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裕樹がアメリカに引っ越してきたのは、ちょうど全米がソルトレイクシティオリンピックで盛り上がっているときだった。
言葉も通じず、さらには引っ込み思案だったことも災いして、裕樹にはなかなか友達が出来なかった。
そんな娘を案じた父によって、裕樹は近くのスケート教室に連れてこられる。当時オリンピックの影響もあって、リンクには多くの子供たちが集まっていた。
最初はとても怖かった。
でも、一人の女の子を見つけたその時から裕樹の人生は回りだした。
裕樹の初恋だった。
一目ぼれ。
一際可愛い女の子。氷上をすいすいと滑っていく様子は、本当に絵本の中の妖精さんみたいに綺麗だった。
ユリカ。
という名前だと教えてもらった。
裕樹は思わず彼女に話しかけた。
「凄く上手」
裕樹はあまりに興奮して、ここがアメリカだということを忘れてしまった。だから日本語で話しかけた。
でも、答えは日本語で返ってきた。
「まだまだだよ」
ユリカは笑いながら答えた。
「こんなに滑れるのに?」
「だって、私の夢はオリンピックで金メダルを取ることだから」
そのとき、裕樹は彼女と一緒にいたいと思っていた。だから、その夢を聞いてすぐに決意が固まった。
「じゃぁ! 一緒に金メダルを目指していい?!」
それにユリカはなんて答えたか。
今でもはっきりと覚えている。
「もちろん。いいよ。けど──────
オリンピックの金メダルは一つしかないよ?」
はじめまして。天川太郎と申します。
この作品、すでに原稿用紙二百枚ほど書いてます。
なので、一章だけで終わる、ということはないです。
安心してください。
第三章先まで予約投稿してあります。十二時間ごとに更新予定です。




