case:72 【期末・冬の陣の場合】 Act.1
生徒会選挙を経てもうすぐ12月、冬休みも残すところ数週間となった。
学年末といえばテスト、と他の学生は思っているだろうが私はそうではない。
生徒会選挙も一段落ついてぃやっとゆっくりできる時間が得られる。
という風にはなることなんかこれっぽちもなく。
授業の合間合間を縫ってはやっと生徒会の引継ぎから解放された高嶺前生徒会長が遊びにわざわざ二年の教室まで毎回やってきたり。
現生徒会長は現生徒会長でこれから自分たちだけでやっていけるかとかそういう不安をなんでだか私に相談してくる始末。
挙句には、そんな様子を見て私が生徒会役員になるのではという噂が一人でに歩き回り今では『藤間京は生徒会長以上の権限を持っている』なんて根も葉もないうわさが出回る羽目に。
そしてもはや恒例とも思えてしまうウチの姉妹たちの勘違い、というか噂に踊らされているというか。
妹は陸上部を兼任して生徒会に入ると猛進、姉は姉で生徒会の顧問を今から買って出るという行動に。
あくまで噂であって私自身生徒会にかかわる気が無いということを納得させるのには骨が折れたというもの。
それにギャル子さんまで悪ふざけに部費を上げろーとかいってくる始末で手に負えない。
そもそもお前は部活入ってないだろうと思わづ突っ込んでしまった私は悪くないと思う。
まぁ、正直学年末のテスト自体には不安がることは全くない。
何て言っても一年間きちんと勉強していれば問題ないからだ。
この際よっちゃんは捨て置くとして問題ないが、それでもやはりこの状況はどうにかしたい。
どこに行っても生徒会がどうの、来年の部費がどうの煩わしいったらありゃしない。
私は生徒会にかかわるのが嫌で生徒会選挙を手伝ったのにそれが逆目に出るなんて誰が思うというのだろうか。
目立ちたくない、というのにこうやって私本意ではない誰かのせいで目立つなんてほんと厄介極まりないというのに。
何て憤慨しても何にも始まらない。
何て考えながらいつも通り、というかこんないつも通りは嫌なのだが、顔見知りやそうでもない生徒連中から逃げるようにこっそりと校舎を抜け出すとタイミングよく櫻井さんも校舎を出てきたようで。
なんとなく、最近は顔を見てなかったこともありこう私の知り合いの中の唯一の癒し枠として見ていた彼女を見るとこう体中から力が抜けていくというか、心から安心できるというか。
どうやら向こうも気が付いたようで軽く会釈をしながら近づいてきてくれる。
なんか気を使わせてしまったみたいで申し訳ない。
最近あってなかったこともあるし積もる話もあるだろう、とりあえずここは彼女の胸を借りようと思う。
・・・情けないとか思わないでほしい。
「ちす、先輩。最近大変っすね」
開口一番にねぎらいの言葉を書てくれる。
なんてできた後輩なのだろう。
「あーまあ、そうね。どうにもならないのが一番厄介なことだよ」
「はは、たしかに。苦労しますね」
そうなのだ、苦労しかないのだ。
けど、何というか本当に櫻井さんはほっとする。
他の連中にこういうことを言おうものなら変に茶化したり、弱っているとここぞとばかりに襲ってきたり、警戒するこっちの身にもなってほしいのだが、櫻井さんはそういうのが無くて助かる。
よし、ここはひとつ先輩ぽいところを見せてしまおう。
「櫻井さんよかったらどっかいかない?甘いものが食べたくてさ」
もちろん私のおごりで、というジェスチャー付きで提案してみると「喜んで」と快諾。
できる後輩を持つと私も助かるというのに。
いるのは厄介な先輩とやかましい同級生、挙句は手の付けられない姉妹といった具合だ。
私よく普通に生きていられるな、誰かこの強靭な精神をほめてくれてもいいんだぞ?
なんて愚痴りながら近くの喫茶店へ向かう最中も櫻井さんはずっと聞きに徹していた。
「いや、本当に先輩はすごいっすよ。頼りたくなるのはわかります」
ついてからも櫻井さんは私の話を聞いては私の事をもちあげてくれる。
「それに先輩が生徒会に~って聞いたときはなんでか納得しちゃった自分もいましたもん」
が、話はだんだんと予期せぬ方向へと
「それに先輩だったら、何やっても何とかしてくれそうな安心感とかありますしね」
これは何だ宇迦。
一種の褒め殺しパターンだろうか。
安易に後輩をストレスの掃き出し口に使ったのがいけなったのだろうか。
いや、違う。櫻井さんは本心から言ってくれているのだろう。
けどこうもやりたくないことを本心からやってもよかったといわれるとなんでか罪悪感というものが。
櫻井さん以外にだったらいくら言われてもこんなことは感じないというのに・・・櫻井さん、恐ろしい子っ。
とりあえず櫻井さんには追加でショートケーキをおごっておいた。
もう、安易に後輩にすがることのないようにしないといけないなぁ。
感想等ありましたら宜しくお願いします。




