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54.贈られた恩恵

設定の一部を物語形式にしてあげます。

閑話になります。


 贈られた恩恵



 その時、なぜそこを見ていたのかはわからない。

 ただ、・・・しいて言えば退屈だったからかもしれない。

 見たのは争い事が人と人の間に起こったからだ。

 どちらかと言うと残念と思っていた。

 人が変わってしまったから・・・。

 

 ソノモノは退屈していた。やることがない。世界を作ったのはソノモノだったが、それもどんよりとした闇の中に光るモノを作ったのは、退屈を持て余したからだ。

 ソノモノはどんよりとした闇の中途方もない時が過ぎた後、ふと思いついて光るモノを作り出した。

 そのぼんやりとした光を見てから、ソノモノは光そのものも、そして光の届かないどんよりとした闇も、光と闇の対比もソノモノのやる気を引き起こした。


 光を飲み込もうとする闇が濃過ぎたのが、ソノモノは闇と光が気になり始めた。そこでソノモノは光の輝きを増すことにした。退屈が紛れるはずだった。

 光の輝きは増し、ソノモノの視界は良くなった。しかし、ソノモノの見ることは大したことにならず、気紛れは晴れなかったのだった。


 ソノモノはなぜかと自己に問いかけたが、大した回答を得ることはなく、そこで、ソノモノは再度光を輝かせてみた。ギラギラした光にソノモノは満足をすると同時にギラギラの光に戸惑った。そこでソノモノは小さな光を闇の中に散りばめてみた。小さな光がキラキラと闇の中に輝いた。ソノモノはギラギラした光とキラキラした小さな光にこれまでにない満足を覚えた。


 だが、その満足も長くは続かなかった。代り映えのしない光にソノモノは見慣れてしまい、飽きてしまったのだった。


 ソノモノはしばし考え込んだ。そして星を作り出して、ギラギラの光の傍に置いてみた。置いたところが光の傍だったので、星の表が溶け出しソノモノが見つめないと見えない小ささになってしまった。


 ソノモノはため息をつきながら、また星を作って、溶けてしまった星よりも光から離して置いてみた。案の定また星は溶けてしまったが、見つめなくても見える大きさになった。しかし、ソノモノにはその星の大きさは物足りなかった。


 ソノモノはさらに星を作り出そうとしたが、あることを思いついて水を準備してから、星を作り出し、光からさらに離して置いてみた。

 星は表が溶けたが、熱が前よりは高くなかったらしく、星からちょっとだけ離れた所に流れ出して溜まっていった。星から流れ出したところは幾多もあったが、大きな流れは四つだった。そのあとそれぞれ熱が下がって行き、やがて冷えると固まった。

 目に見えない小さな星の欠片は多く出来上がったが、四つの大きな流れからは、小さな小さな星が四つ生まれた。


 星が溶け出して小さな小さな星を作り出した後、ソノモノは用意していた水を星の表に注ぎ入れた。同時に星を光から軽く撫でるようにして離した。水が星を冷やし、星が水で青く覆われる。ソノモノは我ながらよくやったと褒め、うまく行ったと喜ぶことができた。


 星は小さな小さな星が溶け出したところが盛り上がって溜まり、流れ出した跡が尖り出していた。

 ソノモノが水で冷やしたため、その尖ったところが山になり、盛り上がったところが陸になった。水は低いところに集まり、海になった。

 星は光が長く当たるため、その所が熱くなり、海が干上がるようになったため、ソノモノは星をぐるぐるとその場で回転させてみた。さらには光の周りを星は回転するように掴んで置いてみると、星の海は干上がることもなく流れを産み出した。光が良く当たるところは熱く、当たりにくいところは寒くなった。

 ソノモノは流れ出して固まった四つの小さな小さな星を一つ一つ捕まえて、くっつけた。小さな小さな星はまとまって小さな星となり、ソノモノが作り出した星の周りをゆっくりと回転しながら回りだした。


