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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

7章 前編 サマーバケーション

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超悦者 3

作者はギャグ回のつもりで書いてます。
 結局動物芸はしないで、ジャグリングとチアリーディングぽいものをやることになった。

 チアリーディングはなんでもどうしても真百合がやりたいとのこと。

 理由は知らん。

 ただ今日真百合は遠出しているらしく、ミーティングは明日からとなった。

 取りあえず今日は自分でボールを作り、3個のボールでジャグリングできるように特訓。

 何とかものにし4個目の壁にぶつかった時、21時に差し掛かった。

「じゃ、早苗。俺また遠出してくるから」
「どこに行くかは聞かんが、言ってくるのだ」

 早苗には俺が何処に行くか何しに行くのかは言っていない。

 明らかに仲が悪そうだから。

「ジャスト9時。早速始めようか」

 すでに屋上には父さんが待っていた。

「その前に父さんジャグリングできる?」

 超悦者スタイリストよりもジャグリングをどうするかが今俺の頭の中をしめている。

「出来るぞ。やって見せようか?」

 ダメ元で聞いたが出来るそうだ。

 恐らく創造系のギフトを使い颯爽と5個のボールっぽいなにかでジャグリングを…………

「手榴弾じゃねえか!」
「ほれほれ」

 しかもよく見たらピンを抜き差ししながら回している。

「これも超悦者スタイリストのちょっとした応用だ。モノにしたくなったろ?」

 やっていることはあれだが確かに上手くやればステージをいい具合に盛り上げることができるだろう。

「今日もテニス。明日もテニス。感覚を掴むまでは一生テニスだ。ただし今日はギフト使っていいぞ」
「いいのか?」
「ただし、『論外』の能力だけだ。反辿世界リバースワールドとか、回廊洞穴クロイスターホールは無し。そして今度は当てるだけじゃなくこっちのコートに返すことも念頭に入れろ」

 いつの間にか屋上がテニスコートに変わっていた。

「それじゃ始めるぞ」

 父さんが打ったサーブボールは炎で燃えていた。

 なんか典型的なボールで逆にリアクションに困る。

鬼人化オーガナイズ

 力技には力技を。

「あ」

 なんとか打つことは出来たが、あらぬ方向に飛んで行ってしまった。

「よっと」

 しかしそれをジャンピングスマッシュで返球。

 返球できる球は全部返すつもりか。

 既にボールは俺の後ろで跳ね、普通にやれば絶対に届かない所までいってしまう。

 ならば分身。

 2バウンド目まじかで俺の分身体が打ち返す。

「ダブルスだ!! くらえ」

 そして本体の俺は重力を操作しネットにぶつけ相手コートに押し入れる。

 勝った。

「問題ない」

 しかし父さんは光のごとく直進し、そのままフルスイング。

 打った球はネットを突き破り俺と分身体を襲った。

「~~っ!!」

 鳩尾に一撃が入り悶絶。

 分身体はいつの間にか消えていた。

「立て一樹。10カウント以内に立たないと父さんの勝利だぞ」
「テニスにそんなルールはない。改竄するな」

 よろよろになりながらも立ち上がる。

 あのロリコンぜってえ許さねえ。

 嘉神家の家訓はやられる前に三倍返しだが、やられてしまったら十倍返しだ。

 なりふり構わず八つ当たりだ。

雷電の球ライジングボール

 テニスボールに電撃を纏わせる。

「死ね!!」

 コートを狙わず直接父さんにめがけサービスエースをねらった。

「甘い」

 しかしそれをなんなくブロックされる。

 だがそんなことこちらも想定内。

大小織製マキシマムサイズ

 大きさを変化。

 半径5メートルの巨大な塊だ。

「無駄無駄」

 父さんはラケットを横に持ち変えフレームで打った。

 するとボールがクの字に曲がり最終的に高さだけは通常のボールと変わらないまでに変化した。

「ファック」

 大きさを元に戻し鬼神化オーガニゼーションのパワーで打ち返す。

 狙う場所は当然顔面。

「一樹、テニスに逆転ホームランはないんだぞ」
「サヨナラ打はあるんだよ!!!」

 今度は逆に大きさを極限まで小さくする。

 普通ならばラケットの縫い目の穴を抜けるか当たっても前に飛ばないかだが……

「いいぞ。その意気だ」

 特に難なく返される。

 ならばともう返された打球を重力で跳ね返す。

「甘い!」

 ラケットを振り風圧で押し返した。

 もうこれにかけていた俺は転々と転がるボールを見ることしかできなかった。

「コートを狙うのではなく父さんを狙うという発想は中々よかったぞ」
「うるせえ!」

 何とかしてあの間抜け面を歪ませたいのに……くそ。

 なかなか上手くいかない。

 というか本当にできるのか?





