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七話 叡智の竜とフィオナ

『我思う、故に我在り』

最近の私はこの言葉が好きです。

それと補足です。竜=ドラゴンで、龍はそのまま龍です。東洋の龍、西洋のドラゴンってやつです。



「てめぇら!冒険者の魂、アイツら魔物共に見せてやれ!」

「みんな!彼ら諸ともぶっぱなしちゃいなさい!!」



「「「おおおおおおおおお!!!」」」



「おいちょっと待て、何言ってんだ学園長!」

「大丈夫ですよ、主様。まぁ多分ですけどね」

「いつも通りってことでいいんじゃないですか?」

「えっと、みんな。もう敵来てるよ?」



とりあえず一番最初に喋ったやつはアルバーノだ。副ギルド長な。こいつは普通だからいいんだよ。

次が学園長のエリスだが、味方諸ともっておかしいだろ!でも、あんなでも冒険者の何人かがエリスさんを見てるんだよな。しかもカッコ良いとこ見せようって感じの目なんだよな。今どういう状況なのか分かってんのか?



とにかくあの二人のお陰でこの場にいる全員に気合いが入ったみたいだな。初手は九九が1発デカイのを使う。そのあとは学園の生徒達が魔法を、大分近付いてきたらギルドの冒険者達が戦う。

俺達がここに来て夢の話をしたときに、町の人達へ色々と説明をアジラスさんや他の数名がしてくれた。作戦って呼べるのか分からないけどおさらいだ。九九がこの町を守る。その間に俺と白狼とソフィアの3人で塔に向かう。向かった所で何かが絶対にあるとは限らないけど、今はあの夢の場所が手懸かりになりそうなんだ。


「あああーー!本当に大丈夫か?九九?」

「心配しすぎですって!寧ろ主様の方が危険なんですからね」

「まぁだよな....よし。白狼ソフィア、行けるな?」

「ええ勿論です。そうですよね、ソフィ?」

「勿論だよ白ちゃん!最強のおまじない『なんとかなる』だよ!」


塔に着くまでには九九の援護があるから問題はない。塔についてフィオナがいても、どうやって石から戻すか分かんない。それでも行くんだ。あとこれは関係無いけど、今白狼、ソフィアの事呼び捨てしたな。



「九九!思いっきりやれ!」

「言われなくても! すぅ......聖なる炎よ、全てを飲み込め!『神術プロミネンス』」


ゴゴゴゴゴと地響きがし、魔物の大群の真下から炎が幾つも噴き出す。その中の1つが大体50階建てビルぐらいの大きさか?いやそれ以上かもしれない。そいつはまるで蛇みたいに魔物の大群を飲み込みながら移動してる。それだけでも凄いのに口から火炎を吹き出したりと、かなりの数の魔物を倒している。ここにいるほとんど全員が驚いてる。でも直ぐに魔物も湧いてきてるな。


『主様。今はまだ大丈夫ですが、直ぐに持たなくなるかもしれません。そうなる前に、早く塔へ』

「了解だ九九。2人とも、行くぞ!」

「分かった、行こう!」

「私が案内できます。着いてきてくださいね!」


門を飛び出し、白狼を先頭にして森に向かう。こっちに気付いて追いかけてくる魔物はソフィアの魔法と俺の銃で倒す。ようやくこの銃も活躍できるなってか?


「事前に確認してましたけど、本当に魔物いすぎですね!」

「それなら九九に頼むまでよ!伏せろ、ソフィア!」

「ありがとっ!」


とりあえずソフィアの回りにいる魔物を銃で一掃する。後は上に向けて銃を撃てば気づいてくれる


『九尾の加護あれ!』

「近くで見ると凄いですね...!」

「凄いのは知ってたけどまさかこれ程とはな」


九九の神術プロミネンスだが、本当に近くで見るととんでもなくデカイな。近くにいる魔物は焼かれて消えてるけど、俺達には害はないみたい。そういや確か召喚魔法に近いとか言っていたか。因みに九九と離れている時はテレパシーで会話する。今回はそんな余裕ない気がするけどな。

魔物がいすぎて手こずったが何とか森に入れた。入る直前に街の方を見たが、もう魔物と激突しており何度か爆発が起きていた。待っていてくれ。俺達が何とかするから!