 ソノモノはさらに試しで星をいくつか作り、光の周りにほぼ等間隔に離して置いてみた。光から離していくと、熱が伝わらないのか、水を入れたところ凍ってしまった。ソノモノは凍ったのは仕方ない、ついでに代り映えがしないとあまり見続けることもしなかった。結局ソノモノは海ができた星を見ることにした。


 星を見続けていたソノモノは、青と茶の色に飽きてしまい、ふと違う色を増やすことに決めた。花の色を増やし、緑、赤、黄、紫、黒と白、星は色で溢れたが、ソノモノは自分だけでその色を見るのが詰まらなくなった。そこで、自らの姿を見て、星が七回光で照らされてから闇に包まれるまでの短時間で、人を作り出した。人が色とりどりの花を見て喜ぶだろうと考えてだった。


 ソノモノは人とともに動物も作り出したが、どうやら動物は人よりも二回という短さで作り上げたため、人とは比べられない程度の知能と寿命しか持てなかった。


 そこでソノモノは魔の者と後に言われてしまう人のような者を作ってみた。

 人と同じように星が七回光で照らされる期間で作り上げるつもりだったが、途中で人よりも時間をかけることが嫌になり、魔の者は五回光で照らされた期間だけで作り出されることになった。

 ソノモノは随分休みなしで作り上げており、ソノモノはこれで休みを取ることにした。

 こうして人と動物、そして魔の者が星に暮らすようになった。


 ただ、魔の者には問題があった。魔の者は人の持つ知能と寿命が羨ましかった。知能と寿命を持っていないことを妬み、動物と交わり、その動物を唆した。唆された動物は人を襲い、人を殺めた。

 魔の者は、人が動物に殺められるときに現れ、こっそりと人の知能と寿命を奪っていった。

 動物に襲い掛かられた人側も動物に対抗しようと、武器を持ち、襲ってくる動物に対抗し始めた。こうして動物は魔の者に唆されて肉食に変化した存在と、植物を食べる存在とに分かれていった。肉食を始めた動物は、知恵はないために、人だけではなく植物を食くする存在も襲って食べるようになった。


 人は動物に対抗するために武器を手に取ったのだが、魔の者に唆された動物を倒すとそれを食くするようになり、人の心は魔の者のように汚染されていった。

 魔の者の持つ妬み嫉みで汚染された人の心は、欲望を産み、他の人を傷つけ、さらには殺めたりする者も現れ、人同士で争うようになってしまった。

 ただ人は時折正気に戻るのか、争うこともなく揃って色とりどりの花を眺めたりする。

 興が削がれたソノモノは人が魔の者に穢されて堕落したことに罰を与えることにした。

 ソノモノは人の知能と寿命を可能な限り削り取った。心が弱くなった人に幻滅した。


 さらにソノモノは今の状況を産み出した魔の者を星の深部へと追放することにしたが、魔の者を無くすことはしなかった。魔の者を産み出したのは、ソノモノ自ら生み出したのだからだった。


 こうしてソノモノは作り出した星自体に相当興味を失って行き、前ほど頻繁に星を見ることはしなくなった。

 時折ソノモノが星を見ると、争うことを覚えてしまった人が争っているところを見ることが多くなった。ソノモノが見ても、人が醜悪に見ることも在った。

 ただソノモノは星を見ることを止めることはなかったが、元々飽きっぽかったし、さらに醜悪になってしまった人に幻滅し始めてしまっており、さらに見る数を減らしてしまった。

 しかし、何かと興味を引いた時には、ずっと続けて見ることもあり、ソノモノは相当気紛れだった。


 そして、ソノモノはまた星を覗いた。

 なぜか人と人との争いに目が向いた。


 向かい合う人には数に差があった。

 そして両方の力にも差があった。

 片方が倒されていき、一人が争いの場から離れていった。

 離れていく人の後を大勢が追いかけ、離れたほうの人が追いつかれて次々と地に伏していった。


 大勢が人の塊に巡り合った。

 大勢が止まり、列をなした。

 意味が分からないと言っているかのような状態で足を止めて大勢を見ている人の塊。

 大きな声を上げて人の塊に近付いていく大勢。

 人の塊が解れると三つの人を頭にして下がっていく。

 三つの人の中からさらに一人が大勢の前に向いた。

 何の気なしに、ソノモノはその一つの人に注意を向けた。

 その時にその一つの人に力を注ぎ入れていた。

 

