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サイバー・メイジ 〜近未来エンジニアの異世界コード改革〜  作者: 明太パスタ


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12/21

天才魔導士とのコード対決(圧倒的無双)

「『足元のシステムがグラグラ』だと……!? 貴様、我が王立魔導院の偉大なる歴史をそこまで侮辱するか!」


最高評議会議場にバロア大公爵の怒声が響きわたる。

その傍らから、一人の青年の魔導士が前へと歩み出た。


深い蒼色の法衣に身を包んだ、眉目秀麗な男――王立魔導院が誇る「百年の一才」、特級魔導士のレオンハルトであった。


「評議長閣下、私にお命じください。この無知なる平民に、我が魔導院が誇る真の『理論』と『格』の違いを叩き込んで見せます」


「うむ! レオンハルトよ、その不遜な小童を叩きのめし、自らの無力を思い知らせてやれ!」


議場の広場へと降り立ったレオンハルトは、細身の魔導杖を構え、蓮(レン)を冷徹な眼差しで見下ろした。


「条件は問わない。お前の『サイバー魔導』とやらで、私の最高位魔法を防いでみせよ。……『大天の怒りよ、集いて敵を打ち砕け――神雷降臨(トール・ハンマー)!』」


レオンハルトが朗々とした声で過剰なまでに冗長な詠唱を始める。

彼の頭上に幾重もの複雑な魔法陣が展開し、議場の天井を突き破らんばかりの凄まじい雷光が収束していく。貴族魔導士たちから「おおっ!」「さすがレオンハルト様!」「これぞ至高の詠唱魔法!」と歓声が上がった。


だが――蓮は欠伸を噛み殺しながら、脳内AI(サイバーブレイン)のインターフェースを視界に展開していた。


Plaintext

[Enemy_Spell: Thor_Hammer]

Casting_Time = 4.2sec (Too Slow)

Mana_Leak = 68%

Security = None (Unprotected Port)

「詠唱に四秒以上……魔力の漏れ(リーク)も酷い。ポートのセキュリティ対策すらしてないのか」


「ふはは! 恐怖に慄き、声も出んか! 喰らうがいい、神の雷を――!」


振り下ろされる絶大な雷光の束。

蓮はポケットから手すら出さず、視界のUI上で指先を一回タップした。


『対象の術式ポートへ侵入。ソースコードの強制書き換え(オーバーライド)を実行します』


――ピキィン!


瞬間、振り下ろされた雷光が、蓮の頭上数十センチのところでピタリと停止した。

それどころか、雷光は青から可愛らしいピンク色の光へと変色し、細い一筋のパチパチとはじける静電気のようなスパークへと姿を変えて消滅した。


「な……なに……!? 私の『神雷降臨』が……消えた……!?」


目を剥くレオンハルト。

蓮は静かに歩み寄り、彼が展開していた空中の魔法陣(コード)を指差した。


「君の魔法は、発動までのラグが大きすぎるし、魔力の並列回路が暴走を起こしている。……こうやって、セキュリティホールから『キャンセルコード』を1行挿入するだけで、実行エラー(NullPointer)を起こして即座に停止するんだ」


「キ、キャンセルコード……!? 詠唱も陣も書き換えずに、他人の魔法を内部から破壊したというのか……!?」


レオンハルトは杖を落とし、がくがくと膝を突いた。自分の人生のすべてだった魔法理論が、目の前の少年の「一タップ」で完全に否定されたのだ。


「言ったでしょう。知識を誇示する前に、まずはコードの脆弱性をチェック(デバッグ)した方がいいですよ」


静まり返る評議会議場。

権威に固執する貴族魔導士たち全員が、近未来エンジニアの圧倒的な「コード処理能力」の前に絶句するしかなかった。

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