表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

第26話 赤髪の戦乙女アブー

勢いと思いつきだけで駆け抜けた

5か月間でしたが、振り返ってみれば

私の大切な思い出の1ページになっていました。


本当に楽しかった!


読んで頂いた、皆さん本当に感謝いたします!

再び、自身と向き合い頑張ります!それでは!

 今日も希望の一日の始まりを告げる太陽が、

 入江から眩しい光を放ち始めた。


 朝のあいさつをしながら、

 すっかり飛ぶのが上手になった若鳥たちを連れ、水鳥たちがキレイな編隊を組み、

 北の暖かい地へと、続く長い旅路へ飛び去って行く。



 少し寂しい気持ちになる。



 西町への坂道では、オリーブの摘み取りが始まり、搾りたての果実から立ち上がる、

 鼻を抜けるような若草の鮮烈な香りが砦にも漂う。



 近くの小さな漁港では、たくさんの脂の乗った新鮮な魚が水揚げされ「 ピチピチ 」と跳ねている。


 普段は、酒ばかり飲んでいる老漁師までもが、活気ある声を上げ、笑顔でそれをさばいては、干し網にキレイに並べていた。



 こちらの西側の港町では、流通真っ盛りの新小麦が、黄金色の芳醇な香りを放ち牛馬車に積まれていく。


 そんなアハルの季節の移り変わりが広がる中、

 父たちが、昨日ようやく長い討伐の旅から無事に帰ってきた。



 そして、今日は私と相方の6歳の誕生日。


 そんなこんなで、訓練と座学はないとの事。


 久しぶりの3人だけの朝ごはん。


「 わざと合わせて帰って来たわけじゃ無いぞ www 」と相変わらず、空気の読めない一言に盛大にツッコミを入れる母と私。


 赤い頭を「 ぽりぽり 」と掻き、笑ってごまかそうとする、かわいい父。


 アットホームな3人の日常が戻ってきた。


「 今日は収穫祭と遠征の祝宴とアブーの誕生日だ!楽しもうぜ! 」


 決してイケメンでは無い父が、唯一カッコいい顔で微笑む。


 私の大好きな父の顔。


 母のキレイな潤んだ大きな目も、

 すっかりハートマークだ!


「 おっと忘れてた!アブーは父さんたちの布団を干しとけよ! www 」


「 ぐぬぬ w 」


 そんな私たちを右手こぶしで口を隠し、

 少女の様なニコニコの顔でクスクスと笑う。


 私の大好きな母の顔。


 昨日は、3人で父を中央に美女が両側に寄り添い、『 赤獅子ジャバロン物語 』を聞きながら寝る事に。


 どうやら、興奮して『 おねしょ 』をしてしまったようだ www



 ふとんを干しに中庭に出ると、相方と弟が布団を干している。


 どうやら、興奮していたらしい。


 それはそのはず、

 相方は昨晩【 ピエー様 】と一緒に寝るとダダをこねた上に、

 蒼天の戦乙女をハの字眉の困り顔にさせる。


 挙げ句の果てに、彼女の配下になると、言い出す始末。


( おぬしの父は、敬称こそ付けて呼ばれぬが、No.2の偉い人なんだぞ www )


 ピエー様は、小刻みに肩を振るわせ、

 お腹を抱え「 ケラケラ 」と涙を流しながら、笑い転げる。


 そして、討伐中に装備から取れてしまった、

 大きなトルコ石を取り出すと言う。


「 大人になって、『 覚悟 』があるなら是非来てくれ www 」と笑いながら言うと、

自身の思い出の詰まった宝物を相方に渡す。


 この時の相方のキラキラしたハートマークになった目を、私は一生忘れないだろう。



 そんな姉を見ていた、こっちの弟も

 ポケットから、折れた角を得意気に見せてくる。


 これは、討伐の戦闘中折れてしまった、

 【 猛牛のジブラ 】の兜の大角の先端らしい。


( まぁ、おぬしらは、まずは私ぐらいに、『 おねしょ 』の回数を減らすんだな! www )―――




 ―――アハルの港町は、すでに活気ある掛け声が飛び交う出店が立ち並び、

 お祭り騒ぎになっていた。


 そんな中、アリーのスパイシーな香り漂う帆船が丁度、寄港していて、

 さらに町の喧騒の賑わいに華を添えている。


「 やあ!アブーちゃん!元気だったかい?

新物のスパイスを満載にして持って来たよ!