 力を与えた理由はない。

 あえて言えば、その者が目についただけだ。

 力を与えた者は、対する者たちを腰抜けにしただけで、去って行った。

 命を奪うことはしなかった。

 今まで人は、多くの人が集い、争うときには命を奪うことが多かったはずだ。事実、最初に見たとき、大勢は対する少ないほうを打ち倒していた。

 だが大勢の命は奪われず、腰抜けにしただけだった。


 ソノモノはその様に呆れたが、気紛れで与えた力だ、大して期待していない。

 ただ何でもできるソノモノと同じ力であるのに、腰抜けにしただけでやめてしまった。

 昔使ったことのある啓示で使い方を与えてやろうかと考えたが、結局止めた。

 啓示で導いたとしてもそれは自らが行うことと何ら変わりはない。

 人を構うことは面倒だった。

 ならば、これまでのように、力を与えた後は何もしないだけにしておくことにした。

 今までなら力を与えた後は何も関与しなかった。

 ただ今は見るだけにしておこう。


 それからもソノモノは、自らの力を与えた人を何となく見ていた。

 その人の思考は面白い。

 どうやら自分に連なる者を厚遇し、その者たちには心を傾けているようだった。

 それ以外は心底どうでも良いとでも言いたげな思考をしていた。


 ただ一度珍しく怒りを見せたことがある。

 他の者を虐げていた集団に怒りを向けていた。

 我を忘れてソノモノが星の深部に追放した魔の者を召喚し、魔の者の糧とした。ただ魔の者はソノモノが見ていたことに気が付いたようだ。そのまま、大人しく元の場所に戻って行った。魔の者はソノモノの視線に聡い。ソノモノの寵は人にあり、魔の者には人ほどにはない。ソノモノの不興を買えば、自らだけではなく、魔の者全部を滅すだろう。

 今までに見られなかったことで、ソノモノはそれを興味を持って見ていた。


 力を与えた人はなかなか面白いことをしていた。

 動物と契約をして使役するなど、すぐに思いつくものではない。

 家族に有利になる人と不利になる人を識別する物を作るなども面白そうだ。

 さらには、ソノモノが星を作った時に流れ出たもので、それを小さな星に纏めたときの欠片たちを見つけ、星に落としたらどうなるだろうと考えでもしたのだろうか、その欠片の一つを星に引き寄せ、水に落としていた。

 『ファレンダ ミティアライト』と唱えられ、星から流れ出た欠片が水に落ちたときに大地と風を揺るがせたことを、力を与えた人が妙に畏まった表情になったのを見つめていた。


 ソノモノに似た怠惰な思考が心地よく、ソノモノはその人に自分の代わりに人々を見させようと考え始めた。

 そしてそれはソノモノに安寧をもたらすのではないか。

 星を見るという肩の荷を下ろすに値する考えだった。


 

 


創造主の心境がメインのものです。創造主といえど、気まぐれで面倒くさがり屋さんです。怖ろしく興味がないと何もしない、ある意味突き放している至尊のお方です。

ちなみに設定では今までにも力を人に与えたことはあります。

人においては時間をかけすぎて力が知恵に変わってしまったという設定です。

悪魔は反対に時間が短くて魔法力が残ったのですが、創造主の注意を得られないことで人を妬み陥れようとして、創造主に嫌われて顔も見たくないと地上から追われてしまいました。

しかし、それも人が悪いのだと勝手な恨みを持っています。

創造主の力は偉大なものなので、魔女様は色々試していて、この話では、隕石を海に落としてみたところです。本人、衝突の瞬間に、巨大な水しぶきを見て『水芸じゃ~』と喜びました。本当は大陸全体を揺るがせる地震が起こったほどだったので、傍から見ればたまったものではないのですけれども。

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