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転生したらサイボーグになってた俺がゾンビだらけの世界で無双する  作者: ティ・ンポッポ
第2章 国立魔法研究学園マク・ウル潜入作戦
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10話 目撃証言

「お兄さん、が……?」


「キャロット・B・メイキャット……あなたの家、世界に名を轟かせる五大貴族”B”の……次期当主となるはずの……ディアス・B・メイキャット……本人」


 どうやらキャロットの家は相当大きな権力をもつ貴族らしい。兄も学園では有名だったようだ。

 言われたことをすぐに飲み込めず、キャロットはしばし息を呑んでいた。

 しかしそれから湧いた疑問に、リトリーに食って掛かる。

「そ、それっ、なんでもっと早く……っ」

 キャロットは詰め寄るが、うまく話せていない。

 混乱のあまりにまだ整理がついていないのか。

 対するリトリーの表情には迷いや後悔が含まれている。視線をキャロットから逸らしている。

「……言おうか、まよった……。でも……いま伝えないと、だめだとおもった。……これは……ほんとう……」

「詳しく聞かせて、リトリーちゃんっ!」

 ユイがお願いし、リトリーは首を縦にする。

「彼は……もう一人の誰か、男のひとと……あの図書室を……うろついてた……」

「ディアス兄さまの他にも生きている人が……?」

 リトリーはキャロットの兄のことはわかっても、その男のことは誰だかわからなかったようだ。

「うん……でも……なんだか……こわい……顔……してた」

「……」

 その後特に本を取るわけでもなく、二人は立ち去ったそうだ。

「目的はなんだったんだろう?」

「わからない……ただ……言ってた……『屋上へ戻るぞ』って」

「!?」

 つまり、屋上に避難している?

 彼ら以外の仲間を含めて。

 キャロットとユイと目線を交わす。

 キャロットのお兄さんだけでなく、ユイの探している知り合いもそこにいるかもしれない。

 いや、待てよ……?

「で、ではっ、屋上へ向かって、みなさんを助けましょう!」

「待つんだ」

「ふぇっ? ユート様、どうして……?」

 だがしかし。

「思い出してみろ。

 この学園に潜入する前に俺たちが受けた歓迎を。

 背後から射られた弓矢。屋上に隠れる人影。

 あのときの奴と、キャロットのお兄さんが行動をともにしているのだとしたら……」

 そのときのことを思い出したようにハッとする二人。

 リトリーは蚊帳の外と言った様子で眠たげな目をこすっている。

「で、でもっ」

 ユイは主張するように一歩前に出る。

 キャロットはオレの推測を聞いて拳を強く握りしめて、わなわなと震えている。うつむいて隠れた前髪で、その瞳は覗くことができない。

「本当かどうかはわかりませんっ。だって、キャロちゃんのお兄さんは、とても、優しい人だったって、キャロちゃん、いつも言ってました……」

 それに、と言う前にキャロットがユイのスカートの裾をつまんでいた。

「もういいよユイ。ありがとう。だいじょうぶわかってる。

 ディアス兄さまはそんなことする人じゃないって。

 行こうよ。それを確かめに、さ」

 キャロットはオレの前まで車イスを引いている。

 見上げているキャロットの瞳が少し、潤みを帯びているように錯覚した。けれど、彼女が目元を拭ったあと。いつもどおりの強い意志を秘めた眼差しがオレを見つめていた。

 

「……行こう」

 キャロットの言うとおりだ。

 リトリーの言うことが、あの弓矢が、”何を意味しているのか”確かめるために。オレたちはそこへ向かわなければならない。

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