ーーーーーーーーーー



「見えてきました!塔です」


塔の周りを見てみると戦闘の跡が幾つかあった。それに、ああ...フィオナも居た。夢と同じ石の状態だがな。とにかく回りを警戒しつつ近づいてみようと、一歩進んだ瞬間地響きがした。


「復活したか、叡智の竜っ...!」

「絶対に倒す......!!」

「落ち着け。お前が親玉だな?」

「ホウ?成る程ナ。アイツが言っテイたノはお前か....」

「アイツってのは魔王のことか?」

「そウダ。だが残念だッタな」

『ここで死んでもらうぞ!!』


急にハッキリと喋るようになったなと思ったのも束の間、大きな爪を振り下ろしてきた。結構早かったけどギリギリ回避は間に合った。にしてもこいつが叡智の竜か...見た感じドラゴンだな。


とりあえずあの降り下ろしで分かったことがある。一撃でもまともに食らったら本当にヤバイってことだ。それでも倒せないことはないはず。今の俺達の位置は、あの竜から離れてる。突っ込んで来る前に、簡単な作戦を立てた。ソフィアはダメージを負ったときのヒーラー、回復支援。そして白狼が中距離で援護、俺が近距離でアイツと戦う。


俺が一番前なのは頻出狂気っていうのが気になったからだ。一番前にいるなら攻撃を受ける確率も高いしな。勿論わざと攻撃を食らうつもりもないが。でもやっぱり発動してみたいなんて思ったりするんだけど。


「チャージしないと銃はダメそうか」

『逃がさんぞ!!』

「意外としつこいな!」

「吹き飛べ!水魔法『フラッド!』」

『なぬ!?』

「助かったソフィア!」


刀を出そうにも攻撃が早くて回避しか出来なかった。でもこれで反撃できる!先に刀出しとけば良かったんだろうけど、銃持ってたしな。


『やはり一筋縄ではいかないか。ならばこれでどうだ?』

「黒い球?何するつもりだ」

「それは...っ!いけない!避けて!」

『無駄だ!我が弱体化(・・・)していてもこれは避けられん!』


何とか当たらない様にしても数が多すぎる!

これ全部を回避出来るわけもなく、一回当たったらもう大量に当たってしまった。

一体この球は何なんだ?直接ダメージがある訳じゃなさそうだから、なにか効果があるはず。


「その球は毒です!この世界にある全ての毒!」

「.........?何ともないけど」

「あ、あれ?確かにそうみたいですね......」

『異世界の加護か...面倒だな』


異世界の加護?えっと、それって......あ!

もしかして一番最初の時に言った無病息災か!あれのお陰で今なんとも無いわけだ。感謝します!よし、それなら反撃だ。一撃デカイの当ててやるよ!


「行くぞ、叡智の竜!『鳳凰・桜吹雪(ほうおうさくらふぶき)!』


念のため回避されないように、威力高めの範囲技を使った。刀を空高く上げれば、大きな鳳凰が現れる。こいつは敵に突撃したり、俺に合わせて攻撃もしてくれるんだ。桜吹雪は結界みたいなものだ。しかも結界内にいる敵にダメージを与える事ができる。


「久し振りだな、鳳凰」

『.........♪』

『鳳凰を操るか。流石は勇者だ』

「操ってはいないだろ......まぁいいさ。こうしてる間にも町には魔物が押し寄せてきてる。さっさと倒れてもらうぞ!叡智の竜よ!」


鳳凰と共に叡智の竜に突撃する。この技の

効果で、俺自身の能力も上がっている。何度も反撃されそうになるが、そこはソフィアと白狼がカバーしてくれる。そうして何度も斬りつけてはいるんだけど、全然効いてないように見える。


「マジかよ。鳳凰でも大ダメージとはいかないのか」

『クゥゥ......!』

『仮にも我は数多の国を滅ぼした竜だぞ』


このままじゃじり貧か。流石に硬くて強いな。こういうときこそ冷静にならないといけないのは分かってるけど、それでもかなり焦るな。早く倒さないと....って感じでな。

いや、あれ?そういえばこいつ。さっき弱体化がどうのって言ってたよな。もしかしたら弱点さえ分かれば行けるか?



「琥珀!私に考えがあります、合わせてください!」

「ん、ああ!分かった!」

「ソフィア!守りをお願いします!」

「やっと私の出番だね!任せて!」


「行きます!『無限剣・大嵐(インフィニットソードテンペスト)! 』



白狼がそう叫ぶと、空から1本の剣が落ちてきた。同時に一気に空は曇り雷が鳴り始める。嵐を起こしたのか?空から落ちてきた剣は空に吸い込まれるようにして消えた。分かったとは言ったけど、何する気だ?


『そうか。貴様あの時の』

「無限剣よ、貫け!『ソードレイン!』」

「鳳凰!あれに合わせてくれ!」

『......!』

「精霊よ、私に守護の力を!守れ『水傘』」


一気にこの辺りは混沌と化したな。

空は嵐で暗く、その一部から剣が雨みたいに叡智の竜に降り注いでる。ここは桜の花びらが辺りを舞っていて、更にその回りには水の中にいるかと錯覚しそうな水のドーム。その中に鳳凰がいると来たもんだ。


白狼の技と鳳凰の組み合わせでかなりのダメージを与えることが出来たみたいだ。あいつの攻撃もソフィアの水傘でギリギリガードできてる。

俺は銃を、こいつ『式神』の神力をためてるところだ。トドメは鬼に任せることにする。世界が違うから発動するかは分からないけど....っておい!白狼!?


