表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/176

大預言者は前世に生きる。

 


 わたしがあの子に遭ったのは、放課後の教室だった。


 遭ったっていうのはおかしいか。同級生なんだからそれまでもずっと一緒の教室に居たはずだったのに。


 中学にあがってから、わたしはずっと本に逃げてきた。友達は、苦手。世間話をしてくれる子も居るけど、どうにも話があわなくなって。


 恋っていうのがよくわからないのが原因だとは思うけど、みんなの男の子を意識した話に、全くと言ってついていけなかったのだ。


 ああ、わたしは恋愛とは無縁なのかな。人を好きになるって、友達をおとうさんおかあさんおにいちゃんを好きなのとは違うのかな。


 そう。


 恋愛小説を読むのは好き。


 お話の中でなら、気持ちもすごくわかるのに。現実は、想像するだけで気持ち悪い。


 パーソナルスペースを侵食されるのに、耐えられない、のだった。


 そうこうしているうちに、中二の一学期が終わる頃にはわたしには友達らしい友達は居なくなっていた。


 そして。


 お父さんが癌になり、おにいちゃんとおうちに籠っているうちに、夏休みも終わり、


 せっかく頑張っていたバレー部も練習に出ないあいだに退部になった。


 9月になり、お父さんの葬式が終わり……。


 お家には新しいお父さんがやってきた。


 まだ正式には籍入れられないんだけど、なんて言いつつ女の顔をしているお母さんが、すごく気持ち悪くて、だめだった。




 おにいちゃんはお家を出て、名古屋のおばさん家から大学を受験し通う事になり、おうちにはわたしが一人残されて。


 お母さんと新しいお父さんはわたしのことなんて邪魔にしかしなかった。居なくなればいいのに。そうお酒を飲みながら呟いたお母さんの顔は、一生忘れない、そう思った。


 中学3年になった時。


 わたしはもう全てに絶望しか持てなかった。


 綺麗なものは、身の回りには、無い。


 そう思っていたわたしの前に、彼女は現れたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