第四話ー住処に戻る俺ー
一人称の書き方を変えたりしてます。
前の話と書き方が違うかも知れませんが、ご了承下さい。
「知らない天…天井じゃないか」
テンプレな目覚め方に失敗した。
それにしても柔らかい何かが枕になってて気持ちいいな。
……あれ?なんで俺は美女に膝枕されるんだ?
え?何このシチュエーション。
俺が戸惑っていると、美女が口を開く。
「ご主人様。お目覚めになりましたか?」
あ……思い出した。確か精霊と契約したんだっけか。
「あ、ああ大丈夫だよ。それより君は大丈夫?」
「はい。ご主人様のおかげです!」
どうやら大丈夫みたいだな。それよりも聞き捨てならん単語が出てきたよね。
「……そのご主人様ってなにかな?」
さっきから彼女が言っているご主人様とは何か気になりすぎる。
「え?貴方様の事ですが……」
さも当然だというように彼女は言った。
いやいや待ってよ!
「なんでご主人様になっちゃったのか気になるんだけど……。契約が関係してたりする?」
ちゃんと説明欲しいな。俺がそう言うと、彼女は元気良く説明し始めた。
「はい!契約とは本来、その魔力を注ぎ込んだ量が多い方が主人となります。そして下となった者は、その魔力の差が大きいほど主人の影響を受け、小さいほど対等な関係になるわけです。今回はほぼ全てご主人様の魔力でしたので、私はご主人様の従僕となりました。故にご主人様とお呼びするのです」
俺はその説明を聞いて頭を抱えた。
それは先に言おうよ!確かに考えてる時間なんて無かったよ?でもさ緊急事態とはいえ、あれだと無理矢理契約したようなもんじゃん!
「えーっと、契約って解除出来ないのかな?」
俺はこの罪悪感から脱出を試みる事にする。
「え……?ご主人様……私を捨てるのですか?」
……失敗した。
くそっ!だって上目遣いと涙目は最強だろ!
「い、いやだな!そんな事あるわけないよ!ただ、君は嫌じゃないのかい?無理矢理契約させられて従僕にさせられて」
だってそうだろう?
こんな契約なんて、奴隷みたいなものじゃないか。
俺がそう言うと、彼女は怒り始めた。
「無理矢理なんかじゃありません!契約は双方の同意があって初めて成立するんですよ?それに、ご主人様は私を救って下さいました。それだけで貴方様に尽くす理由になります!それなのにご主人様ときたら解除したいだなんて……」
「わ、分かったから落ち着いてくれ!」
まずい、また彼女が涙目になり始めたぞ。とりあえず話をそらす事にしよう。
「あー、それよりさ!悪いけど名前を教えてくれないか?これから一緒に過ごすんだし、いつまでも君とかじゃダメだと思うんだ」
良い話の逸らし方だと思った。
話を逸らしながらも聞きたい事を聞くという高等技術!
「あ、すみません!名前を名乗り忘れるとは……。私の名前は『シルヴィア』です。ご主人様の名前も伺ってよろしいでしょうか?」
「ああ、俺の名前は……」
ちょっと待てよ。俺今名前わかんないじゃん。
「どうしました?まさか名前を教えて下さらないのですか?」
まずいまずいまずい!また彼女……いやシルヴィアが涙目に!
ここは正直に言おう。
「そんな事はないんだけど……。実は名前が分からないんだ……」
「ふぇ?」
おおう。リアルでふぇ?なんて言う娘初めて見たよ。
「名前が分からないんだ。だから、シルヴィアが付けてくれないかな?」
「わ、わわわわ私がですか!?これは責任重大ですね……」
なんとか話を逸らしたな。
それよりも必死に考えてるシルヴィア可愛いよシルヴィア。
「うーん……あ、思いつきました!」
思いついたみたいだ。
聞いて聞いて!とでも言うような笑顔で俺を見ている。
「どんな名前?」
「えへへ……それはですね~」
シルヴィアが考えた名前なんだから、きっと良い名前なんだろうな。
「絶望を呼ぶ死がm(ry「ちょっと待て」……絶望をy(ry「だから待てって!」……何ですか?」
「え?何ですかって聞いちゃう?」
「最後まで言わせて下さいよ」
「いや、分かるからね?シルヴィアが言おうとしてること分かるからね?」
「なら尚更ですよ。かっこいいじゃないですか。絶望を呼ぶ死神って」
「はいアウトォォォォォ!」
うわぁぁぁぁ!痛いよ!シルヴィア痛い娘だったよ!
