サイトに悪口発見!
斜め上から見た美しい世界2の前日譚。
無事、月の住人として幸せに暮らすようになった元カチカチ山の狸タヌちゃんは、寺子屋の先生として楽しく勉強を教えていた。
ある日、月についてアレコレ予言や透視をする水星人について生徒たちから聞かされる。
それはトンデモナイ者かもしれない!詳しく確認しなければ!あまりにも酷いことが書いてあるのなら、抗議文を送ってやろう。
まずは、ある事ない事書きまくる水星人カサンドラ嬢が管理する《ツキペディア》という百科事典サイトにアクセスするのだった。
「なるほどぉ………
これが月ペディアですか」
タヌちゃんこと、元カチカチ山の狸は両手でスマートフォンを持ち画面を凝視していた。
賢い狸にとって、読み書きはお手の物だが使い始めたばかりのスマートフォンの操作はまだまだ苦手だ。
「ほぅほぅ…
生徒の言う通り色々と書いてありますねぇ」
かぐや姫にスマートフォンの使い方をレクチャーしてもらったのは、つい先日のこと。
言われた通り指を使って下へスクロールしていく
「ふむふむ…でも、そんなにトンデモないことは書いていないような…?」
『ここをこうやって押して、そこに文字を入れて検索するのよタヌちゃん』
かぐや姫の説明を思い出し、細い指で検索マークをタップする。
時間を掛けながら、ゆっくりとした動作で狸は慣れない作業をこなしていた。
なぜこんなことをしているのかというと…
今日の授業で、複数の生徒から「水星人のカサンドラ嬢という者が月のことを好き勝手書き込んでいるサイトがありますが、トンデモナイですよね!?」と聞かされたからだ。
ついこの間、地球のトンデモナイ者たちの授業をしたばかりなので無視する訳にもいかない。
これでも先生なのだっ
水星人など、狸は初めて聞いたのですが…どれくらいトンデモナイのか確認しなければ。
とりあえず、ここに【月】と入力してみることにしよう
つ き|
「出来たっ
あっ!出てきましたね。
どれどれ?
ん……?
独断と偏見って…
失礼な言い方ですね。
あ、NEWって書いてあるところがありますね。
どれどれ
え!?なんじゃこりゃ!
月が孤立するだと?!」
なにを根拠に!!!
まったく!
失礼ですね!
カサンドラ嬢とは、生徒の言う通りトンデモナイ奴らしい。
「あ、なにこれ
小さく【草】って書いてありますよ?【笑い】って意味ですよね!?
まったく…信じられない!
どこが面白いんだか!!!!!!!!!
こいつ月のこと馬鹿にしてるんですかぁ?!」
狸が言うのもアレだが、カサンドラ嬢は人の気持ちが分からないとっても嫌な奴なのだろう。
まったくトンデモナイ!!
イライラしながらも、他にどんなことが書いてあるのか気になってきました。
もしかして、タヌちゃんのことも書いてあるのか?
「……調べてみる?」
見てみたい気持ちと少し怖い気持ちが共存しているが、元カチカチ山の狸タヌちゃんは好奇心旺盛な賢い狸。
手が勝手に動き出す
カ チ カ チ やまの|
た ぬ き|
少しずつ入力していく
ゴクリ…と唾を呑み込む間もなく、画面は切り替わった。
「………。」
「………。」
「………。」
「ハァ!!?なんじゃこりゃぁ!!!!!!!!!!!!!??」
「狸のくせにだと?!」
なんだこれ!
まったく信じられない!
まったくトンデモナイ!
悪口ばかり書かれている!
カサンドラとかいう奴は地獄の畜生に違いない!
「こっこっ肥えているだとぉ…?ぐぬぬぬぬぬ…」
ポニュポニュのお腹なのは自覚があった。
だが、指摘されると腹が立つものだ。
「ゆっ許せん!!抗議文を送ってやる!!
どこだ
どこだ…
どこから送れる??
うぅ………
わからん…………」
あとで抗議文をしたためるとしよう!
直接、水星に送りつけてやる!
ふと、狸の良きライバル月の兎がなんと書かれているのか気になりました。
「……………。」
好奇心旺盛な狸の手は、やっぱり勝手に動いてしまうのです。
つ き の う さ ぎ|
ゆっくりと文字を入力すると
「…………………。」
「…………………。」
「…………………。」
「は?」
「なんじゃこりゃぁぁああ!!!!!!!!」
ゆっ許せん!!!
良いことばかり書いてある!!
優しくてぇ〜
真面目でぇ〜愛されててぇ〜
大金持ちでぇ〜
神様のことまで助けたらしい!
(ほんとかよ!いや嘘かもよ!)
そして、なにより羨ましいかぐや姫の親友の座に君臨している!!!
水星人にまで認知されているらしい!
(水星人なんて知らんけど)
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ………」
やっぱりうさぎは嫌いだ!
気に入らない!いいとこ取りでムカつく!
「ふぅ…いや、いけない、いけない」
かぐや姫に、うさぎともっと仲良くしてくれたら嬉しいと頼まれているのだ
「仲良くしなきゃね!かぐや姫の為だもん!」
この元カチカチ山の狸タヌちゃんは、月で暮らすようになってから本当に幸せな日々を送っている
かぐや姫とうさぎと三人で過ごすときは最高なのだ
月の兎は、カチカチ山のうさぎとは違う
正義の棒を振り回して意地悪なことはしないのだから
本当に面白くて優しい良い奴だ
そこがまた完璧すぎて気に入らなかったりするのだが…。
うさぎは颯爽としていて、いくらソファーでグッタリとしていようが様になっているのだ
ぽにゅぽにゅのお腹のだらしない狸とは違う
何というか生まれつきかなわないのだ
でも…狸だって良いところは沢山あるのだ!
かぐや姫がいつも褒めてくれるから!
「大体、狸のくせに賢いのはオカシイとか…酷い書き方ですよねぇ?絶対ギャフンと言わせてやる、カサンドラって奴め」
気を取り直して………
大好きなかぐや姫のことを検索してみよう!♡
か ぐ や|
姫と入力しようとしたら、このあとBIGプルプルプリンをご馳走になる約束をしていることを思い出しました。
「そうだった!もう行かなきゃ!かぐや姫と過ごす予定がありましたね!」
スマートフォンに映し出されたツキペディアの画面は
確認せずに机の上に置きました。
「楽しみだなぁ♡」
ルンルンと楽しそうな狸は寺子屋を出発しました。
とりあえずカサンドラ嬢の悪口を忘れることにしたのです。