我が親友のジャバロン父さんは、いるかな? 」


 私は、流暢なラハビア語で家にいると言うと、「 ほう!その年で偉いね! 」と、

 心にも無さそうな世辞の言葉を並べ、

 細身な身体で、身軽に砦への長い階段を駆け上がっていく。


( そんな、時を駆ける商売人の心意気、

決して嫌いでは無い w )


 なんて思いつつ、待ち合わせ場所へ急ごうとする。



「 おいそこの、おてんばチビすけ!元気だったか? 」


「 おおう! 」


( この声は!ゴツいデコボコ親方コンビ! )


 金髪の大男ライハーンと、愛しのデミル君までも現れる!


 私が「 どうしたんだ? 」と聞くと、

 昨晩、アハルからの早馬が家に来たらしい。


 なんでも女盗賊の報奨金と、溜まったツケを一気に払ってくれると、

 ライハーンは、大樽を叩いたような声で吠える。


 その後、工房関係者がゾロゾロ現れた。


 一様に、私に話し掛けてくるが、何を言っているのかわからない。


( 私は聖徳太子では無い www )


 大きな子犬のような子供たちに

 囲まれ、喜ぶ私に、

 ライハーンが ( ニカッ ) と似合わない笑顔で吠える。


「 おう、忘れてた!これを見な! 」


 見れば、精密な揚水水車システムの図面と見積り書!


 そして、ライハーンは再び吠える。


「 まぁ、バーンが金をたんまり弾んでくれればの話だけどよぅ〜 www 」


 豪快な奥様に尻を「 ペシリ 」と叩かれ、

 砦への階段を登って行く、工房の御一行。

 

( 前世での旅行なら、大型バスをチャーターしないといけないな www )



 この頃、疫病はすっかり鎮静化し、

 東側の港町では、建築に携わる職人達の放つ作業音があちらこちらから鳴り響く。



 ドン爺とパパっ子さんのシェリ姉が、

 喜び飛び跳ねる仲の良い姿。


 ちなみに未だ、長い三つ編みのひげは、流行ってはいない w



 そして、牛より大きいジブラに肩車をされ、少し恥ずかしそうな、

 ぽっちゃり系お姉さんのオウカのほんわか、心弾む光景。



 さらに、新たに建設される市場の現場で、

 15銀貨になった羊皮紙の図面を片手に、

 大工の親方たちと話し込むバーンおじさん。

 

 遠征から帰ってきたばかりだと言うのに、

 本当に頭が下がる頑張り屋さんだ。



 そして、東港の門に立つ、

 さらに背が伸びた、淡い栗色のふんわりヘアーが目立つ一人のイケメン。



「 そう...... マイダーリンだ!www 」



 未だに、左腕の当て木と麻布の包帯が痛々しいけど、ダーリンが爽やかな顔で微笑みを浮かべる。


「 アブー!だから、そのマイダーリンって、どういう意味なんだ? www

『 アブ語 』は、わからないんだよなぁ 」



 東町の街並みに溶け込む、

 美女とイケメンの睦まじい姿。


 二人は時折顔を見合わせ、

 ゆったりとデートを楽しんでいる。


( 何事も具現化させるにはイメージが大切だ www )



 それを妄想しながら、あの衝撃の芳醇な香りを放つ、

 お目当ての串焼き肉屋に着く。


 私は少し偉そうに咳払いをすると、

 踏ん反り、見下ろすような視線で、

 横柄な演出をしながら店主に話しかける。


「 ちみちみ!今日は砦で祝宴が行われるのだよ!

そこでだが、出張シェフを頼まれてくれまいかね? 」


 店主に ( ぽかん )とした顔をされ、

 ダーリンにその喋り方はやめろと笑われ、

 活気ある東の町にこだまする。



 〜 再び、広がりを見せる発展の息吹が 〜



 〜 さらに成長を続けるアハルの町に 〜



 〜 海がもたらす豊かな実りを 〜



 〜 後押しする優しい風が吹く 〜



 少しは、私の秘めている知識も役に立っているようだ―――




 ―――そう、私には前世での記憶がある。


 日本のサラリーマンで、

 建設業の監督をしていた、

 今夜、6歳になる赤髪の小娘。


 ちびっ子探検隊の隊長で、

 偉大な父【 赤獅子ジャバロン 】の一人娘。


 そして【 赤髪の戦乙女アブー 】と呼ばれ、

 皆から讃えられる英雄になる女だ!www

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白くて一気に読み進めてしまいました。 情景描写が分かりやすく、光景が頭にスッと入ってきました。 テンポを重視した文章運びで、軽快に話が進み、読んでいてとても楽しかったです。 アブーちゃん、元気でとて…
面白くて、一気に読んでしまいました。 アブーの英雄譚、楽しませていただきました。 食べ物のシーンもお気に入りでした。ありがとうございます!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