に行う保証は俺には出来かねます」

 イタズラは俺達の到着を遅らせる為の策だ。

「向こうは俺に勝てないと踏んでたわけですから」
「そうか、ならば現状維持だ。私達は情報が必要。犯人を取り逃がしても構わん、ただ君の分身体で情報を探ってほしい」

 うーん、それは……

「待ってください母様、その調査私も同行させてください」

 !?!?

「何を言っているんだ早苗。今は明らかに非常事態だ、そんな独断専行は許されない」
「母様。説明はできませんがお願いします、今ではないといけないんです」

 早苗はいったい何を企んでいる?

 !!!!

 ……………………

「衣川さん、俺の本体と早苗が同行します。何かあればすぐに向かいますから承諾してくれませんか?」
「……」
「あなた達の安全は刹那程度の危険さは孕みますが、早苗の安全はそれが一番です」
「分かった。だが10分だ。それ以上の探索は……」
「5分に1度、こちらから連絡を入れます。それでは駄目ですか?」
「いいだろう」

 承諾を得られたので早苗をドームから出す。

「では行ってきます、早苗俺の傍から離れるなよ」
「…………うむ」

 返事に覇気がないが、それはこの夥しい死体を見てではなく、何かを考えながらの行動に見える。

 一体何を企んでいるんだろうか。



 中に入り込むが、酷い酷い。

「何か思うところはあるのか」
「そうだな……死因が統一されていないのが気になる」

 銃弾で殺されたであろう死体があれば、斬られて殺された死体、更には外傷が無いが明らかに苦しんで殺されたであろう死体、家屋には損傷がないのに焼け焦げた死体と統一性がない。

「犯人は複数、そう考えるべきだな」

 ギフトは基本的に一人に一つ。

 まあ俺の周りは例外の方が多いため何とも言えないがな。

 適当に進み、明らかに厳重そうな扉がある。

「入ってみるか」
「……うむ」

 入ってみると、これはひどいと言わざるを得ないだろう。

 門を潜れば死体の山だったが、扉を開ければ死体の森だ。

「早苗、この中で知っている人いる?」
「居るぞ。麻生組組長、麻生三千郎 麻生組若頭麻生丹呉。綿貫組頭領、綿貫狐火。来るべき人が皆死んでいる」

 何ということだ。

 まだ皆温かい。

「これもしかして妨害を無理に突破して時間通りに到着していたら、巻き込まれていた可能性が高いな」
「……」
「そう思うとイタズラの犯人、実は敵じゃ無かったりするのか」
「それはないぞ」
「どうして?」
「ここにいたのは麻生や綿貫だけではない。衣川も含まれていた。先行して罠を張られていないか見張っていた。それなのにこうなってしまった」

 目線の先に上半身と下半身が真っ二つに分かれていた死体があった。

「それ初めて知ったんだが」
「言ってなかったか? 実際言わなくても一樹の仕事は私達の護衛だから言わなくてもよかったものだと思うのだが」

 そう言われればその通りだが、出来れば言っておいてほしかった。

「幹部やボスクラスは全滅?」
「恐らく」

 こう言い方は好きではないが、潜入数名が敵組織2組を壊滅させたと考えれば名誉の戦死となるだろう。

「ぅぅぅ」
「おい、お前! 大丈夫か」

 ここは地獄と思っていたが、どうやらまだ生きている奴がいたようだ。

 俺は早苗を押しのけその男に尋ねる。

「質問に答えろ、誰がこんなことをした?」
「っっぅぅう」
「答えろ! 誰だ?」
「ガキが……ションベン臭い少女と、厨房の女。あとは高校生くらいの男が―――――」
「その高校生くらいのはどんな奴だ?」
「髪の毛が黒いですが……訳の分からない能力を使っ―――――ぐはっ」

 男は急に苦しみだし泡を吹いて倒れた、

「駄目だ。もう死んでいる」
「そうか」
「くっそ、俺の目の前で殺すとは、犯人は臆病なのかそれとも大胆なのか分かんなくなってきた」
「ところで一樹、そいつの死因はなんだ?」
「分からんが……泡拭いて死んでるから毒殺かなんかじゃないか?」
「そうか、そこで提案があるのだがいいか?」
「なんだ、言ってみろ」
「私が速攻悪鬼正宗デビルメイクライを使って、犯人を呼び出してみようかと思うのだが」

 なっ!!!!!!