「一族の仇!その首、落とす!」

「バカ、前に出るな!鳳凰!」

『そうか貴様は....ならば消えよ。ダークスター!』

「な......ッ!!」


叡智の竜から発射された黒い玉が白狼に当たると、耳を(つんざ)く爆音がした。白狼の方に視線を向けると鳳凰がギリギリで守ってくれたみたいだ。でも流石に堪えたようで消えかけてる。白狼は怪我はしなかったようだけど気絶したみたいだ。


「鳳凰、ありがとう。今は休んで」

『クォォ....!』

「ソフィア!白狼を頼むぞ」

「う、うん。分かった!けど、どうするの?」

「......さぁな。やるだけやってみるよ」


白狼が気絶したから空の暗雲もきえて青い空が見えるし、ソフィアには白狼の回復だけに任せたから水傘も消えてる。鳳凰も休ませたから桜吹雪も消えてる。

でも、あいつもさっきの大技でそれなりのダメージが入ってるはず。なら、予定通り鬼を呼ぶ!


「意外と時間かかったけど『式神 複製 狐火弾』フルバースト!」

『何!?』


銃を自分の周りに複製して一気に叡智の竜に向けて放つ。狐火弾は単発なら狐火一つ発射した後分裂して相手に襲いかかる。こうしてフルオートで撃てば火炎放射となる。

でもまだこれからよ!


『おのれ...勇者!竜の怒りを受けよ!』

「口からビームとか流石ドラゴンだな!」


竜の口が光り、避けようとしたが予想外にもとんでもなく早く、ビームが直撃した。左腕の感覚がない。


「ああああ!!」

「うそ、コハク!?」

『ほう?消えずに残ったか。だがもうここまでだ』


ああ、危なかった。左腕に防御魔法を使わなかったら本当に消えてた所だ。でも、もう大丈夫そうだ。もう終わらせよう。


「鬼の力、見せてやるよ『憑依 殺音』」


俺の身体中に異世界の力、鬼の妖力が集まる。あれ?気のせいか身体が変わっていくような気がする。とりあえず最後に額から一本の角が生える。



ああ成る程、大変なことになってますね。うん?竜が”私”を見て後ずさりました。失礼な奴ですね。まぁいいですが。



『なんだお前は?勇者ではないな』

「答えるつもりは無いですよ。私が呼ばれたという事はそう言うことです『妖桜神舞(ようおうかみのまい)』」


桜を纏った刀を右手に持ち、鬼の宝刀を左に持って、舞いながら流れるように竜を斬りつける。竜の攻撃を回避しながらただ斬りつけていく。


『消えよ!ダークスター!』

「すぅ...居合い斬り!」


黒い玉と一緒に竜も居合いで斬る。辺りに血が飛び散り真っ赤に染まっていく。私にも返り血がかかりますけど、ああ。それが心地良い。


『魔王、さま......』

「......魔王の仕業?何にせよ彼に......」


空には大きな月が昇り、辺りには魔力を帯びた桜の花が舞っていた。




「コハク?」

「うん?ああ、大丈夫か?」

「へ?あえ、うん。大丈夫だったよ」

「途中から見てましたが、さっきのは一体?」


まぁそりゃ驚くよな。完全にさっきまでとは別人だもんな。でも憑依なんてどう説明すりゃいいのか。殺音に教えてもらったんだ。そして憑依できるのは殺音だけという。

それより、何度か死にかけてるのに一向に瀕死狂気というのが発動しない。それらしき物を感じたのは、あの夢の最後辺りなんだが....。


取り敢えず置いといて、石になってるフィオナを見る。どうやら叡智の竜を倒した事で少しずつ石から治ってきてるみたいだな。暫く待つと完全に復活したようだ。


「勇者様?」

「そうだけど違う。大丈夫か?」

「......大丈夫そうです。あの、あなたは?」

「簡単に自己紹介するか。ちょっと急いでるし」

「のわりにはノンビリだよね」

「.........」



白狼とフィオナ曰く、叡智の竜を倒した事で魔物達も弱くなっている筈らしい。


「琥珀!先ほどは助かりました、ありがとう」

「どういたしまして。でももうあんな無茶はすんなよ?」


そうして街に戻る途中、フィオナが嫌な気配が近づいてると言った。そして直ぐにその正体が魔王だとも言った。街はあと少し、急がなくては。

⑦九尾と鬼の激突⑦

学校の帰りに琥珀と楓と一月は、鬼と出会う。直ぐに白樺が駆けつけてくれたが、鬼の狙いは白樺だった。油断していたこともあり、罠にかかってしまった白樺は、力の一部を封じ込められてしまった。鬼の妖気を感じ取った九九と殺音のお陰で何とか逃げ出す事ができた。


【結局憑依とは一体...?】

「憑依ってなんだ?」

「一定時間、私が君に乗り移る」

「......。それってお前以外も俺に乗り移れるのか?」

「さぁね。実は私にも分からないんだ」

「そうか...でもサンキュな」

「!....ふふ、こちらこそ」

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