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もっと撫でて?

 仲居さんがいなくなり、まったりと部屋でくつろぐ俺とエリザ、もちろん浴衣のままだ。


「……エリザ、それであの写真は一体何だったんだ?」


「うふふ、実はね~、夫婦でこの宿のオリジナルの浴衣を着て写真を撮って、それをこの宿を紹介する雑誌に載せるんだって! それに協力したら……なんと宿泊費半額になるんだって! だから……ここに申し込んだの、それだけじゃないんだけどね」


「夫婦って……マズくないか?」


「え~!? 大丈夫だよ……それにいずれ本当に……♥️ それともシュウちゃんはイヤだった?」


「イヤではないけど……まぁいいか」


「そうだよ、確認される訳でもないし、カップルで来やすい温泉宿にしたいってコンセプトの宿みたいだし、私達にはピッタリかな? って思ったの」


「確かにカップルの人が多かったような……」


 チェックインする時に並んでいたのはほとんどがカップル、もしかして俺達のような人達もいるのかもしれないし……あまり気にする事でもないかな?


「そうそう、気にしないの、あっ! シュウちゃんお茶飲む?」


「ああ、もらおうかな?」


「うふふ、ちょっと待っててね」


 お茶を用意するエリザ、普段見ない浴衣姿のエリザが立ち上がりお茶を用意してくれる。


 そんな非日常を見れただけでもこの旅行に来てよかったと思う。


「はい、どうぞ」


「ありがとうエリザ」


「うふふ~」


 俺のとなりに座りピトっと寄り添いお茶をすするエリザ、静かな空間で2人きりでのんびりお茶を飲む…… ただそれだけで幸せだ!


「シュウちゃん…… 私、幸せ♥️」


 エリザも同じ事を思っていたみたいで嬉しく思う。


「エリザ、来てよかったな」


「うん!」


 俺の肩に頭を乗せていたエリザが幸せそうな笑顔を俺に向ける。


「シュウちゃん……チューして」


「わかったよ……」


 キスをすると、うふふと笑いまた俺の肩に頭を乗せる。


 そして2人寄り添いながら静かな時を楽しむ。


「……シュウちゃん」


「ん? どうしたエリザ?」


「うふふ、呼んだだけ」


「何だよ……」


「愛してる」


「俺も愛してるよ」


「うふふ」


 そう言うと俺に抱きつき俺の胸に顔をスリスリ…… 可愛いので、エリザのキレイな銀髪をサラサラと撫でる。


「シュウちゃん、もっと……もっと撫でて?」


「ああ、可愛いなエリザは……」


「本当? 嬉しい!」


「エリザは可愛い、最高の彼女だよ」


「シュウちゃん! 照れちゃうよ~」


 エリザは嬉しそうに顔をさらにスリスリ……


「あっ! 晩ごはんの前に温泉入りにいかない?」


「そうだな、汗もかいたしサッと流しときたいな!」


「それじゃあ、行こ?」


 そして俺達は大浴場に向かい、男湯と女湯の前で別れる。


 ちなみに混浴もあるのだが、他のお客もいるし、俺もエリザも混浴にはいかないでおこうと言う話になっているのでいかない。


 体を流し、温泉に浸かる……

 あぁ~、気持ちいい~。


 もしエリザと2人で温泉……

 色々な意味でのぼせてダウンしそうだな!


 そんな事を考えながらゆっくりと温泉に浸かり、そして……


 浴場の出入口付近を見渡したが、まだエリザはいない。

 とりあえず近くにあった椅子に座って待ってるか、と思ったら


「シュウちゃん! 待った?」


 ちょうど出てきたエリザが俺に声をかけてきた。


「いや、今出たところだよ」


「そっかぁ、よかった、じゃあ部屋に戻ろう?」


 そして俺の腕に手を伸ばすエリザ。

 

 風呂上がりの浴衣のエリザ……さらに色っぽくて……ドキドキする!


「いいお風呂だったね、結構人もいたけど」


「男湯はあんまりいなかったぞ?」


「そうなんだ~、女湯の方は……おばさまが多くて、私の褐色の肌が珍しいのか色々話しかけられたよ」


「何話してたんだ?」


「う~んと、色々と……ね♪」


「何だよ、気になるな~!」


「うふふ、部屋に戻ったら話すよ」


「え~!?」


「じゃあ部屋に戻ろう? シュウちゃん」

 

 何を話していたのか気になるが、部屋に帰ったら話してくれるみたいだし、ほんのり濡れたキレイな銀髪にポカポカとする体のエリザに腕を組まれ、何も言えずにそのまま部屋に戻る事にした。


 





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