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青の王の風格

 夏の陽射しが容赦なく照りつける砦からの坂道を、

 私たちは南西の雑貨屋へ向かう。


 新たに加わった、探検隊員のお師匠は笑っている......

 

 それは、何が起こるかわからないと、

 相方と弟がやる気を見せて仕切りだしているからだww

 

 20枚の金貨を守る為、

 私を中心に据え、

 左右に棒を構え警戒を怠らない相方と弟、

 後ろにクスクス笑うお師匠の鉄壁の陣形で町に降りて行く。

 

 お師匠が今年も豊作のようだと呟いた。


 道沿いのオリーブの木が銀色の葉をキラキラ揺らし、青い実を育んでいる。


 涼しい木陰を作ってくれるけど、

 それでもジリジリ肌が焼けるみたい。


 セミも「ジリジリジリジリ」と大合唱でうるさい。


 少し、「 ツクツクホウシ」や「 ミンミン」が恋しいwww


 物売りのおじさんとすれ違い、

 イチジクを一つずつくれて、

 とても、ご機嫌探検隊。


 イチジクの甘い香りと果汁が溢れ、芳醇な味わいに舌鼓を打つ。


 我らは、幸せ探検隊。


 雑貨屋にたどり着くと、

 店内を隠れて覗き込む、

 同じ頃合いの少女がいたが、

 こちらに気付くと顔を真っ赤にして、

 一目散に逃げて行く。


 店内を見ると、

 あの目の細い優しそうな兄弟が、

 楽しげに話をしている。


 私は遠くを見る様な、

 哀愁を感じさせる目をしてささやく。

「 夏はまだ続く......恋せよ乙女...... 」


 お師匠に何を言っていると笑われ、

 相方たちにバカにされながら店の奥に進む。


 相変わらず、

 足元で埃が舞うざらついた床板……

 古い羊皮紙とインクの匂いが混じった独特の香りの店内。


 男の子たちがこちらに気付き、

 元気よく挨拶してくる。

「 いらっしゃいませ!

みなさんへ愛と平和を運ぶ雑貨店モノホンポ

《モノホンポ》へようこそ!」


 一同、揃いも揃って同じ事を思う......

( へんな名前www )


 メガネをしていない方が、兄のファル《ファルーク》7歳。

 メガネをかけている方が、弟のラシード《ラシード》 7歳らしいど。


 ファルがマニュアル通りの接客を始める。

「 お客様!ちょうど良い時に来られました!

今年作られたばかりの羊皮紙が大量入荷しましたよ!」


( このファルークと言う少年......声に氣を乗せて話しているな...... )


 私はお師匠を見上げると、私を見て3回ほど頷く。


( いや、待て私!まずはクエストに集中だ!)

 両頬をペシペシと叩き、ゆっくりと息を吐く。


 そして、視線を上にして、咳払いをした後、

 踏ん反り返り、少し横柄な演出をしながら聞く。

「 ちみちみ!それを100枚ほど売ってくれまいかね?」

 

 ラシードが右手でメガネの位置を直し、

 こちらを凝視して生唾を呑み込む。


 ファルも言葉を失い沈黙が流れる......


 私はもう一度偉そうに咳払いをして続ける。

「 ちみたち?黙っていては分からん。

有るのかね?無いのかね?いくらなのかね?」


 ファルが立て直し、しかし動揺しながら、

 対応をしてくる。

「 は、はいお客様、し、少々お待ちください......」


 そう言うと更に奥の住居スペースと思われる方へ足早に入いり叫ぶ。

「 と、とうちゃ〜ん!大変だよ!

こ、こないだの赤髪の女の子が、100枚を......羊皮紙は、必要が......購入だってよ〜」


 ちなみに弟のラシードは、

 未だにメガネを右手でつまみながら、

 固まっているww


 ひょろひょろで、

 深い味わいある面持ちの親分が登場する。

「 何を言っているんだ?息子よ。

商人たるもの、いかなる時も慌ててはいけないと言っているだろう?」


 お師匠が一人、深く頷いているwww


 店主がこちらを見る。


 一同はみんな同じ事を思う。

( このおじさんがモノホンポなのか......

変な名前www)


 アゴに手を当てながら見えない目で、

 こちらを凝視しているはずだw

「 赤髪のかわいいお嬢ちゃん!

先日はありがとうね!

また羊皮紙かな?

おや?そちらの方は?......砦の兵士様?」


 お師匠は肩幅に足を広げると、

 胸を張り、左手は腰に、

 右手拳を胸に掲げ、軽く敬礼する。

「 赤獅子の名の元に!」


 ここでそれは止めて貰いたかった......w


 父にも恥ずかしいから止めてほしいと進言した事もあったが、

 バーンおじさんがズズいと出てきて、

 軍の規律を守り、士気を高めるため必要だとうるさかったのを思い出すw


 しかしこの場に圧倒的な強者として君臨する、

 店主には確実な効果があった......


 少し動揺はしているが、

 視線を店内の天井に合わせて

 頷きながら、呼吸を意識的に整えている。


 自身の子供に諭すだけあって、

 さすが出来る商人だ。


 さらに一呼吸とる。


 そして店主は、

 いつもの様にアゴに手を当てながら切り出す。

「 100枚ですね......

当方としても砦の皆様とは、今後とも懇意(こんい)にさせて頂きたい。

勉強いたしましょう。

金貨16枚でいかがでしょう?」


 店主の仕入れが何掛けかは、

 わからないが、

 2割引は悪くない。


 その時、私はバーンおじさんのインクに青色だけ、

 無かったのを思い出す。


「 青色のインクはいくらですか?」

 アゴに軽く結んだ両手を寄せて、

 うるうるした瞳と上目遣いの

 必殺、美少女ポーズで尋ねる。


 店主は実際に蓋を開けて見せてくれた。


 美しい......深い海のような青で、

 宝石の様な神秘的な輝き。


 ラピスラズリを細かく砕いたそれは、

 高貴な青の王と呼ばれる風格漂う匂い。


 青のインクはとても貴重らしく、

 5金貨もする高価なものだったが、

 100枚の羊皮紙と合わせて金貨19枚で、

 売ってくれた。


 ついでに、古文書用に黄ばんだ古い羊皮紙を60銀貨をリミットで出来るだけ購入する。

 店主も大きい取引の後で、

 よほど気分が良かったのだろうww


 十分すぎる枚数をくれた。


 残り40銀貨で何をするかだって?


「 よ〜し!ちびっ子探検隊!串焼き肉を食べに行くぞ〜www 」


「 え〜い、え〜い、お〜〜〜!!!」


お師匠はニヤけながらポリポリと頬をかく。

「 おいおい......いいのか?」


 宵越しの金は持たない小娘なのさ!www

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