一時間経過。

 これまで試合にはならないがラリーはなんとか続けていたが

「ぐぁ」

 右すねに激痛が走る。

 父さんが打ったスマッシュが俺の足に直撃した。

「いってえ! わざと狙っただろ!」
「そうだが?」
「このやろー! テニスは紳士のスポーツだろうが!! 人を狙ってどうすんだ!!! お前にはスポーツマンシップというのが無いのか!!!!」

 恥というのは知らないのかこのロリコンは。

「え・・・・・一樹一時間前自分が言ったこと覚えてる?」
「覚えているさ。でもそれとこれとは話が別だろ。一般人である俺とロリコンという底辺以下の父さんは重みが違うんだよ」
「同じ人間だろうが」
「同じ人間って……正気か? 食い物と糞の成分が大体同じって言ってるようなもんだぞ?」

 呆れた。父さんもそう言う人間だったのか。

「…………そうか――――そうか」
「ん??」
「一樹。続けるぞ」
「待てよ。まだ怪我の回復が」

 というか異様に治りが遅い。

 立ち上がるのがやっとだ。

「これから一樹に休みは与えない。一時間きっちりぶっ続けで練習だ。痛いとか辛いとかそんな泣き言言っても絶対に続ける」

 ちょ……なんか俺怒らせること言ったか?

「サーブはそっちからだ。さっさとうて」
「……占里眼サウザンドアイズ

 使うなと言われていたが使ってやる。

 すると恐るべき未来が予期された。

「おい待て!」
「どうした?」

 なんで俺の四肢がバラバラにされてんだよ。

 耐性で回避することは余裕だが父さんも『運命』に対して耐性は持っているはず。

 結局別の方法で攻撃してくるだろう。

「見たのか」
「ああ見た。なんてことしてくれるんだ! ギャグ回じゃなかったのか!」

 四肢をばらすギャグ回なんて俺は知らん。

「一樹、この際だから言っておくが何かを言う時は相手の実力を計ったほうがいいぞ」
「……」

 激おこ?

「おこなの?」
「……」

 なんかまじっぽい。

 これだから最近の中年は。

 大体犯罪件数は大人の方がはるかに多いのに、まるで自分たちが被害者の様にふるまいやがって。

「かかって来いよ。あんたはもうただのネタキャラだということを教えてやる」

 第一次父子喧嘩が勃発した。


 なお決着は五分もかからない。


 しかしどうしようか。

 まだ足治りきってないんだよな。

 仕方ない。次の手がなんとなく分かるがまずはこれからいくか。

重王無宮スクランブルキャッスル

 父さんのコートにピンポン大のブラックホールを生成。

「ほーらよっと」

 あらぬ方向にサーブを打つが重力により引っ張られる。

 因みに俺は自分にかかる重力は柳動体フローイングで打ち消しているため問題ない。

「確かにブラックホールは光速をも呑み込む。だが一体いつ父さんの限界が光速だと錯覚した」

 見えないが恐らく光速より速く、ブラックホールですら引きずり込めない速さで打ち返した。

 ついでにラケットでブラックホールをも打ち返した。

 正直この返しは予測していたため、特に何かを言うつもりはない。

 予想外だったのは打ち返したブラックホールを更にスライスしたこと。

 何をするかと一瞬理解できなかったが、すぐに理解せざるを得なかった。

 二つになったブラックホールの間に先程打ち返したテニスボールが浮かんでいたのだ。

 ピッチングマシーンの様にこのボールを打ち返す気だ!!!