 それはまずい………!!!!! じゃなくて

「そんな使い方出来るのか!?」
「やってみればいいだろ。出来るかどうかはその後の結果を見ればいい」

 多分だが出来る。
 そしてそういう使い方もあるのか。

 知った時はあまり強くないと思っていたがとんでもない。

 十分に恐ろしい。

「だがあんまりお勧めしないな。俺自身持ってないからよく分からないけど、持ってないからより警戒すべきだと思うんだ。シンボルはそうやすやすと使っていいもんじゃないと思う。だから今回は無しだ」
「一樹」

 早苗の目は俺を捕らえていた。


「この事件が起きること最初から分かっていたのだろう?」


「え? えっとどういう意味か分かんないんだが?」
「未来予知できる一樹が、何でこの件を予知できなかった?」

 …………

「実をいうと、あんまり未来予知が役に立たない敵がいたんだ。『世界』と『法則』のギフトをもった刺客がいたから役に立たないと思って使わなかった」
「そうか。私も一樹からその説明を受けたから『運命』の予知というのは役に立たないという主張は理解できる」
「だろう?」

 『法則』のシンボルを持ったんだから、そこら辺の事情は知っておくべきだと思い、夏休みが始まって3日くらいで話しておいた。

「きっとその敵の中で私達を守ろうとするのは至難の技であろう」
「うんうん」
「この事件の犯人はその敵を倒したんだ。恐ろしいと思わないか」
「そうだな」
「余裕そうだが本当は犯人を知っているからそんなこと出来るのではないのか?」

 …………
 …………

「これもまた予知なんだが、普通に帰ってこられる未来を予知していたんだ。勝てると思って当然だろ?」
「一樹、私が今何を思っているか当ててみろ、分かっているはずだ」

 そうだな。誤魔化すのは俺達の関係上良くない。

 俺達は本音を言い合える仲だ。

 だから早苗も思ったことを口にする。



「衣川早苗はこの暴力団集団殺戮事件の実行犯を嘉神一樹ではないかと疑っている」



「そうなのだ。間違っているのならそれでいい。だが現状はそうとしか思えない」

 弱ったな…………早苗の頭がまさかここまでとは思わなかった。

「早苗、お前ずっと一緒にいたのを忘れちゃったのか。アリバイがあるだろ?」
「アリバイ? 一樹は分身体を作れるではないか」
「確かに作れるが、その分身体ではこいつらを倒せない。なぜなら分身体でできるのは『論外』だけだから」

 これは真実。嘘偽りはない。

「私と一緒にいたのが分身体ではないのか?」
「『世界』の能力を使って見せただろ」
「途中で入れ替わったのではないか?」
「早苗達に気づかれずどうやって入れ替わればいいのか、逆に俺も知りたいな」

 出来ることが多すぎるというのも考え物だな。

 あらぬ疑いをかけられてしまう。

「そもそもさっきこいつが言ってただろ。犯人は女と男で、男は黒髪だって」

 俺は4分の3が白髪。
 証言された特徴とは不一致だ。

「まるでそう証言するように生かしておいたようだ」
「へえ、じゃあさこうしよう。躾けられた支配者トレーナーズコントロール、『もしも俺がこの男を殺していたなら………耳を引き千切ろう』」
「私も追加して『もし一樹が躾けられた支配者トレーナーズコントロールを使っていたなら靴下を片方脱ぐ』」

 ギフトが発動し、口約束通り早苗は靴下を脱いだ。

「な? 俺はやってないだろ?」
「…………」
「大体動機がないだろ?」
「それは冗談のつもりなのか?」
「うん、今のはなしな。自分で言って矛盾してるって気づいた」

 動機はある。多分この中で一番。

「早苗、お前が俺を疑う一番の理由はなんだ。お前の主張は俺ならできる、俺ならそう思想の状況での推測だ。状況証拠にもならない。明確な根拠がないと主張には乏しい」
「根拠か……ならば一樹、これだけは答えてくれ。私がお前を疑ってやまない理由は----」

 早苗はスッーと息を吸い



「なぜ私の目を見て話そうとしないのだ」



「――――」
「こっちを向いて、自分は殺していないって言ってくれ。そうすれば私もお前を信じられる、だがそうしなければ一樹のことを信じられないのだ」

 嘘をつく時目を背けている。

 どんなに言葉で取り繕っても行動が嘘だと見える。

 それが今の俺……か。

「ごめん早苗、俺はお前に言わないといけないことがある」
「そうか、覚悟はしている」
「一度しか言わないからよく聞いてくれ」

 今度はしっかりと早苗の目を見て話す。


「お前、眉間に海苔がついてるぞ」


「 はぁ? 」
「ごめん、結構前から気づいてたんだけど言い出す機会がなくて。しかも今はシリアスな雰囲気で言うに言えないし、かといって直視したら噴き出しそうで……フフっはははあ」

 文字通り腹を抱える。

 多分車の中で食べた海苔せんべいのカスだ。

「ひ、酷いのだ!! なんでもっと早く言ってくれなかった」
「それはそれで面白かったから」
「うっ~~」

 こんな仲良くやってるが、現在死体が山積みになっている。

「シリアスに笑い入らない。真面目な雰囲気にしたかったんだ。これでも頑張って耐えてたんだから早苗は俺の労を労うべき」
「じゃあ、本当に一樹は殺してなんかないんだな」
「ああ、俺は殺して無いよ。キリストにも釈迦にも誓って俺はやってない」
「では誰がやったんだ?」
「分からん、分からんが優先順位だ。取りあえず香苗さんに一回連絡を入れるぞ」

 状況報告も兼ねて一度彼らの所に戻ることにしよう。
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