「しかもそれ名前じゃないじゃん!」
「むぅ~。じゃあもう一つの方にします」
良かった。本当に良かった……。
だけど安心出来ない。絶望を呼ぶ死神とかいう痛い名前を考え出したんだ。次もきっと痛い名前に違いない。
「えっとですね~」
来るっ!
「カイトなんてどうでしょう?」
「え?」
「ですから、カイトなんてどうでしょうか?」
え、嘘だろ。
「普通…だと……」
普通だった。いや、カイトなんて凄い良い名前じゃないか!
「え?あ、嫌でしたか。そうですよね……。私が付けた名前なんて嫌ですよね」
まずい、このままでは絶望を呼ぶ死神になってしまうかもしれない!
「そうじゃないよ。とても良い名前だ。俺がこの名前を名乗っても良いか?」
そういうとシルヴィアはパァッと顔を明るくした。
「本当ですか!ご主人様に使って貰えるなんて嬉しいです!」
「そっか。なら俺の事はカイトって呼んでよ。ご主人様って、なんかむず痒いんだよね」
「……ではカイト様と」
「うーん……まぁ良いか。じゃあ改めて自己紹介しようよ」
様付けは取れなかったけど、まあ仕方ないよね。
「はい。私の名前はシルヴィアです」
「俺の名前はカイトだ」
「「これからよろしくな(よろしくお願いします)」」
それにしても、何で絶望を呼ぶ死神とカイトで前者を選んだのだろうか
。
「さて、一度住処に戻りたいんだけど良いかな?」
自己紹介を終えた俺たちは洞窟の出口に向かっている。
「ご主人様の行くところが私の行くところです。何処へでも着いていきますよ」
「ありがとう。さて、一つ質問良いかな?」
かなり気になるんだよね。
「はい!カイト様。何でも聞いて下さい!」
「なんで俺を抱っこしてるだよ」
「え?」
え?じゃねぇぇぇぇぇぇぇ!
いや、確かに俺小さいよ?8歳の
身体だしね。でも心は高校生なんだけど!17歳なんだけど!
「だってカイト様が可愛いから……」
か、可愛い……。中学生あたりから目つき悪いとか言われて、誰も寄り付かなくなった俺が可愛い……。
「抱っこは辞めてくれないか?俺は自分で歩けるんだが……」
俺は羞恥に耐えられなくなって、脱出を試みた。
「嫌です」
ですよねー。
「はぁ……諦めるか。シルヴィアは俺の住処分かるの?」
シルヴィアには住処の場所を伝えてないんだけどな……。
「大丈夫です!契約によってカイト様と私の知識は共有されますから」
「共有?」
また新しい単語が出てきたな。
「はい!例えると、私がAの知識を持っています。カイト様がBの知識を持っていたとしましょう。私とカイト様が契約した場合、双方がAとBの知識を得ることが出来ます。しかし欠点もあって、共有で得た知識は自分で知ろうとしなければ頭に入ってきません。簡単にいうと図書館から本を借りてくるような感覚です。勿論相手が知らない知識や、知られたくない知識を知る事は出来ません」
なるほどね。
脳の負担を減らすための仕様かな?
だって17年分の知識が一気に入って来たら、脳が大変な事になるしな。
「そういう事か」
「そういう事です!」
というわけで、シルヴィアに抱っこされながら住処に戻る俺であった。
描写が足りてないですね……
加筆修正しようかな…