「気づいたようだがもう遅い。喰らえ」

 放たれたボールは真っ直ぐ俺の太ももに直撃。

 骨と肉が同時に駄目になる感覚が流れ片膝をついた。

「ぅぅっ……! ボールは!?」
「こっちだ」

 跳ね返ったボールはそのまま相手コートまでゆっくりと放物線を描いていく。

 誰がどう見てもサービスボールだ。

「何か言いたいことはあるか」
「…………これも……これも超悦者スタイリストか?」
「何のことだ」
「こうやってあり得ない速さでテニスをしているのに普通に会話をしているってことだ」
「……そうだ。既に一樹は何となくだが会得している」

 当たり前の様に常識をブッ飛ばすこの何となくというのが超悦者スタイリストでは重要なんだろう。

 そして既に俺はその一歩を踏み出していた。

 ただ気づかないようにしていただけだった。

「明日からはテニスは必要ない。本格的に戦闘に組み込む鍛錬をする。だが……この一発は体で覚えておけ」

 父さんは天高く跳躍する。

「今俺はコートの外にいる。直撃したらアウトだぞ」
「ならば一度バウンドさせて一樹を狙うまでだ」

 …………

「偶には負けることも重要だ。勝ちっぱなしの人生なんて存在しない」
「かもな。確かに偶には負けるのもいいかもしれない。だがそれはあんたにじゃない」

 父さんには負けられない。

「これが最後だ。そのラケットを振ったら酷い目にあうぞ」
「構わん。父は子に嫌われてでも頬を叩かないといけないこともあるんだ」

 そう言って放ったサーブは一直線にコートへ突き進みフィールドにぶつかった。

 そのまま……むしろ加速して跳ね返り俺の鳩尾へ…………――――



 なんてことはなく垂直90度に跳ね上がった。

「なぜだ!? 何をした? 間違いなくオレは一樹を狙って――――!?!?」
「予測はつかないのか? ギフトでも使って推理したらどうだ?」

 この現象を引き起こしたのは当然俺だ。

「分かんないなら教えてやるからよく聞けよな。俺はテニスボールが地面にぶつかる直前、左足でフィールドを思いっきり踏み込んだ。やったことはこれだけだ」
「それでいったいどうや……まさか!?」

 気づいたようだが最後まで説明するのがこういう場面での礼儀だろう。

「波というのは別に空気や水だけの現象ではない。人目では良く見えないだけで全ての物質に共通して引きおこる。ただ気体や液体の方が個体よりも伝わりやすいというだけだ。そこで俺は震脚によりこのテニスコートに波を作った。本来ボールは水平のコートに入射し跳ね返るが、波を作ったことにより入射角がずれさらに反射角もずれる。本来俺に向かって進むボールが空高く舞い上がったってわけだ」
「ふっ。流石としか言いようがない。まさか初めて2日いや、3時間でそこまでモノにするとは……やはりお前は天才だよ」

 これで御開きムードを漂わせているがとんでもない。

「おいおい父さん。まだボールは死んでないぞ。コートでバウンドしただけだろ? 2バウンドしないとゲームは生きている」
「……えっと、一樹足を怪我してるだろ? 無理するな? な?」

 怪我させたのはあんただろうが

「安心しろ。父さんをブッ飛ばすのには、片足だけで十分だ」

 再び震脚をし波を作る。

 今度は更に応用。

 波ということは戻ろうとする作用もある。

 その戻ろうとするときに片足でジャンプ。

 地面に後押しされむしろ五体満足の時よりも高く飛び上がった。

「歯食いしばった方がいいんじゃない?」
「やめるって選択肢はないのかなあ?」

 ないです。諦めましょう。

「えっと……一樹、なぜか父さんいまギフト使えないんだけど心当たりある? しかも体動かないし」
「どうせ神薙さんでしょ?」
「そうみたい。今脳内でそいつの声が聞こえた。酷いと思わない?」
「思うよ。だが今だけはそいつに感謝する」

 サンキューナッギ。

 この気持ちは3秒後まで忘れない。

「悪かった、許してくれ」
「別に怒ってなんかない。ただぶっ飛ばしたいだけだ」
「…………分かった。子供の我が儘を聞くのも親の仕事だ。だからせめて――優しくしてね」

 諦め更に懇願する父さんに俺は優しく微笑む。

「頷くと思う?」

 ラケットを90度ずらす。

 打つのはガットではなくフレーム。

 今の俺ならわざわざガットじゃなくてもフレームで十分の反発を引き起こせる。

「GO TO HELL――――!」

 父さんは、くの字……いやVの字になって地面にめり込んだ。

 ひょっとしたら死んだかもしれないがだったらその程度の存在だし別に問題ない。

 ポイント的にこれが俺の初得点だ。何ゲームも取られている。

 だが父さんはもう動けないが俺はまだまだ動ける。

 嘉神一芽試合続行不可能、よって

「I’m winner ! 」

 両手を握りしめ天高く拳を振り上げたのだった。


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