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エピローグ

最近、だいぶ春らしくなってきた。

外は晴れていて、そんなに寒くも無いので、窓を開けて風を受けながらリビングのソファーに座っていた。

すると、開けたままにしておいた扉から亜志貴が入ってきた。髪をポニーテールにして、着物の袖を紐でたくし上げている。

「ちょっとお兄ちゃん。一人だけそんなところでのんびりしてないで!みんな一生懸命働いてるのに」

俺はたくましくなった妹を見ることが出来て嬉しかったが、こう五月蝿くてはかなわない。

「久しぶりに実家に帰ってきた兄に向かって、それは無いだろ。それより旦那は?」

俺は仕方なくよっこいしょと立ち上がった。

「旦那って言わないで、ちゃんと名前で呼んであげてよ」

彼女は、こういう言い方はしているが、怒ってはいない様だ。顔が笑っている。

俺は、亜志貴と一緒に外に出た。

「はいはい。で、穏風は?まさか俺一人で手伝うわけじゃないよな?」

「さっき帰って来て、みんなと一緒にいるわ。だからお兄ちゃんも早く」

彼女の走り去る後ろ姿を目で追いながら、俺はこの四年間を思い返した。


穏風と亜志貴は、あれから付き合うことになった。紳も外国の文化について勉強しているし、亜志貴は紳のアドバイスのおかげで、たくさん友達ができたと言っていた。

紳は、俺が中学生の時に紳に言ったことを亜志貴に言ったと言っていたが、俺は全然覚えていなかった。

ま、とりあえずめでたしめでたしだ。

『でも、衝撃の事実は・・・』

『お兄ちゃんの女装だよね』

紳と亜志貴は、俺の変装を一昨年くらいに見破ってしまった。前から何となく分かっていたと、亜志貴は言った。

がっかりだ。

俺は、思わず穏風のあの時の反応を疑ってしまったが、あいつは本当に分からなかったようだ。


亜志貴と穏風が付き合い始めたその三年後・・・

『はあ?!結婚する?!』

俺が叫ぶと、穏風がビクっとして『うん』と返事をした。亜志貴の顔は、真っ赤だった。

『マジかよ。恵二さん、時子さん!父さんも母さんも、許して良いのか?』

俺が彼らを振り返ると、彼ら四人は顔を見合わせ、ニヤリと笑った。

『もちろんさ。もともとこうならなくても、彼らはお見合いする予定だったんだから』

父さんが、何でもないように爽やかに微笑んだ。

『は?!』

俺達三人の驚いた顔を見て、母さんは無邪気に微笑んだ。

『私たちの計画が、こんなに上手くいくとは思わなかったわ。家庭教師っていうのが、効果絶大だったわね』

それから母さんと時子さんは手を取り合って、若い女の子のようにキャアキャアと喜んだ。

『・・・ったく、しゃーねーな。愛する妹よ、困ったことがあったらいつでも俺に言うんだぜ』

俺がそう言うと、亜志貴はくすくすと笑った。

『女装するようなお兄ちゃんに、安易に相談なんかできないわ。お兄ちゃんこそ、紳と何かあったら、私たちに相談してよね』

みんなが笑った。俺も仕方なく認め、笑った。

亜志貴がいつも笑ってくれていたら、俺はそれで良い。


「由乃、何ボーッとしてるの?早くしないと入れてやらないぞ」

紺色のドレスを身に纏った紳が、そう言って俺を手招いた。

結婚記念パーティーの準備をし終えてから、みんなで集合写真を撮った。真ん中に幸時家と堂月家の両夫婦。その右側に穏風と亜志貴、反対側に俺と紳が並んだ。


「さて、みなさん宜しいですか?」

みんながテーブルについたのを見計らい、父さんが片手に、ワインの入ったグラスを持った。みんなも、それぞれの飲み物を片手に取る。

「それでは、穏風君と亜志貴の結婚、由乃と紳さんの結婚一周年を祝って・・・」

続いて恵二おじさんが言った。

「私達の末永い幸せを願って!」

みんなが一斉にグラスを掲げた。

「かんぱーい!」

恋を知る人たちを書きたくて、創りました。

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